発達障害の子どもとは

発達障害とは、生まれつき脳機能の発達の凸凹(でこぼこ)が激しく、その子の周囲の環境や人間関係とのミスマッチから社会生活上の支障が生じる障害のことです。ここでは、発達障害のある子どもの特徴や接し方などについて分かりやすく説明します。

発達障害の種類と症状

発達障害はその特性や表れる困りごとによって、大きく3つのタイプに分けられています。

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)

忘れ物や遅刻などの不注意、じっとしていられなかったりなかなか集中できなかったりといった多動性・衝動性を主な特徴とする障害です。

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)

対人関係の困難や興味・関心の限定、特定の行動を繰り返すなどの特徴があります。ASDはコミュニケーション能力や社会性に関連する脳機能の偏りを広く捉えており、よく耳にする「自閉症」や「アスペルガー症候群」の症状もASDに含まれるという考え方が一般的になってきています。

限局性学習症/学習障害(LD)

読み書きや聞く・話す、計算・推論することなどが著しく苦手な特徴があります。「学習障害」と呼ばれることが多いです。

「親の育て方」は原因ではない

遺伝などの要因が指摘されていますが、なぜ脳機能の発達に偏りが生じるのかについてははっきりとは分かっていません。ただし、親のしつけや愛情の注ぎ方は発達障害の発症とは関係ありません。また、本人のわがままでもないことを理解しましょう。

発達障害の年齢別の特徴

発達障害のある子どもに見られる特性・特徴の一例を紹介します。このような特徴のあらわれ方は前述したの3つの診断名によって異なりますし、それぞれの子どもの発達の状態によっても変わってくるため、あくまでも例になります。

乳児期(~1歳まで)の例

  • 抱っこや手をつなぐことが苦手
  • あやしてもなかなか笑わない
  • 極端な偏食が見られる
  • 寝つきが悪い、ちょっとした物音で起きてしまう

幼児期(~6歳まで)の例

  • 意味のある言葉を話さない
  • 保育園や幼稚園での集団行動に加わらない
  • 嫌なことがあると手が出たり、突然走り出したりする
  • 話していても目を合わせない
  • 多動でどこに行ってしまうかわからない

就学期(小学校~中学校) の例

  • 遅刻や忘れ物が多い
  • ルールや順番を守ることが苦手
  • 特定の物に関する知識や形式にこだわる
  • 授業中にじっとしていることができず、注意されても繰り返してしまう
  • 文字が読めなかったり、書き間違えたりする

思春期(中学~高校)の例

  • 年齢相応でない態度や振る舞いが目立つ
  • 同年齢でのお付き合いやコミュニケーションがうまくいかない
  • 自分の興味関心のあることしかしようとしない
  • 学習面の遅れや偏りが目立つ
  • 計画性をもって進めるのが苦手
  • 断ることができずたくさんの役割を抱えこんでしまう

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発達障害のある子どもとの接し方

発達障害の特性はさまざまであり、子どもの得意・不得意に応じた接し方をすることが重要です。以下で主な発達障害の特性に対する接し方の事例を紹介します。

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)の例

  • 持ち物や時間割は親も一緒に確認して、忘れることを予防する
  • じっとしていることを強要するのではなく、何かを取りに行ってもらったりプリント配布を手伝ってもらうなど役割を伝えて動く時間を確保する
  • 衝動的な行動を減らすよう、子どもが行動する前には「飛び出さないようにゆっくり歩いて行こうか」「買い物をするときは順番に並ぶようにしよう」など気づきを促す声かけをする

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の例

  • 先の見通しが持てないことで不安になったり、予定の変更によってかんしゃくを起こしたりすることを防ぐために絵や文字で視覚的に予定や変更を伝える
  • 漠然とした表現、遠まわしな表現だと混乱してしまうことがあるので、言葉を伝えるときは短く、具体的に、ゆっくりと話す。例えば「きちんと片づけて」と伝える場合は「おもちゃは一番下の棚に戻します」といった具合です。
  • 興味、関心のあることには積極的に取り組む場合も多いので、電車が好きな子どもには勉強のときに電車の絵を使って説明したり、目標設定を小刻みにしたりして、本人が楽しくなるように工夫する

限局性学習症/学習障害(LD)の例

  • 「こんなことも分からないの」と叱るのではなく、子どもの苦手な部分を理解し、その子どもに合った学び方を一緒に考える
  • 話し言葉で理解することが難しい場合は、絵や文字などを使って視覚的に伝える
  • タブレットや計算機、マス目が大きいノートなど、特性に応じた教材を使う

特性が重なっている子どもとの接し方

発達障害の特性は、単体ではなく複数が重なっている場合も多くみられます。

例えばADHDと学習障害が重なっている子どもの場合、勉強が苦手で集中力も途切れやすいことがあり、学習面での手厚いサポートが必要です。

特性が重なるとサポートも難しくなる場合があります。支援機関や医療機関の専門家などに相談しながら対応方法を考えていきましょう。

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まとめ

発達障害の特性がある子どもを見守り育てるなかで、さまざまな苦労があるかもしれません。
まずは、子どもが今できていることに目を向けて、褒める言葉がけを増やすのも一つです。子どもの特性や関わり方のコツを学ぶことによって、お互いがその子の得意・不得意に応じた接し方ができるようになることがあります。
子どものケアも大切ですが、保護者のケアも忘れてはいけません。つらくなったら休養をとったり、専門家に相談することも大切です。

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【監修】井上 雅彦

鳥取大学医学系研究科臨床心理学講座教授。応用行動分析学が専門。