発達障害グレーゾーンの
子どもとは

発達障害のグレーゾーンとは、「発達障害の特性が見られるものの、診断基準には満たない状態」の通称です。医学的な診断名ではありません。発達障害の診断を受けた方と比べて、日常での困難は少ないと思われがちですが、そこには「支援を受けられない」「相談先がない」「理解を得られにくい」といった特有の困りごとがあります。

発達障害のグレーゾーンとは

発達障害のグレーゾーンは、医学的な診断名ではありません。「発達障害の特性が見られるが、診断の基準には満たない」状態の通称です。

グレーゾーンの子どもは、「DSM-5の改訂とグレーゾーンの子ども達の支援」によると”保育や教育の場で不適応行動が見られるものの、診断がつかないあるいは未受診の子ども”と記されています。

グレーゾーンの子どもに必要な支援は?

グレーゾーンの子どもの場合、その時々の状態を見ながら、支援が必要かそうでないかを判断する必要があります。環境の変化によって、症状が悪化することも、目立たなくなることもあるからです。発達障害者支援法の第5条 第3項では、発達障害の診断基準に満たない場合でも、疑いがあれば、必要に応じて支援を受けることができる旨が記されています。

発達障害グレーゾーンの子どもの特徴(年齢別)

「グレーゾーン」は診断規準に満たない状態を指す言葉のため、グレーゾーン特有の症状や特徴はありません。その代わり、診断基準を満たさないまでも、ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)といった発達障害、学習障害の症状や特徴の一部が見られます。

ここでは、ADHDとASDと学習障害(LD)の特徴の一部を、年齢別に紹介します。

保育園・幼稚園(2歳、3歳~5歳)の例

  • 気になることができると食事途中でも止めて動き回る
  • 特定の順番で活動することや道順やものの位置などにこだわる
  • 同年齢の友達とうまく遊ぶことができない(自分勝手な行動をとったり、状況を読むことができないなど) など

小学生の例

  • 学校のルールやマナーが守れない
  • 授業中、イスに座れないでうろうろしてしまう
  • 場面に合わない質問をしたり、一人で話続ける
  • 忘れ物が多い
  • 文字の読み書きに時間がかかったり、間違いが目立つ
  • 計算が苦手 など

中学生・高校生の例

  • 思ったことを口に出しすぎてしまう
  • 場を読むのが苦手
  • 文脈の理解が困難
  • 忘れ物や失くし物が多い
  • 好きなことにしか集中ができない など

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発達障害グレーゾーンの子どもへの接し方(年齢別)

前述のとおり、「グレーゾーン」に特有の症状や特徴はなく、表われる特徴はADHDやASDなどの一部です。
接し方も、決まった方法があるわけではありません。その子どもの特性に合わせることが大切なため、診断のある子への対処法が参考になります。

ここでは、表われている特性・年齢別に接し方の例を紹介します。

保育園・幼稚園(2歳、3歳~5歳)の例

こだわりが強く、一度始めると止められない

  • 幼児期はこだわりが強く表れます。また、本人がそれをうまく言葉にできないため、大人はわがままに感じてしまうこともあります。無理にやめさせようとすると逆効果になるときもあるため、「○○の後にまたできるよ」など見通しを伝える、タイマーで時間を区切るなど、気持ちの切り替えができるように工夫をします。

常に動き回る

  • 日常的に注意したいことが多くあるかもしれませんが、本当にしてほしくない・危険な行動はより伝わるように工夫することが大切です。
    横断歩道を渡るときのルール、外を歩くときは手をつなぐルール、といったルールブックを作成し、道中でも都度見せるなどの方法があります。

小学生の例

言い争いやトラブルが多い

  • 言い方が攻撃的・直接的であったとしても、曖昧な表現が苦手なだけでわざとではないかもしれません。
    接するときは「ダメ」などの否定的な言葉は使わず、「こうすればいいよ」と肯定的な表現に置き換える、皮肉やほのめかしは使わずそのまま受け取ってもいい言い方をするなど、落ち着いて話すことが大切です。
  • 「学校へ行く」「じっと授業を受ける」など、一見あたりまえと思うことでも、本人は精一杯頑張っているかもしれません。「きちんとする」などの曖昧なルールではなく、「授業中に質問したいことができたら、答える前に手を挙げ、当てられてから質問する」など具体的なルールを決めます。努力を認める・褒めることで自信がつき、被害者意識や反発心が落ち着くことがあります。

ゲームやマンガに熱中しすぎる

  • ゲーム機やマンガなどが見えてしまうと気持ちを抑えられなくなる場合は、なるべく目に入らないようにするなど、環境の調整をします。
    一度始めると止められなくなる場合は、タイマーで時間を区切る、視覚的にスケジュールを伝えるなどで、気持ちの切り替えを促します。また、お互いに納得感を持てるよう、ルールを一緒につくることも大切です。

中学生・高校生の例

反抗期や、不登校など学校への行き渋りがある

  • 悩みを聞くことで落ち着く場合もあります。
    静かな部屋で一対一で聞く、書くものを用意し確認・整理しながら聞く、など「味方だよ」「困っていたら助けるよ」という姿勢で接します
    不登校やクラス内の適応上の問題に関しては、学校の先生と情報共有・連携しながら対処しましょう。

提出物や予定を忘れる

  • 時間の管理を学ぶために、TODOリストやリマインダーなど、提出物を忘れない工夫を行うことでサポートします。

読み書き・計算が苦手といった学習障害の特徴が表われている場合の学習方法は、以下の記事をご参考ください。

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まとめ

発達障害のグレーゾーンとは、「発達障害の特性が見られるものの、診断基準には満たない状態」の通称です。
診断基準に満たないため、「支援を受けられない」「相談先がない」「理解を得られにくい」といった特有の困りごとがあります。

特徴についてもグレーゾーン特有のものがあるわけではなく、ADHDやASDなどの一部が表れます。
診断のあるなしや診断名にかかわらず、その子の特性に合わせた接し方が大切です。

診断名ごとの症状や特徴、接し方の例
ADHDASD学習障害

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【監修】井上 雅彦

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