【開催レポート】合理的配慮の考え方、学校の行き渋りへの対応の仕方など、当日のQ&Aの様子を公開!<6/28Q&Aライブ>

「発達障害のある子の家族のお悩み解決Q&Aライブ」を6月28日に開催!

今回は「お子さまの学校生活での困りごと・先生との連携」をテーマとして、発達障害のある子やご家庭のさまざまなお悩みにLITALICOライフの鈴木先生が一つ一つその場でお答えしました。

この記事では、当日の様子を少しだけご紹介します。

講師プロフィール

鈴木健(すずき・たけし)

発達障害のある子ども向けの学習教室にて、マネージャーとして教室運営や保護者さまサポートに従事。クリエイティブ系専門スクールにて9年間にわたりキャリア支援を担当。現在は約1,000家庭の子育ての悩みや将来への準備について個別相談を実施。

【質問1】聴覚過敏のあるわが子は、朝礼や集会、運動会などが苦手。学校生活での困りごとはどのように対応すべきでしょうか。

個と環境の相互作用に着目する

鈴木: まず前提として、お子さまの困りごとは「個」と「環境」の相互作用から捉えることが非常に大切になります。お子さまの問題や生きづらさは、本人の生まれ持った発達特性に原因があるのではなく、お子さまを取り巻く「環境」とのズレによって生じているという考え方です。お子さまの「聴覚過敏」という特性は変えられないからこそ、特性を正しく理解した上で、「環境」をいかにお子さまに合うものにしてあげられるかどうか、が大切になります。

鈴木:聴覚が過敏だと、意識しなくても小さな音まで聞こえやすかったり、特定の音に対するつらさが強まったりすることがありますよね。そのようなお子さまの特性に合わせて、学校に合理的配慮のお願いをしてみると良いと思います。最近では、運動会のかけっこでもピストルの音を使わずに、旗を上げることでスタートさせる、集会は生中継を教室で聞いて参加する、などの配慮を行っている学校もあります。

お子さま自身の気持ちを尊重して

鈴木:合理的配慮を決めていく上で、何よりも大切なのは「お子さま自身はどうしたいか」を聞くことです。お子さまの意見を聞かずに、ご家族と先生で合意形成をしてしまうと、「自分は甘えているのではないか」「みんなと違うのではないか」などと感じ、自己肯定感の低下につながってしまうリスクがあります。お子さまと一緒に決めていく、ということをぜひ大切にしてください。

視聴者コメント:どのように先生に配慮をお願いすべきかわかりません…。

鈴木:学校の先生もどこまで配慮をすべきか分からないという場合もありますし、お願いの仕方には悩みますよね。先生に相談するときには、お子さまのことをより詳しく理解してもらうために「サポートブック」を作ってお渡しするとよいと思います。「サポ―トブック」はお子様の特性や自分でできること、支援が必要なことなどを記入し、具体的な対応のヒントになるお子さまの情報をまとめた支援ツールです。自治体でも積極的に活用が進められており、LITALICOジュニアのHPでも無料でダウンロードできますので、ぜひ活用してみてください。そして、当たり前のことかもしれませんが、先生との信頼関係を築いておくことも大切です。日頃から感謝の気持ちを伝えたり、積極的にコミュニケーションを取れると良いですね。

「サポートブック」についてはこちら

【質問2】学校の先生にはどの程度の合理的配慮をお願いしていいのでしょうか?甘えすぎになってしまわないか心配です。

「少し背伸びする」くらいの環境設計を

鈴木:お子さまにとっての適切な合理的配慮を考えるために、人が成長する状態を3つのゾーンに分けて捉えるメカニズムを用いて説明したいと思います。一つ目の「コンフォートーゾーン」はお子さまが今持っている力を使って達成できる状態です。強い失敗体験を減らすことができる一方で、成長が鈍化するというデメリットがあります。社会で生きていくためのスキルを獲得しにくいということですね。二つ目の「パニックゾーン」はお子さまの許容量や能力を大幅に超えてしまっている状態です。不安やストレスが大きく、強い失敗体験を引き起こすため、自己肯定感が低下してしまいます。


鈴木:そして、この間にある「ラーニングゾーン」が、人が最も成長できる状態といわれています。お子さまにとって少し背伸びをするくらいの環境で、適度な負荷がかかるのは良いということですね。療育を利用されている方はイメージしやすいかもしれませんが、療育での「個別指導計画」もお子さまにとって少し負荷がかかるくらいの目標を設定していると思います。お子さまの特性や今できることを理解した上で、その子にとっての程よい「ラーニングゾーン」はどのような環境なのか、を考えられると良いと思います。

【質問3】学校への行き渋りがあり、五月雨登校になっています。フォローの仕方を教えてください。

お子さまの自己肯定感がなにより大切

鈴木:お子さまが毎日学校に通えていないと、どうしてもお子さまの将来のことが心配になってしまいますよね…。まずはお子さまの自己肯定感を育むことを大切にしてほしいと思います。発達障害のある人の中には、学校生活などで自分の特性に対する周囲の理解が得られず、叱責される経験や失敗体験を繰り返した結果、自己肯定感が著しく低下して、鬱や引きこもりなどの二次障害を引き起こしてしまう方もいます。しかし、お子さまの特性を正しく理解した上で適切な行動を褒め、自己肯定感が担保されていれば、それが将来の自立への力となります。そのため、「五月雨登校」だとしても、周りの子と比較するのではなく、お子さまが前よりもできるようになったことや頑張っていることを褒めてあげてください。

視聴者コメント:子どもに対してどのように声かけをすればよいのか、迷います。

鈴木:そうですよね…特に思春期のお子さまの場合、どのように褒めたらいいかわからないという親御さまも多いと思います。思春期のお子さまに対しては、「大人扱い」をして、お子さまのことを尊重する姿勢が大切です。親だとついつい上から目線で「〇〇しなさい」など指示をしてしまうこともあると思いますが、お子さまのことを尊重し、話を聞いてあげることが大切になります。コミュニケーションの取り方としては、「今日はどうだった?」「疲れた?」といった回答の幅が広い質問を投げかけてみると、学校生活で起きたことなどを話してくれるかもしれません。そのような対話を重ねる中で、自分が尊重されていると感じると、それが成功体験となり、「次も話してみよう」という動機付けに繋がります。

鈴木:LITALICOジュニアの学習塾では、保護者さまがお子さまへの適切な関わりを学ぶ「ペアレントトレーニング」というプログラムも用意しています。お子さまへの声かけや関わり方に不安を感じている方は、そのようなプログラムを受講してみるのも良いかもしれません。

「ペアレントトレーニング」についてはこちら

「好き」や「得意」を育む関わりを

鈴木:学校で学べることに限らず、ゲームや動画、料理など、お子さまが好きなこと・得意なことを認めてあげることも大切です。習い事から自信をつけて自己肯定感が高まることもありますし、好きなことを極めることで将来の仕事の選択肢が増えることもあります。例えば、パン作りが好きということがきっかけで、中学校を卒業後、調理を学べる高等専修学校に通い、その後専門学校に通ってパン屋を開業した方もいらっしゃいます。学校に行くことは、将来幸せに生きていくために絶対に必要なことではありません。それよりも、お子さまの「好き」「得意」を伸ばし、自己肯定感を育むことが社会で生きていく上での大切な力になります。

お悩み解決Q&Aライブに参加する

いかがだったでしょうか。ライブ配信ではこのほかにもたくさんのご質問を保護者さまから事前にいただいたお悩みにこたえつつ、チャット上でもその場で視聴者のみなさんとリアルタイムなやり取りも活発に行われていました。

「お悩み解決Q&Aライブ」では毎月テーマを変えて、発達障害のある子のご家族のお悩みにお答えしています。次回のテーマは「夏休みの過ごし方」です。気になる方はぜひご参加ください。

LITALICOライフの勉強会に参加する

LITALICOライフでは、今日登壇いただいた鈴木先生をはじめとするライフコンサルタントを講師とし、発達障害を持つご家庭にむけた「勉強会」を開催しています。

また、以下より鈴木先生が登壇予定の勉強会を探すこともできます。

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