アスペルガー症候群・ASDの子どもとは?症状、特徴、話し方、診断方法、接し方

アスペルガー症候群とは、発達障害の一つです。基本的な特性として、こだわりが強い、コミュニケーションや社会的やりとりが苦手、といった特性があります。
なお、「アスペルガー症候群」という診断名は、2013年以降「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」に統一されています。

この記事では、アスペルガー症候群・ASDの子どもの症状・特徴・話し方、診断基準・原因や治療方法、接し方について解説します。
接し方については、幼児期・小学生・中学生・高校生といった年代別、そのほか女の子特有の特徴があるか、など性別の違いについても解説します。

監修

井上 雅彦

鳥取大学医学系研究科臨床心理学講座教授。応用行動分析学が専門。30年以上自閉症のある子どもや家族の相談、療育・家族支援プログラムの開発に携わる。株式会社LITALICO社外取締役。

アスペルガー症候群とは

現在の主な診断名は「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」

アスペルガー症候群とは、発達障害の一つです。基本的な特性として、こだわりが強い、コミュニケーションや社会的やりとりが苦手、といった特性があります。
「アスペルガー症候群」の診断名は、2013年以降「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」に統一されました。正式な診断名としての「アスペルガー症候群」は、今はほぼ使われていません。
ただし、いまだ「アスペルガー症候群」という表現も根強く浸透しているため、この記事では「アスペルガー症候群・ASD」と併せて表記していきます。

関連記事

子どもの自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)って?診断基準や特徴、その対応方法とは

原因

アスペルガー症候群・ASDの原因は、まだ特定されていません。先天的な脳の機能障害で、さまざまな遺伝的要因が複雑に関与し合い、発現すると考えられています。
「親の育て方が原因だろうか?」と悩まれる方もいますが、育て方は原因ではありません。

治療方法

現代の医学では根本的な治療はまだ不可能と言われています。
ただし、アスペルガー症候群・ASDの子どもは、独特のものごとの捉え方・学び方をします。個々の発達に合わせた捉え方・学び方をすることで、日々の生活が安定することがあります。
個々のニーズや信頼できる専門家のアドバイスを正しく理解し、適切な支援につなげることが必要です。

アスペルガー症候群・ASDの子どもの症状・特徴・話し方をチェックする

基本的な3つの特性と症状・特徴の例

アスペルガー症候群・ASDには、「社会的なやりとりの障害」「コミュニケーションの障害」「こだわり行動」といった3つの基本的特性があります。アスペルガー症候群・ASDの人は独特の捉え方をするため、コミュニケーションが難しいのが特徴です。

■社会的なやりとりの障害の症状・特徴例

・人と目と目を合わせるのが苦手
・名前を呼ばれても反応をしない
・マイペースな行動が目立つ

■コミュニケーションの障害の症状・特徴例

言われた言葉をそのままオウム返しする
・表情などから相手の気持ちを読み取ることができない
・たとえ話をされても理解が難しい
・自分の興味のある話を一方的にしてしまう
・冗談や曖昧な表現が理解できない

■こだわり行動の症状・特徴例

・決まった順序・道順にこだわる
・予定が変わるとパニックを起こす
・活動の切り替えが苦手
・好きなことや興味のあることへの知識が豊富

話し方の特徴

3つの基本的特性によって、話し方にも特徴があると言われています。

・会話が成り立たない時がある
・年齢の割に大人びた話し方、丁寧な話し方をする
・難しい言葉や漢字表現、英語表現を好む
・気に入ったことを繰り返し言う

以上は、あくまでも症状や特徴の例です。アスペルガー症候群・ASDかどうかの診断は、しかるべき場所で検査する必要があります。

アスペルガー症候群・ASDのお子さまの進路について勉強会で聞く

自閉症スペクトラム向け
個性にあった小学校・中学校選び

こだわりが強い?マイペース?自閉症スペクトラム特有の事例から学ぶ環境選び

子どもがアスペルガー症候群・ASDかどうか診断する方法

診断基準

ここでは、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)における「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」の診断基準について解説します。
なぜならアスペルガー症候群は、『DSM-5』において前述のように診断分類が廃止され、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」に統合されているからです。

『DSM-5』とは、アメリカ精神医学会が出版する精神疾患の診断基準・分類を記したものです。

ただし、アスペルガー症候群という病名は、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の病気分類にて、現在も使われています。日本の発達障害者支援法も、『ICD-10』に基づいています。

このように複雑な状況ではありますが、新たに提出された『ICD-11』ではアスペルガー症候群は自閉スペクトラム症に統合される見通しです。日本では数年以内に適用される予定です。(2020年現在)

『DSM-5』による診断基準では、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」は「コミュニケーションの持続的問題がある」「こだわり行動が2つ以上ある」など、複数の条件が挙げられており、これらの条件が満たされたときに診断されます。
これらは、日常行動に関する質疑応答や、知能検査、発達検査を行い、あらゆる要素から検討し、最終的に診断されます。

相談先

診断は専門医が行います。「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」は非常に診断が難しい障害のため、まずは専門機関の相談窓口を利用することがおすすめです。

■発達障害者支援センター

保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障害児(者)への支援を総合的に行う専門機関です。
公式HPはこちら

■児童発達支援センター

障害のある子どもが通所し、日常の基本動作・集団適応といったスキルの訓練を行う施設です。お住まいの市区町村へ問い合せが必要です。

■精神保健福祉センター

心の問題や病気で困っている本人や家族及び関係者の方からの相談を受け、心の健康・精神科医療についてのサポートをしてくれる場所です。
公式HPはこちら

■保健所・保健センター

こころの健康、保健、医療、思春期問題、ひきこもり相談など幅広い相談を受けつけています。
公式HPはこちら

ほかにも
・子育て支援センター
・児童相談所
などがあります。
それぞれインターネットなどで、お住まいの都道府県や市区町村と併せて検索してみてください。

 

アスペルガー症候群・ASDの子どもへの接し方

基本的な接し方

アスペルガー症候群・ASDの子どもは、独特の捉え方をします。特性を理解することで、その行動の理由が分かり、対策ができるようになります。
接し方で大切なことは、「抽象的な要素をなくし、具体的に伝えること」「こちらの考えや意図・感情なども、一つひとつ表すこと」です。
基本的な対応に以下があります。

■書いて伝える

耳で聞くより、目で見るほうが理解しやすい場合が多いです。
説明するときは絵や図に書きながら説明したり、ふせんを用いるなどの工夫があります。
〈例〉
・「家に帰ったら ①靴を脱ぐ ②手を洗う ③うがいする」など紙に書きながら説明する
・玄関に「靴を脱ぐ」とふせんを貼る

■具体的に教える

チェックリスト、手順表、スケジュール、絵などを用意すると伝わりやすくなります。
〈例〉
・リュックサックに持ち物を入れる際、持ち物チェックリストや、リュックサックに入れる順番の表も用意する

■見通しを伝える

順番や終わりがわかると安心でき、予告しておくことでパニックを起こしにくくなります。
〈例〉
・遠足の予定表のように、何時に何があり、何時に終了するかを伝える

■感情を言葉で表す

感情を伝える際は言葉・表情カードなどで表すと、人の感情を理解する助けになります。
〈例〉
・「ありがとう」と言われたときは嬉しい表情のカードを見せ、「ありがとうと言われると嬉しい」ことを表す

また年齢によって特に気をつけたいことが変わってくるため、年代別の接し方の例をご紹介します。

 

幼児期(3歳~5歳)の子どもに気をつけたいこと

幼児期はこだわりが強く表れます。また、本人がそれをうまく言葉にできないため、大人はわがままに感じてしまうこともあります。
こだわりが強いのは特性の一つです。無理にやめさせようとすると逆効果になるときもあるため、気持ちの切り替えには工夫が必要です。

〈例〉
・タイマーで時間を区切る
・事前に何回か説明して納得を深める
・「○○の後にまたできるよ」など見通しを伝える
・視覚的なスケジュールなどで伝える など

また、こだわりは不安があると強くなるため、不安の原因をやわらげてあげることも一つです。

 

小学生の子どもに気をつけたいこと

小学生になると、自己主張が増えます。それ自体は健全な成長と言えますが、アスペルガー症候群・ASDの子どもの場合、言い方が攻撃的・直接的になることがあります。しかし、わざとではありません。以下を意識しながら、冷静に話すことが大切です。

・短い文章で端的に伝える
・「ダメ」などの否定的な言葉は使わず、「こうすればいいよ」と肯定的な表現に置き換える
・皮肉やほのめかしは使わず、そのまま受け取ってもいい言い方をする
・頑張っているところやうまくいっているところを褒める

 

中学生・高校生の子どもに気をつけたいこと

中学生・高校生になると、人間関係が複雑になっていきます。特にアスペルガー症候群・ASDの子どもは、言葉をそのまま受け取ります。悪意や嘘に気づけないまま、困った状態にならないよう意識することが大切です。

〈例〉
・「これはいいこと」と誘われて悪いことをしてしまう
・「お金を無くして困っている」と言われてお金を渡してしまう
・「誰にも言うなよ」と言われて生真面目に守ろうとしてしまう

反抗期であったり、不登校など学校への行き渋りがみられることもありますが、悩みを聞くことで落ち着く場合もあります。「味方だよ」「困っていたら助けるよ」という姿勢が重要です。

〈悩みを聞くときに大切なこと〉
・静かな部屋で一対一で聞く
・書くものを用意し、確認・整理しながら聞く
・決めつけをしない
・「何が言いたいの?」など命令調の質問をしない
・ときには、親以外の知り合いやカウンセラーに相談相手を頼む

 

女の子特有の特徴・気をつけたいこと

女の子は10~12歳前後になってから周囲とのズレを感じ始める子も少なくありません。ガールズトークがうまくできないことや、身体に変化が出始めることで、ひんぱんに体調不良を訴えることもあります。

■生活のリズムを整える

夕食、テレビ、入浴、勉強など、時間を決めて、毎日同じ生活を過ごせるようにサポートします。いきなりが難しければ、決めた時間の3時間ごとに飲み物を飲んで休憩する、なども一つです。

■体の成長について教える

女の子は10歳を過ぎると、月経などの身体の変化が起こり始めます。パソコンや本を使いながら、説明していくと安心につながります。

アスペルガー症候群・ASDのお子さまの進路について勉強会で聞く

自閉症スペクトラム向け
個性にあった小学校・中学校選び

こだわりが強い?マイペース?自閉症スペクトラム特有の事例から学ぶ環境選び

関連記事

小学生の発達障害って?起こりやすいトラブルへの対応・サポート方法とは

まとめ

アスペルガー症候群とは、発達障害の一つです。基本的な特性として、こだわりが強い、コミュニケーションや社会的やりとりが苦手、といった特性があります。2013年以降は、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」という呼び方に統一されました。

アスペルガー症候群・ASDには、社会的なやりとりの障害、コミュニケーションの障害、こだわり行動といった、3つの基本的特性があります。
そのため、接し方にも、幼児期・小学生・中学生・高校生といった年代ごと、女の子特有の特徴などに対し意識が必要なポイントがあります。

子どもがアスペルガー症候群・ASDかもしれない、または診断が既についていて、何かに困っているときは、専門機関の相談窓口や第三者に頼ることも一つです。

アスペルガー症候群・ASDのお子さまの進路について勉強会で聞く

自閉症スペクトラム向け
個性にあった小学校・中学校選び

こだわりが強い?マイペース?自閉症スペクトラム特有の事例から学ぶ環境選び

この記事に関連するキーワード

この記事をシェアする