2022.12.21
児童発達支援とは、障害のある未就学の子どものための支援の一つです。
住んでいる地域にある児童発達支援センターや児童発達事業所に通いながら、療育や生活の自立のための支援を受けることが可能ですが、どのように利用すればよいのでしょうか?また、具体的に受けられる支援のイメージがつかず、なかなか利用に踏み切れないという方もいるかと思います。
今回は児童発達支援について、利用までの流れや支援の具体例など、詳しく解説します。
児童発達支援とは、障害のある子どもを対象とした児童福祉法に基づく通所支援の一つです。
具体的には、未就学(=小学校就学前の6歳まで)の障害のある子どもが、児童発達支援センターなどの施設に通い、日常生活における基本的な動作のトレーニングや、集団生活への適応訓練などの支援を受けることができます。
未就学という早期の段階から、児童発達支援に通い適切な支援を受けることによって、子ども自身や保護者の困りごとを軽減すること、必要なスキルを早期に獲得すること、その後の社会生活における困難さを起こりにくくすることなどが期待されます。
児童発達支援は「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業所」のサービス形態があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
児童発達支援センターは、各地域における児童発達支援の中核的な役割を担う施設で、指導発達支援を行うほか、保育所等訪問支援や障害のある子どもやその家族への援助・助言を行います。
児童発達支援センターの中でも、福祉サービスに通う「福祉型」と、福祉サービスに併せて治療を行う「医療型」のに分けられます。
また基本的に児童発達支援センターは、未就学児を対象とした児童発達支援に基づく施設ですが、就学児を対象とした放課後等デイサービスを併設している場合もあります。
児童発達支援事業所は、児童発達支援センターと同様に、障害のある子どもやその家族に対する支援を行う通所施設です。
児童発達支援センターが地域の中核的な存在であるのに対し、児童発達支援事業所はより身近な存在として支援を行うため、地域に多く設置され通所しやすい環境をつくっています。
児童発達支援センターは障害の種別に関わらず、適切な支援が受けられるよう質の確保を、児童発達支援事業所は通所しやすいよう、できる限り身近な地域に多く設置する量の確保を図る目的でそれぞれ設置されているといえます。
障害のある子どもを支援する施設として、児童発達支援の他にも放課後等デイサービスがあります。
児童発達支援も放課後等デイサービスも2012年度から開始した事業で、障害のある子どもを支援するという目的自体に大きな違いはありませんが、施設を利用できる対象年齢が異なります。
児童発達支援は、0歳〜6歳までの未就学児が対象となり、小学校入学前の子どもが利用できます。
一方、放課後等デイサービスは小学校に入学する6歳〜18歳までの就学児が対象となっています。
また必要性が認められた場合には、18歳を過ぎても20歳まで利用を継続できます。
対象年齢が異なるため、児童発達支援では安全に日常生活を送るための動作や、気持ちの切り替え・意思を伝えるための言語獲得、コミュニケーションなどを習得するような支援が行われます。
対して、放課後等デイサービスでは学校生活などで生じる困りごとや学習の遅れなども支援範囲となります。
思春期に見られる複雑な人間関係の問題、進学や就職など将来の希望に合わせた支援を行う事業所もあります。
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児童発達支援は、療育の観点から支援が必要であると認められた、未就学の障害のある子どもが対象です。
具体的には、乳幼児健診などで療育の必要があると認められた場合や、保育園や幼稚園などに通っていながら障害の特性に合わせた専門的な療育・訓練が必要と認められた場合などに、児童発達支援の対象となります。
療育手帳や身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っていない場合でも、障害児通所給付費支給申請を専門家の意見書などと一緒に窓口に提出し、児童発達支援利用の必要性が認められれば、受給者証が市区町村から交付されます。
この受給者証を取得することで、児童発達支援通所の申し込みができ、1割負担でサービスを受けることが可能になります。ただし負担金額については、世帯の収入状況による上限額の設定があるため利用する際によく確認をするようにしてください。
児童発達支援では、保育園や幼稚園の代わりに事業所へ毎日通う場合もあれば、習い事のように週に何回か通って療育を受ける場合もあります。
子どもの状況や発達の程度、通所できる施設が家の近くにあるかといった環境面、通所できる施設のタイプなどによって受けられるサービスはさまざまです。
また、1ヶ月の間にサービスを受けられる日数には上限があり、多角的に障害のある子どもやその家族の状況、環境、利用意向などを踏まえた上で、受給者証の発行時に利用回数が決まります。
地域や施設によって受けられるサービス内容は異なるので、具体的なサービス内容については利用を検討している段階で各施設に問い合わせたり、見学時に質問したりして相談してみてください。
以下には、基本的なスタッフの配置およびサービス・支援内容の例を示します。
専門的な資格を持つスタッフや、発達支援に関連する専門的な研修を受けたスタッフが支援を行います。
児童発達支援事業所で働くスタッフの人数などは、利用定員によって定められています。
児童発達支援管理責任者(通称:児発管)は、事業所ごとに1名以上常勤・専任で配置することが義務付けられており、子どもや家族のニーズを元に、子ども一人ひとりについて児童発達支援計画(個別支援計画)を作成したり、子どもや家族への相談援助業務を行ったりします。
児童発達支援計画作成の際は、児童指導員・保育士など、児童発達支援事業に携わる他のスタッフの意見を反映させながら進めていきます。
また、サービス提供に関連するスタッフへの指導・指示や、他の事業所など関連機関との連絡調整を行う役割も担います。
行事の実施や利用児童のモニタリングなどの一環で、一時的に支援に加わる場面もありますが、療育の客観性を確保するため日々の支援業務の人員には加えられていません。
児童発達支援事業所では、指導員または保育士の配置が必須となっており、利用定員が10人以下の場合は2人以上(うち1人以上は常勤)、10人以上の場合は利用者が5人以内増えるごとに1人の人員が必要になります。
児童支援員は、子どもの日常生活の支援をはじめ、学習や遊びなどの支援・指導を行い、社会ルールの習得を促す役割を担う任用資格です。
任用資格を得るためには一定の学歴や実務経験を積む必要があり、児童指導員を配置する事業所に所属している間だけ「児童指導員」を名乗ることができます。
保育士は、国の定めた「保育所保育指針」をもとに子どもの情緒の安定や家族・スタッフをはじめとする大人との信頼関係を基盤にした発達を促す資格です。
専門的な知識・技術をもって障害のある子どもの保育に携わり、家族に対して保育指導を行う役割も担います。
機能訓練担当職員の配置は必須ではなく、機能訓練を行う場合のみ必要になります。
機能訓練担当職員は、機能訓練指導(リハビリテーション)、日常生活動作の確認、個別機能計画作成を行います。
児童発達支援では、まず障害のある子どもが将来日常生活や社会生活を円滑に営めるように、一人ひとりの状態に応じて必要な支援を行うことが求められます。
(1)心身の健康や生活に関する領域
(2)運動や感覚に関する領域
(3)認知と行動に関する領域
(4)言語・コミュニケーションの獲得に関する領域
(5)人との関わりに関する領域
以上5つの領域において、どのような支援が必要かを検討し、サービスを提供します。
また、児童発達支援では、子どもの発達課題に応じて個別療育・集団療育を提供しています。
個別療育は、子どもの発達状況と家族からの要望とのすり合わせを行い、一人ひとりに合わせた課題を設定した上で、遊びや運動を基本とした支援を行います。
子どもの発達や成長に応じて、プログラム内容を柔軟に調整することが可能です。
例えば、ことばの発達の遅れや聴力損失がある子どもへの言語指導では、発達状況に応じて段階的な支援プログラムを組みます。
一方で集団療育は、年齢別・障害の種類別・発達課題別などでグループ分けをした上で支援を行います。
活動内容の難易度を調整することで、同じような課題を持つ子どもであれば誰でも参加できるようなプログラムになっています。
例えば、ルールのある遊びを通して相手の行動に合わせる力(協調性)を養ったり、他者とのコミュニケーションを通してソーシャルスキルトレーニング(SST)と心理的支援を行ったりします。
プログラムを通して子どもや家族の困り感を軽減し、自己肯定感を高めることは、個別療育・集団療育に共通した目的の一つといえるでしょう。
厚生労働省が定める「児童発達支援ガイドライン」の中で、児童発達支援の役割の一つに、地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進するため、保育所・認定こども園・幼稚園などと連携を計りながら支援を行うとともに、専門的な知識・経験に基づき、保育所などの後方支援に努めなければならないということが挙げられています。
そのため児童発達支援では、地域の保育園・幼稚園、医療機関、保健所、児童相談所などの専門機関と連携し、障害のある子ども一人ひとりに対する課題を検討するなど、子どもたちが地域で適切なサポートを受けられるように支援することが求められます。
障害のある子ども自身だけではなく、その家族が安心して生活できるように、さまざまな負担を軽減していくための物理的・心理的な支援を行うことも、児童発達支援の大切な役割の一つです。
例えば下記のような支援内容が該当します。
(1)保護者面談を通じた子育て上の課題のヒアリング
(2)定期的な子どもの発達状況の共有や支援ニーズの確認
(3)家族向けのペアレントトレーニング
(4)子どもとの関わり方などに関する相談や助言
送迎、給食やおやつなどのサービスを提供する事業所もあります。
また、知能検査や発達検査などを実施する事業所もありますが、施設によって提供するサービスの内容はさまざまなため、事前にどんなサービスが受けられそうか確認しておくとよいでしょう。
児童発達支援のプログラムは、大きく分けて個別療育と集団療育があります。
どちらか一方だけというよりは、個別療育と集団療育を組み合わせて行われる場合が多く、親子で一緒に受ける場合などもあります。
事業所によってプログラムの詳細はさまざまあります。
ここでは、児童発達支援のプログラムの内容例をご紹介します。
年齢に応じた発達目安に対して、ことばが遅い・発語があまり見られないという場合には、声かけなどで発語を促したり、遊びを通して語彙を増やしたりする支援を行います。
例えば、動きがあるもの・音が鳴るもの・光るものなど、子どもの興味を惹きやすいおもちゃや遊びを活用して、子どもの「要求」と「ことば」を結びつける練習をします。
また、家庭でも子どもがことばで伝えたくなるような環境がつくれるよう、家族の声かけや関わり方について指導する場合もあります。
他にも、言語聴覚士による構音指導(発音の誤りや不明瞭さの原因を探り、正しく発音できるようにサポートすること)を行っている事業所もあります。
周囲の人とうまくコミュニケーションが取れない場合や、友だち同士でトラブルになることが多く社会性に不安を感じるという場合には、遊びを通して、人との関わりへの興味を促したり、集団活動のスキルを身につけたりという支援を行います。
例えば、ごっこ遊びやルールのある遊びの環境を設定し、友だちと一緒に活動することで、同年代との関わり方を楽しく練習します。
また、保育園や幼稚園などを指導員が訪問する「保育所等訪問支援」を通して、事業所外の環境の中でもコミュニケーションが成功しやすい環境を整えることもあります。
1人で着替えられない場合や、1人でトイレに行けないといった場合には、食事・トイレ・着替えなどの基本的な生活習慣の練習・トレーニングといった支援を行います。
ただし「着替える」という行動ができないからといって、着替える練習ばかり行うと、子どもにとっては難易度が高く失敗体験を積み重ねてしまう要因となります。
そのため、「着替える」という動作を「上着を着る」などの手足を大きく動かす動作から、「ボタンをはめる」などの手先を細かく動かす動作までさまざまに分解し、それぞれの動作がスムーズにできるよう遊びを通してトレーニングを行います。
家庭や園でも同じように行動ができるよう、環境設定のポイントを家族や園の先生と連携する場合もあります。
児童発達支援の場合、対象者は未就学児です。
5歳〜6歳頃になると、小学校入学に向けて学習の準備がしたいものの、本人の学習意欲が低くて困っているという家族のニーズが顕在化する場合があります。
その場合は、子ども本人の興味関心や理解に合わせたところから学習習慣を身につけるためのプログラムがスタートします。
例えば、好きな絵本を使って文字を読むことに親しんだり、内容を聞いて感想を言ったりすることで、国語に必要な文章の理解を進めていきます。
また、ブロックやおもちゃなどを使いながら、ゲームなどを通して増える・減るという概念を理解していき、算数に必要な数量の理解を進める場合もあります。
さらに、小学校以降の集団生活に備えるため、集団療育を取り入れ個別療育で練習したことを試す場としても活用します。
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一緒に過ごすことが多い就学前の親子にとって、児童発達支援の事業所に通っている間離れて過ごす「母子分離」も大切な経験の一つです。
第三者の立場である指導者から、子どもの発達や状況を聞くということも、家族にとって児童発達支援のサービスを受ける重要な価値になるかもしれません。
一方で、親子で一緒にプログラムを受けることで、お互いの関わり方のポイントを学ぶ機会もあります。
児童発達支援で受けられるサービス内容の一例として、実際の事業所で実施されたプログラム事例をご紹介します。
自分の思い通りにならないと、泣いたり叫んだりと癇癪やパニックを起こしてしまい、理由を聞いてもなかなか言葉で伝えてくれないというケースです。
勝ち負けのあるゲームプログラムを通して、子どもの思い通りにいかない場面を設定します。
思い通りにいかず泣いてしまった場合には、代替行動として言葉で要求する方法を身につけたり、廊下に出て怒りが静まるまでクールダウンしたりと、場面に合った気持ちの切り替え方を学びます。
感情のコントロールにおいて、子ども自身が自分の感情に気づくこと、どうしたいのかを理解することを目的として、感情の状態を温度計に見立てた絵を見せて、子ども自身に「どれくらい怒っているのか」当てはまる感情に指差しをしてもらいます。
このプログラムを通して、自分の感情に気づくことができるように促します。
運動だけでなく手先を動かすことも苦手で、ダンスでは周囲についていけず一人で棒立ちになってしまい、工作でも周囲と同じようにできず途中で諦めてしまうケースです。
運動が苦手だったり、手先が不器用だったりする場合は、自分の身体や手先を動かすイメージが掴めていないことが原因として考えられます。
子どもが失敗体験を積み重ねてやる気を失ってしまわないように、取り組む活動を小さな活動に分解し、スモールステップで少しずつ課題を克服していく必要があります。
例えば、色の違うラダー(縄梯子のようなもの)を用意し、スタートとゴールの位置を決めます。子どもには「先生が通ってきた順番でついてきてね」と伝え、指導員が歩いたラダーの順番を見て、子ども自身が動く場所を記憶しながら身体を動かす練習をします。
指導員の動きを見て覚え、その通りに自分自身の身体を動かすスキルを獲得することで、身体をイメージ通りに動かす体験をします。
ハサミを使うには、まず親指・人差し指・中指の操作の前に、手全体を使って握ったり閉じたりする操作の練習をします。
子どもの手でも持てるサイズ感のトングを用意し、おもちゃなどを掴んで離す活動を行い、手を開いたり閉じたりするスキルを獲得してもらいます。
手全体の操作のイメージが掴めると、細かい指の動きもイメージできるようになり、複雑な工作活動も試せるようになります。
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児童発達支援を利用するためには下記のような手続きを踏む必要があります。
市区町村の福祉相談窓口や障害児相談支援事業所などに相談します。
どんなサービスを利用したいかなどの聞き取りが行われたり、地域の児童発達支援事業所リストなどの情報提供をしてもらえたりします。
受給者証の申請の流れや必要な書類は市区町村によって違うこともあるので、このときに詳しく聞いておきましょう。
実際に利用したい事業所に行き、見学を行います。
希望すれば、実際に提供されているプログラムの一例を体験ができる事業所もあるため確認してみましょう。また、子どもに合った利用プランなどについても具体的に相談すると良いでしょう。
事業所の意見書など、地域によって申請時に必要な書類がある場合は作成を依頼します。
利用したいサービス内容が決まったら、相談支援事業所で受給申請に必要な「障害児支援利用計画案」を作成してもらいます。
市区町村にある相談支援事業所に行くか、地域によっては家庭訪問をして聞き取りを行う場合もあります。
また、相談支援事業所に行けない場合などは、「障害児支援利用計画案」をセルフプランとして家族や支援者が作成することも可能です。
受給者証を取得するため、市区町村の福祉担当窓口に障害児通所給付費支給申請書や障害児支援利用計画案(もしくはセルフプラン)を提出します。
この時、所得などを証明する書類、持っていれば療育手帳や障害者手帳を提示します。手帳がない場合は児童相談所、市町村保健センター、医療機関などの意見書などを提出することもあります。
そのほか必要な書類は市区町村によって異なります。
見学に行った児童発達事業所の意見書やマイナンバーが必要な場合もあるため、何を準備すればよいか事前によく確認しておきましょう。
受給者証を交付するための利用要件を満たしているかどうか、また子どもに必要だと考えられる適切なサービスの量(日数)について、市区町村の支給担当窓口によって検討が行われます。
面接調査や訪問調査で、状況の聞き取りやアセスメント、サービス利用意向の聞き取りなどが行われる場合もあります。
その後審査が行われ、受給者証が交付されるかどうか決定まで1〜2ヶ月かかることもあります。
サービスの支給が妥当と判断されたら、受給者証が交付されます。
郵送や直接受け取りに行く場合など、市区町村によって受け取り方法はさまざまです。
交付を受けたら、障害児支援利用計画を作成します。
障害児支援利用計画は、相談支援事業所が受給者証の給付決定内容に基づき、利用を希望する事業所と連絡し調整の上で作成します。
この場合も、家族や支援者がセルフプランとして「障害児支援利用計画」を作成することが可能です。
交付された受給者証と障害児支援利用計画(もしくはセルフプラン)を持って、事業所に行きサービスを受ける契約手続きをします。
印鑑や健康保険証、持っている場合は療育手帳・障害者手帳など、その他に必要な持ち物は事前に確認しましょう。
利用契約が完了すると、決定した利用開始日以降に事業所に通うことが可能になります。
児童発達支援は障害児通所給付費の対象となるサービスです。
受給者証を取得することで、国と自治体から利用料の9割が給付され、1割の自己負担でサービスが受けられます。
また、利用日数は一律ではなく、受給者証によって一人ひとり受けられるサービスの量が決められています。
障害のある子どもやその家族の状況や環境、利用意向などを踏まえて受給者証の申請時に審査が行われ、1ヶ月に使える日数の上限が受給者証の交付時に決定されます。
その定められた範囲内で、子どもに必要なサービスを組み合わせて利用計画が立てられます。
利用した日数に応じた1割負担分の利用料を支払いますが、前年度の所得に応じて負担上限月額が設定されており、1ヶ月の間に利用したサービス量に関わらず、上限金額以上の負担は生じません。
市区町村によってはこれ以外にも独自の助成金がある場合もあるため、問い合わせてみましょう。
なお、利用料金の他におやつ代などの食費や教材費などの実費が発生する場合もあります。
さらに児童発達支援を利用する場合、下記のような負担軽減措置があります。
障害児通所支援に限り、多子軽減措置があります。
多子軽減措置とは保育所等に通い、または障害児通所支援を利用する未就学児が同一世帯に2人以上いる場合に、第2子以降の利用者負担額の軽減を行うというものです。
具体的な軽減額などは市区町村によっても異なるため、窓口に問い合わせてみましょう。
通所支援施設を利用する場合、食費の減免があります。
(1)生活保護世帯および市町村民税額非課税世帯:上限額2,860円
(2)市町村税課税世帯(年間収入がおおむね890万円以下の世帯):上限額5,060円
③上記以外(年間収入がおおむね890万円を超える世帯):上限額11,660円※軽減なし(月22日利用の場合)
実際の食材料費は施設により設定されます。
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児童発達支援での1日の流れの一例を事業所のタイプ別にご紹介します。
ただし、障害のある子どもや家族の状況、事業所で提供できるサービス内容などによって、一人ひとり支援内容は異なります。
実際にどんな支援が受けられるのかについては、市区町村窓口や見学に行った事業所で確認をしてください。
療育を中心とした事業所では、集団療育と個別療育を曜日ごとに組み合わせて通うタイプが多いのが特徴です。
市区町村が判断した受給者証で受けられるサービスの量に基づいて、子ども一人ひとりに必要なプログラムと利用回数を選択することができます。
保育園や幼稚園が終わった後に通うことのできる習い事型の事業所も多くあります。
保育園や幼稚園のように、長時間預かり型の事業所では、1日を通してさまざまなプログラムが行われます。
事業所によって朝から夕方まで預かる場合や、お昼頃に帰宅する場合などさまざまで、送迎がある場合もあります。
児童発達支援は、障害のある未就学の子どもやその家族を支援し、将来の社会生活の中での困り感を少しでも減らすため、身近な地域で受けられる福祉サービスの一つです。
未就学の時期は、身辺自立や社会性、コミュニケーションを学ぶ重要な時期です。また困り感を長く抱えていると二次障害の発症などのリスクも高まるため、発達に気になる点がある場合は、早めの支援がポイントです。
児童発達支援を有効に活用し、子ども一人ひとりの特性に合わせた支援を就学前の早期から行うことにより、子どもたちがその後の人生において生活しやすくなることが期待されます。
乳幼児健診などで発達に気になる点があると指摘された、園生活や普段の生活の中で困っている点があるという場合は、ぜひ専門機関で相談の上、児童発達支援の利用を検討してみてください。