子どものADHDとは?特徴チェック、診断や治療、病院選びから接し方までを解説

ADHDとは、発達障害の一つです。基本的な特性として、不注意、落ち着きがない、深く考えずに行動に移す、といった特性があります。

この記事ではADHDの子どもの日常行動における特徴のチェック、診断方法、治療方法や薬の種類、相談先・病院の探し方、子どもへの接し方を解説します。
接し方については、幼稚園・保育園、小学生、中学生・高校生といった学齢ごとと、女の子に対して、それぞれ紹介します。

監修

井上 雅彦

鳥取大学医学系研究科臨床心理学講座教授。応用行動分析学が専門。30年以上自閉症のある子どもや家族の相談、療育・家族支援プログラムの開発に携わる。株式会社LITALICO社外取締役。

子どものADHDとは

ADHDとは

ADHDは、「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」とも言う発達障害の一つです。不注意さや落ち着きのなさ、考えずに行動にうつす特性があります。そのため、日常生活や学校生活、コミュニケーションに難しさを感じることがあります。

原因

ADHDは、生まれつきの脳の一部の機能障害です。「親の育て方が原因だろうか」と悩む人もいますが、育て方のせいではありません。

三つの行動特性

ADHDには3つの行動特性があります。

■不注意

注意・集中することが苦手な特性です。集中力がなく飽きっぽい、忘れ物・失くし物が多いなどの特徴があります。

■多動性

じっとする・静かにすることが苦手な特性です。手足をいじっていつも落ち着きがなかったり、騒いだり動き回るなどの特徴があります。

■衝動性

我慢することが苦手な特性です。順番を待てず割り込んだり、会話の流れや雰囲気を気にせず発言するなどの特徴があります。

診断基準

診断を受ける場合は、医療機関で検査をする必要があります。

発達障害の診断には、主にアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)アメリカ精神医学会の診断基準である「DSM-5」を用います。
『DSM-5』DSM-5では、ADHDかどうかを診断するにあたり「不注意、多動性・衝動性のそれぞれの症状が、複数かつ継続的にみらる」「日常生活などの支障につながっている」などを基準にしています。

子どものADHD検査は、保護者から聞き取りする普段の様子も重要視されます。検査する場合は、事前に普段気になっている行動や様子をまとめておくとスムーズです。

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子どもがADHDかもしれないときの特徴チェック

ここでは、ADHDの子どもの日常行動から見られる特徴を紹介します。

発達障害の特性は、一般的には2~3歳になると表れると言われています。ただし個人差は大きくあり、思春期まで気づかれないケースもあります。また女の子については特有の症状があります。そのため、ここでは学齢ごとと女の子の特徴を分けて紹介します。

保育園・幼稚園(2歳、3歳~5歳)の特徴例

・いつもクネクネと動いて落ち着きがない
・気になることができると食事途中でも止めて動き回る
・お友だちからオモチャをとってしまう
・忘れものや失くしものが多い

小学生の特徴例

・授業中、イスに座れないでうろうろしてしまう
・忘れ物が多い
・順番を待つ・列に並ぶことができない
・先生に当てられていないのに話し出してしまう

中学生・高校生の特徴例

・自分の話ばかりしてしまい止められない
・極端に飽きっぽい
・好きなことにしか集中ができない
・思ったことを口に出しすぎてしまう
・忘れものや失くしものが多い
・計画的に物事を進められない

女の子の特徴例

・自分勝手、無遠慮と思われて友だちができない
・いつも部屋が汚れていて片づけられない
・出かけるまでの準備や服選びに時間がかかり、遅刻を繰り返す

特徴チェックはあくまでも参考です。より詳しく理解したい・診断したい場合は地域の専門窓口へ相談することも方法の一つです。

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ADHDの子どもへの治療法とは?療育や薬でできること

生まれつきの機能障害のため、完全に治すことは難しいですが、ADHDの子どもに対する治療は、環境・行動への介入と、薬物治療を組み合わせると効果的だと言われています。

環境・行動への介入(療育)

■環境調整

環境調整とは、家庭や学校といった作業する環境を集中しやすいように調整することです。例えば、勉強のときは気が散らないようお気に入りのオモチャを見えないように隠す、などです。

■ソーシャルスキルトレーニング(SST)

ソーシャルスキルトレーニングとは、社会で暮らしていくためのスキルのトレーニングです。例えば、人とコミュニケーションをするスキルや、歯磨きなどの生活スキルの訓練があります。

■ペアレントトレーニング

保護者が発達障害のある子どもとの接し方・子育ての工夫を学ぶプログラムです。例えば、叱り方・褒め方といった接し方から、家庭での環境調整について学ぶことができます。

これらの環境・行動への介入は、療育とも呼ばれ、児童発達支援、放課後等デイサービスなどで学ぶことができます。利用の際は、専門の窓口に相談する必要があります。相談先は後述します。

薬物治療

薬物治療は、うまく付き合うことでADHDの不注意、多動性・衝動性を軽減する効果があるとされています。
処方・服薬の際は必ず専門の医師に相談し、子どもにあったものを使用する必要があります。

■治療薬の種類

ADHDの主な治療薬は現在、コンサータ(一般名:メチルフェニデート塩酸塩)ストラテラ(一般名:アトモキセチン塩酸塩)インチュニブ(一般名:グアンファシ)ビバンセ(一般名:リスデキサンフェタミン塩酸塩)という4種類があります。

■効果や副作用

それぞれ、集中力を上げる・衝動を抑える、などの効果がありますが、食欲がなくなる、夜眠れなくなる、などの副作用も確認されています。
専門医としっかり相談し、慎重に取り扱うことが大切です。

■薬物治療を行うかどうかの見極め方

薬物治療には相性や副作用がみられる場合もあり、慎重な取り扱が求められます。
まずは環境調整や療育といった支援から行い、必要に応じて検討します。行うかどうかを見極める際には、大切なことが二つあります。

一つは、「使用すべき状態かどうか」です。専門医による確かな診断があり、子どもの症状に薬物治療が最適かどうか、常に理解している必要があります。「必ずしも薬を使わないといけない状態ではない」のであれば、薬物治療を行っていたとしても、やめどきを検討しても良いかもしれません。

もう一つは、「子どもがその意義を理解しているかどうか」です。子どもにとっては、通院や薬を飲むことそのものがストレスになることもあります。子どもが嫌がることがあれば、なぜ嫌がっているのか、理解する必要があります。

これらの治療方法や支援を受ける場合は、しかるべき医療機関にまずは相談することが大切です。

 

子どもがADHDかもしれないときの相談先や病院の探し方

「子どもがADHDかもしれない」「診断を受けたいと思っている」「既に診断されていて悩んでいる」「治療方法について相談したい」そのような際は、下記のような相談先・病院の探し方があります。医療機関で受診する前に、まずは相談先に相談するとよいでしょう。

相談先

■発達障害者支援センター

保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障害児(者)への支援を総合的に行う専門機関です。
公式HPはこちら

■児童発達支援センター

障害のある子どもが通所し、日常の基本動作・集団適応といったスキルの訓練を行う施設です。お住まいの市区町村へ問い合せが必要です。

■精神保健福祉センター

心の問題や病気で困っている本人や家族及び関係者の方からの相談を受け、心の健康・精神科医療についてのサポートをしてくれる場所です。
公式HPはこちら

■保健所・保健センター

こころの健康、保健、医療、思春期問題、ひきこもり相談など幅広い相談を受けつけています。
公式HPはこちら

ほかにも
・子育て支援センター
・児童相談所

などがあります。
それぞれインターネットなどで、お住まいの都道府県や市区町村と併せて検索してみてください。

病院(医療機関)の探し方

医療機関は、最終的に発達障害かどうかの診断や判断する際に必要な知能検査などの心理検査を実施する場所です。
必要に応じて専門医による薬の処方も可能となります。以下より、お住まいの地域に合わせて探すことができます。

■発達障害情報・支援センター|国立障害者リハビリテーションセンター

公式HPはこちら

■子どもの心の診療 機関マップ|国立成育医療研究センター

公式HPはこちら

■発達障害診療医師名簿|一般社団法人日本小児神経学会

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【学齢・男女別】ADHDの子どもへの接し方

ADHDの子どもへの接し方で意識したい点を、保育園・幼稚園、小学生、中学生・高校生、女子それぞれご紹介します。

基本的な接し方

ADHDの子どもの接し方で大切なことは、注意ばかりしないことです。ADHDの子どもは叱られることが多いため、自分に自信が持てないことが多くあります。成功体験を積むことで、やる気や自信がつきます。

■目標を決め、できたら褒める

「食事のあとは食器を台所まで運ぶ」などの目標を決めます。決めた目標に対し、できたその都度、また継続して努力できているときも褒めます。

■スケジュールを決める

例えば、家でも時間割を作成し、「19時になったらお風呂に入る」など決めておきます。生活のリズムができることで心が安定し、落ち着きがもてます。

■わかりやすいルールを決める

守ってもらいたいことややってはいけないことについて、子どもを一緒に話し合って決めます。決めたことは紙に書き、掲示します。守れた場合は、認める・褒めることが大切です。

■ごほうび制でモチベーションを維持する

具体的には夜に歯磨きをしたあと、シートにシールを貼るなどが挙げられます。シールが10個たまったら「週末どこどこに遊びに行く」など、ご褒美を決めます。

■注意する回数を減らすようにする

日常的に注意する回数が多くなりすぎると、本当にしてほしくない行動がうまく伝わらない事があるかもしれません。例えば、勉強しない、片づけないなど日常生活上のことには声をかけず、家族にひどいことを言う、危険な行動をとる、約束したことを破る、などの本当に注意すべき場合にのみ焦点をおきます。

保育園・幼稚園(2,3~5歳)の接し方

ADHDの幼少期の子どもは、親の言うことを聞かず、常に動き回ります。危険につながることもあるため、落ち着いて対応する必要があります。

・横断歩道を渡るときのルール、外を歩くときは手をつなぐルールなどルールブックを作成し、道中でも都度見せる
・レストランや商業施設など、人気が多く気をつかう場所は子どもの行動に注意をはらう

叱るときは愛情をきちんと示しながら、感情的にならず、冷静な対応をすることが大切です。

小学生の接し方

小学生になると、すること・できることが一気に増えます。気にしなくてはならないことも多く、本人も保護者も疲れてしまいがちです。
言い争いやトラブルを避けるために、日常行動のルールづくりが効果的です。

■子どもの良いところ・がんばっているところ・できているところを褒める

「学校へ行く」「じっと授業を受ける」など、一見あたりまえと思うことでも、本人は精一杯頑張っているかもしれません。努力を認める・褒めることで自信がつき、被害者意識や反発心が落ち着くことがあります。

■一緒にルールづくりを行う

小学生になると「ゲームに熱中しすぎてしまう」などの課題が表れることがあります。ルールをつくるときは、お互いに納得感を持てるよう、一緒につくることが大切です。

■環境調整をする

衝動性の高い子どもは、ゲーム機やマンガなどが見えてしまうと気持ちを抑えられなくなることがあります。なるべく目に入らないようにするなど、環境の調整をします。

■忘れ物をしないよう、メモ・リマインダー・リスト作成をし、常にチェックする

例えば電気のスイッチの隣に、「電気を消す」と張り紙をしておく、などが挙げられます。

■何を注意するか決めておく

保護者として子どもの気になる行動を書き出し、「危険・法にふれること」「やめてほしいこと」「気をつけてほしいこと」に分類し、叱るのは「やめてほしいこと」のみにする、などです。

・危険・法にふれること… 暴力、万引きなど
やめてほしいこと… 物を壊す、お金の持ち出しなど
・気をつけてほしいこと… ゲームのしすぎ、片付けをしない

中学生・高校生の接し方

中学生・高校生になると、学校や社会で要望されることが高度になってきます。ADHDの子どもにとっては、苦手なことが増える時期です。ただし自分で解決できることも増やせるように、親は辛抱強く、後方でサポートすることが大切です。

■得意なこと・できることを見つける

例えば「算数」が苦手な子どもに「数学」で点数をとることを求めると、逆効果になることがあります。苦手なことより、得意なこと・できることを見つけて、自信をつけながら、得意やできることを増やしていくことが生きる力につながります。

■お金の管理を学ぶ

お金の計画的な使い方を学ぶ補助ツールとして、おこづかいアプリなどを活用するのも一つです。

■時間の管理を学ぶ

TODOリストやリマインダーなど、提出物を忘れない工夫を行うことでサポートします。

女の子の接し方

ADHDの女の子は、女の子同士のコミュニケーションに悩むことが多くあります。例えば、悪気がないまま人の容姿を悪く言ってしまったり、おしゃべりが自分中心になってしまう、などが代表的に挙げられます。親が介入しづらい部分ですが、絶対的な味方であることを伝える姿勢が大切です。

■無理にグループに入る必要がないことを伝える

無理してまで友だち付き合いをする必要はありません。まずは本人に悪気のないことを理解してあげることで、心が落ち着くことがあります。

■異性関係のトラブルに気をつける

ネットに個人情報を書き込んだり、知らない人に教えてしまうなどのトラブルが起こることがあります。相談先の一つとして、母親など同性の話せる相手が近くにいることが大切です。

 

まとめ

ADHDは発達障害の一つです。基本的な特性として、「不注意」「多動性」「衝動性」といった3つの特性があります。

ADHDの特性は、日常生活や学校生活、コミュニケーションを難しくすることがあります。そのため、ADHDの子どもは大人から叱られる機会が多く、自信を喪失しがちです。

保育園・幼稚園、小学生、中学生・高校生といったそれぞれの時期や、女の子特有の悩みもあります。接する際は愛情を示しながら、一つひとつ冷静に向き合い、工夫や対応をすることが重要です。

特徴や症状をチェックし、もし子どもがADHDかもしれないと思ったら、相談先や医療機関を活用するのも一つです。療育や薬物治療といった治療方法をうまく組み合わせることで、落ち着いた日々を過ごせることがあります。

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