特別支援学級とは?入学基準や就学先の決め方、対象児童、その先の進路も解説

小・中学校において特別な支援を必要とする子が個に応じた教育的支援を受けることができる「特別支援学級」。「自閉症・情緒障害」特別支援学級、「知的障害」特別支援学級などさまざまな種類がありますが、入る基準、判定までの流れはどのようなものでしょうか。

また、子どもの学校環境として特別支援学級を考える場合、「教員はどのような人?」「卒業後の進路は、どのようなものがあるの?」なども気になるかもしれません。

似た名前で「特別支援教室」「特別支援学校」もあります。この記事では、通級指導教室も含めて、それらの違いついても分かりやすく紹介します。

監修

井上 雅彦

鳥取大学医学系研究科臨床心理学講座教授。応用行動分析学が専門。30年以上自閉症のある子どもや家族の相談、療育・家族支援プログラムの開発に携わる。

特別支援学級とは?特別支援学校・通級指導教室・特別支援教室との違い

特別支援学級の目的と概要

特別支援学級とは、子どもが一人ひとりに応じた教育を受けることができるよう小・中学校に設置された少人数のクラスです。

1クラスの人数の基準は8人とされていますが、地域によってその実態はさまざまです。小学校の通常の学級が現行40人(※2021年5月現在)を標準としていることを考えると、より個別の支援が期待できる体制です。

 

特別支援学級の障害種別

特別支援学級は、以下の7つの障害種別ごとに学級があります。
「自閉症・情緒障害」「知的障害」「肢体不自由」「弱視」「難聴」「言語障害」「病弱者及び身体虚弱」

障害の判断は専門医による診断だけではなく、観察・検査などの教育的・心理学的観点からも行われます。

「自閉症・情緒障害」特別支援学級とは、自閉症などに類し意思疎通や対人関係に困難さがある、または心理的な要因などで社会生活への適応に困難さがある子どもに向けたクラスです。発達障害はこのクラスに該当することが多くあります。

 

特別支援学級の設置実態と在籍する子どもの割合

就学先決定における総合的判断には、地域ごとの教育体制・整備状況も影響します。実際、特別支援学級はどれほど設置されているのでしょうか。

2018年5月1日段階では、公立の小・中学校全30,244校のうち、24,393校(80.6%)が特別支援学級を設置しています。
特別支援学級に在籍する子どもは年々増えており、2018年5月1日段階では256,671人です。これは、10年前の2008年124,166人と比べて2倍以上に増えています。

また、学級種別により在籍する子どもの増えかたも異なります。

 

特別支援学級の教員の資格は

特別支援学級の教員になるには、特別支援学校教諭免許状を持っていることが望ましいですが、現在は必須ではありません。
幼稚園、小学校、中学校、高等学校にはそれぞれ教諭免許状がありますが、この教諭免許状があれば担当できます。

実態としては、2018年5月1日段階では特別支援学級の担当教員数68,266人のうち、21,048人(30.8%)が特別支援学校教諭免許状を持っています。

特別支援学校の教員も同様に「特別支援学校教諭免許状」の所持が望まれます。
2020年5月1日段階では、特別支援学校の教員70,378人のうち、免許状を持っているのは59,765人(84.9%)です。所持率は各地域の推進もあり、年々向上しています。
所持率は都道府県によっても異なり、都道府県ごとの詳細は、下記6ページ目(8枚目)に記載があります。

公立特別支援学校における特別支援学校教諭等免許状の都道府県別保有状況|文部科学省

就学先によって、クラスメイトとの人間関係、勉強、将来の進路、本人の自信形成などに影響することがあります。しかし、どこが合うかは状況や子どもによって異なり、また設置実態や教員、支援できることは、その学校や地域により異なります。

就学先を選ぶ際には、学校に見学に行くなど、事前に確認することが大切です。

特別支援学級と、通級指導教室・特別支援教室・特別支援学校の違いは?

■通級指導教室

通級指導教室とは、通常の学級に在籍しながら週数回程度、「通級による指導」という特別の指導を受ける教室です。
障害の程度が比較的軽度であること、在籍クラスが通常の学級であるところが、特別支援学級との大きな違いです。

ただし、通級による指導は在籍校で受けられるとは限りません。別の学校に移動するケースも多くあります。

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■特別支援教室

特別支援教室は、通常の学級に在籍しながら週数回程度、在籍する学校で特別の指導を受ける教室です。
通級指導教室と似ていますが、特別支援教室は在籍校で指導を受けることができ、子どもが別の学校に移動をする必要がありません。担当教員がその子どもの在籍校に巡回し指導するためです。

特別支援学級との違いは、通級指導教室と同様、障害の程度が比較的軽度であること、在籍クラスが通常の学級であるところです。

東京都の公立小学校では2018年度に全校導入されました。公立中学校や他地域でも導入が広がっています。

■特別支援学校

特別支援学校とは、心身に障害のある子どもが通う学校です。
幼稚部・小学部・中学部・高等部があり、それぞれ幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準じた教育に加えて、自立に向けた知識・技能を学びます。

特別支援学校の学習指導要領は、小学校・中学校の学習指導要領と異なります。特別支援学級では、実態に応じてどちらの学習指導要領も組み合わせて使うことができます。

また、特別支援学級にある「自閉症・情緒障害」のクラスが、特別支援学校にはないのも違いになります。

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特別支援学級の種類

特別支援学級は前述のとおり、障害の状態などに応じて以下の7つのクラスに分かれています。

「自閉症・情緒障害」「知的障害」「肢体不自由」「弱視」「難聴」「言語障害」「病弱者及び身体虚弱」

ここでは、就学にあたってそれぞれの障害の程度や、教育的対応について紹介します。

・参考:障害に配慮した教育|文部科学省


 

自閉症・情緒障害(自閉症・情緒障害教育)

・障害の程度
自閉症などに類し意思疎通や対人関係に困難さがある、心理的な要因などで社会生活への適応に困難さがある

・教育的対応
人とのかかわりを円滑にし、生活する力を育てることを目標とした指導をする


 

知的障害(知的障害教育)

・障害の程度
知的発達の遅れにより、意志疎通の困難さや日常生活に一部援助が必要

・教育的対応
特別支援学校の学習指導要領に合わせる、下の学年の目標や内容に入れ替える、など


 

肢体不自由(肢体不自由教育)

・障害の程度
補装具を使っても歩行や日常動作に軽度の困難さがある

・教育的対応
歩行や日常動作、身体部位の理解や養護などの健康維持にかかわる自立活動の指導など


 

弱視(視覚障害教育)

・障害の程度
拡大鏡などを使っても文字や図形の認識に困難さがある

・教育的対応
拡大文字教材を使う、ディスプレイに大きく映し出す、照明を調節する、など


 

難聴(聴覚障害教育)

・障害の程度
補聴器などを使っても通常の話し声を理解することに困難さがある

・教育的対応
音や言葉の聞き取りや聞き分けなど


 

言語障害(言語障害教育)

・障害の程度
機能的な構音障害がある、吃音など話すリズムに障害がある、話す・聞くなどの言語機能に発達の遅れがある、など

・教育的対応
自由な遊びや会話等を通して、正しい発音や楽に話す方法を指導するなど


 

病弱者及び身体虚弱(病弱・身体虚弱教育)

・障害の程度
慢性的な疾患や身体虚弱があり、医療や生活上の管理が必要

・教育的対応
「自立活動」として身体・メンタルの健康維持や改善を図る学習を行う、など


文部科学省によると「障害に配慮した教育」には「学習障害」「注意欠陥多動性障害」の項目もあります。
この二つは、主には通級指導教室、通常の学級において適切な指導・支援が行うことが望ましいとされていますが、自閉症・情緒障害などとの合併する場合には特別支援学級での教育が行われることもあります。

 

特別支援学級に入る基準や就学先の決め方

特別支援学級に入る基準

入る基準、判定方法は地域や状況により異なります。

就学相談などを通じ本人・保護者の意志を尊重しながら、市区町村の就学支援委員会が総合的に判断し、政令市または都道府県の教育委員会が最終的に決定し通知を出します。

7つの種類については、特別支援学級を設置している学校がすべてに対応しているわけではありません。学校によって、どの障害に向けた学級を設置しているかは異なります。
また、特別支援学級の子が通常級で一緒に活動する交流級では、それがどの教科なのか、給食や掃除はどうなのかも、学校によって異なります。

複数の障害が重なっている場合など、その子どもに適した環境を「この教科は特別支援学級で」「この教科は通常学級で」と一律で判断するのではなく、一人ひとりにあわせてより適切な教育課程を考えることが大切です。

 

就学先の決め方

就学先は、在籍校・園などの就学支援委員会や就学相談などを経て、市区町村の就学支援委員会が総合的に判断し、更に政令市または都道府県の教育委員会が最終的に決定し通知を出します。

たとえば、以下のような就学の選択肢が挙げられます。

・通常の学級で合理的配慮を受ける
・通常の学級に在籍しながら通級指導教室・特別支援教室を活用する
・特別支援学級に在籍する
・特別支援学校に入学する

総合的判断には、障害の状態(子どもの様子)、本人・保護者の意見、専門家の意見が考慮されます。保護者からみた子どもの特性や必要な教育的支援、あれば医療機関で受けた診断書や療育手帳などを持参し、整理して伝えることが大切です。

保護者が決定に同意できない場合は、教育委員会に申し立てることもできます。

 

特別支援学級の教育課程は?

特別支援学級では、基本的には学習指導要領に基づいた教育課程が編成されており、必要に応じて「特別の教育課程」を編成することがあります。
特別の教育課程では、「自閉症・情緒障害」「知的障害」「肢体不自由」「弱視」「難聴」「言語障害」「病弱者及び身体虚弱」などの障害のある生徒に対して、学習や生活をするうえで困難を克服し、自立を図るために必要となる知識や技能などを指導します。

例えば、知的障害のある生徒に対しては下学年の教科書の内容に替えたり、視覚障害のある生徒には点字を使った指導をしたりするなど、一人ひとりに合った教育課程を用意しています。

 

特別支援学級、卒業後の進路は?高校の特別支援教育導入の現状や、内申点の影響

就学先・環境を考えるという点で、「進路」も重要な一つです。
小学校を特別支援学級で卒業した場合、次の進路の例として中学校は「継続して特別支援学級にする」「通常級に変更する」「特別支援学校にする」などがあります。

それでは中学校の特別支援学級を卒業した後は、どのような進路があるのでしょうか。

 

高校の特別支援学級・通級による指導の現状

2022年4月現在、特別支援学級は小・中学校にのみ設置され、高校には設置されていません。
その背景に、高校は義務教育ではない、入学試験といった選抜がある、などが挙げられます。

しかし、高校における特別支援教育は拡充されてきています。通級指導教室については、2018年に導入が決定しました。

東京都教育委員会は、2021年度にはすべての都立高校で、通級による指導を受けられるよう整備を進めています。
他の地域も同様に進めていますが、地域によって状況は異なります。各都道府県の通級による指導を受けている公立高校の生徒数は、下記の5ページで確認することができます。

令和元年度 通級による指導実施状況調査結果について|独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所

 

中学の特別支援学級、卒業後の進路は?

このような状況の中、実際に中学校の特別支援学級を卒業した人の進路はどうなっているのでしょうか。

文部科学省「学校基本調査 /卒業後の状況調査 中学校(令和2年度版)」によれば、公立中学の特別支援学級卒業者、合計23309人のうち、高校へ進学した人が11393(49%)、特別支援学校へ進学した人が10600(45%)、就職などその他が1316(6%)となっています。

学校基本調査 / 令和2年度 初等中等教育機関・専修学校・各種学校《報告書未掲載集計》 卒業後の状況調査 中学校

約半数が高校、半数が特別支援学校へ進学しています。

中学校で「自閉症・情緒障害」特別支援学級に在籍していた場合で知的障害のない生徒の場合は、高校には「自閉症・情緒障害」特別支援学級はなく、また原則、知的障害特別支援学校に入学できないという問題もあります(地域によって例外はあります)。
ただ、公立高校でも前述のように通級が整備されつつあり、個別の指導計画・個別の教育支援計画の導入や教員への研修は進んできています。また、多様なカリキュラムの通信制高校も増えてきました。高校の選択肢が増えてきたというのも、高校進学を選ぶ理由の一つです。

 

進路選択にあたって、内申点の影響や高卒資格は?

ここでは、進路選択にあたり気をつけたいことをご紹介します。

■中学校の特別支援学級は内申点がつく?

入学試験や就職にあたり、在籍校は受験先に対して生徒の学習状況を伝えるために、調査書(内申書)を作成します。
内申点とは、その調査書(内申書)に記載された教科ごとの評定点数です。

評定の基準は基本的に中学校の学習指導要領に沿っています。特別支援学級は、中学校の学習指導要領と特別支援学校の学習指導要領を組み合わせることができるため、場合によっては中学校の学習指導要領で評定できないことがあります。

不登校などで出席数が満たない場合も同様に、内申点をつけられない可能性があります。また学校や状況によって変わるため、学校に確認することが大切です。

ただし、内申点がつかなくても入試に大きく影響しないタイプの高校も多く存在します。
高校受験については、下記の記事をご参考ください。

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発達障害のある子どもの高校受験。内申の影響や高校選びについて

■特別支援学校は高卒資格になる?

特別支援学校高等部・高等特別支援学校は、文部科学省によれば「高等学校に準ずる教育を施すとともに、(中略)自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする学校」となります。したがって、履修したカリキュラムによっては、大学受験資格が得られる場合と、そうでない場合があります。特に知的障害特別支援学校の場合は、注意が必要です。

 

まとめ

特別な支援が必要な子どもにとっては、特別支援学級・通級指導教室・特別支援教室・特別支援学校といった似た名前の教室や学校があります。

特別支援学級とは、小・中学校において必要な子どもの1人ひとりにあった教育を受けることができる少人数の学級です。特徴は通常の小学校・中学校に通いながら在籍は通常の学級ではない点です。

特別支援学級には7つの障害ごとに「自閉症・情緒障害」「知的障害」といったクラスがあり、入る基準や判断方法は、就学相談を通じて話し合い決定します。

就学先や進路を考えるにあたっては、保護者の「どのように過ごしてほしいか」「成長してほしいか」に加え、子どもの意志や特性に合った環境が大切です。

情報を収集・整理していくと、家族らしい選択が見えるかもしれません。

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【40家庭の体験談】特別支援学級と通常学級(普通学級)、どう選んだ?(前編)

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参考

小学校における35人学級の実現/約40年ぶりの学級編制の標準の一律引下げ|文部科学省
学級編制の仕組みの改善|文部科学省
障害のある児童生徒等の就学先の決定|文部科学省
特別支援学級、通級による指導の仕組み -通級による指導-|独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
特別支援教育に関する学習指導要領等|文科省
特別支援教室の運営ガイドライン(令和3年3月)第1章 特別支援教室とは|東京都教育委員会
障害のある子供の就学先決定について|文部科学省
日本の特別支援教育の状況について(令和元年9月25日)「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」|文部科学省
特別支援教育に係る教育職員免許状について|文部科学省
特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査結果の概要(令和2年度)
障害に配慮した教育|文部科学省
特別支援学級・特別支援学校|杉並区ホームページ
高等学校における特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第6回)配付資料(参考資料2)高等学校における特別支援教育の現状と課題について |文部科学省
都立高等学校 通級による指導|東京都教育委員会
学校基本調査 /卒業後の状況調査 中学校(平成22年度版)|文部科学省
学校基本調査 /卒業後の状況調査 中学校(令和元年度版)|文部科学省
学習評価に関する資料 ○学習評価に関する基本的な考え方、法令等の規定(平成28年2月23日)|文部科学省
高卒資格取得に関するプログラム・施策について|文部科学省
令和元年度 通級による指導実施状況調査結果について|独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
特別支援教育の現状「学びの場の種類と対象障害種」|文部科学省
特別支援教育に係る教育課程について(平成 27 年 11 月 6 日特別支援教育部会第1回配布資料)|文部科学省

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