
ADHDとは、発達障害の一つです。基本的な特性として、不注意、落ち着きがない、深く考えずに行動に移す、といった特性があります。
この記事ではADHDの子どもの日常行動における特徴や子どもへの接し方を解説します。
接し方については、幼稚園・保育園、小学生、中学生・高校生といった学齢ごとと、女の子に対して、それぞれ紹介します。
ADHDは、「注意欠如多動症」とも言う発達障害の一つです。不注意さや落ち着きのなさ、考えずに行動にうつす特性があります。そのため、日常生活や学校生活、コミュニケーションに難しさを感じることがあります。
※ADHDは、以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2022年(日本語版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「注意欠如多動症」という診断名になりました。
ADHDは、生まれつきの脳の一部に機能障害があることで、「不注意」「多動性」「衝動性」といった特性が生じる発達障害のことです。
ADHDの子どもはこういった特性と、家庭や保育園・幼稚園、学校などの環境とのミスマッチで「授業宙に立ち歩いてしまう」「忘れ物・なくしものが多い」「友達とうまく関係が築けない」などの困り事が生じることがあります。
そういった困り事があったときに「親の育て方が原因だろうか」と悩む人もいますが、ADHDは脳機能の障害のため、育て方やしつけが原因という説は否定されています。
ADHDには「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの行動特性があります。それぞれ解説します。
注意・集中することが苦手な特性です。集中力がなく飽きっぽい、忘れ物・失くし物が多いなどの特徴があります。
じっとする・静かにすることが苦手な特性です。手足をいじっていつも落ち着きがなかったり、騒いだり動き回るなどの特徴があります。
我慢することが苦手な特性です。順番を待てず割り込んだり、会話の流れや雰囲気を気にせず発言するなどの特徴があります。
以上のADHDの行動特性は全員に同じ現れ方をするわけではありません。不注意特性が現れやすい「不注意優勢に存在」、多動・衝動性が現れやすい「多動・衝動優勢に存在」、どちらも同様に現れる「混成して存在」といった形で人によって異なっています。
診断を受ける場合は、医療機関で検査をする必要があります。
発達障害の診断には、主にアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)アメリカ精神医学会の診断基準である「DSM-5」を用います。
子どものADHD検査は、保護者から聞き取りする普段の様子も重要視されます。検査する場合は、事前に普段気になっている行動や様子をまとめておくとスムーズです。
生まれつきの脳の機能障害のため、完全に治すことは難しいですが、ADHDの子どもに対する治療は、環境・行動への介入と、薬物治療を組み合わせると効果的だと言われています。
医療機関で検査をするか迷うといった場合は、地域の発達相談ができる支援機関などに相談してみるといいでしょう。
保健センターは市町村が設置・運営している、地域の保健や衛生に関する業務をおこなっている機関です。子どもの発達で気になることがあったときに相談ができ、必要に応じて医療機関や他の支援機関の紹介などを行います。
児童相談所は18歳未満の子どもに関する相談を受けている機関です。子育てについての悩みや子どもの発達に関する相談に対して、児童福祉司・児童心理司・医師・保健師などの専門スタッフが助言などの支援を行います。
発達障害など障害のある子どもに、地域で支援を提供する機関です。障害のある子どもが通って、日常生活や社会生活に適応するためのプログラムなどを受けることができます。
年齢にかかわらず発達障害の方やその家族などからの相談に対して、必要な助言などをおこなう支援機関です。日常生活・学校生活・人との関わり方など幅広い悩みを受け付けています。
発達障害の特性は、一般的には2~3歳になると表れると言われています。ただし個人差は大きくあり、思春期まで気づかれないケースもあります。また女の子については特有の症状があります。そのため、ここでは学齢ごとと女の子の特徴を分けて紹介します。
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ADHD(注意欠如多動症)向け
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ADHDの子どもへの接し方で意識したい点を、保育園・幼稚園、小学生、中学生・高校生、女子それぞれご紹介します。
ADHDの子どもの接し方で大切なことは、良いところ・できているところ・頑張っているところなどを褒める・認めることです。ADHDの子どもは叱られることが多くなりがちで、そのため自分に自信が持てなくなってしまうこともあります。成功体験を積むことで、やる気や自信がつきます。
「食事のあとは食器を台所まで運ぶ」などの目標を決めます。決めた目標に対し、できたその都度、また継続して努力できているときも褒めます。
例えば、家でも時間割を作成し、「19時になったらお風呂に入る」など決めておきます。生活のリズムができることで心が安定し、落ち着きがもてます。
守ってもらいたいことややってはいけないことについて、子どもを一緒に話し合って決めます。決めたことは紙に書き、掲示します。守れた場合は、認める・褒めることが大切です。
具体的には夜に歯磨きをしたあと、シートにシールを貼るなどが挙げられます。シールが10個たまったら「週末どこどこに遊びに行く」など、ご褒美を決めます。
日常的に注意する回数が多くなりすぎると、本当にしてほしくない行動がうまく伝わらない事があるかもしれません。例えば、勉強しない、片づけないなど日常生活上のことには声をかけず、家族にひどいことを言う、危険な行動をとる、約束したことを破る、などの本当に注意すべき場合にのみ焦点をおきます。加えて、どうすれば良かったかも伝えるとよいでしょう。
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ADHD向け
個性にあった小学校・中学校選び
ADHDの特性は、日常生活や学校生活、コミュニケーションを難しくすることがあります。そのため、ADHDの子どもは大人から叱られる機会が多く、自信を喪失しがちです。
保育園・幼稚園、小学生、中学生・高校生といったそれぞれの時期や、女の子特有の悩みもあります。接する際は愛情を示しながら、一つひとつ冷静に向き合い、工夫や対応をすることが重要です。
特徴や症状をチェックし、もし子どもがADHDかもしれないと思ったら、相談先や医療機関を活用するのも一つです。療育や薬物治療といった治療方法をうまく組み合わせることで、落ち着いた日々を過ごせることがあります。
【監修】井上 雅彦
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