不登校の原因とは?定義や対応、支援機関を解説

「不登校」という言葉の意味はわかっていても、実際に自分の子どもが学校に行きたがらなくなると、「何が原因でどう対応すれば良いのか」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。

ここでは、不登校の定義や予兆、原因と考えられることを紹介するとともに、不登校を5つの場合に分け、それぞれの対応方法をご紹介します。

不登校の定義

不登校の定義

「不登校」というと、「学校を長期間休むこと」「学校を継続的に休むこと」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

文部科学省による不登校の定義は、病気や経済的な理由といった事情がなく、「年間の欠席日数が30日以上となった状態」を指します。

文部科学省が公表している「不登校の現状に関する認識」では、下記のような記述があります。

引用:

「不登校児童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、投稿しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。

近年、不登校は増加傾向にあります。

その理由は様々です。「学校生活に馴染めない」「学校生活に制限があるから登校する意欲が湧きにくい」「友だちとうまくいかない」など、さまざまな理由から不登校になる子どもが増えています。この数年間では、新型コロナウイルス感染症の影響から、感染を避けるために学校に行かないということもあるようです。

令和3年度の調査によると、小・中学校における不登校児童生徒数は244,940人(前年度196,127人)であり、調査開始以降最多で初めて20万人を超えました。前年度と比較した増加率24.9%も、調査開始以降最も高い割合になっています。

在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は2.6%であり、全体の約55%は90日以上欠席していることも分かっています。

※「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(文部科学省)を加工して作成

これらの調査結果から見て分かる通り、近年不登校の子どもは増加傾向にあります。どの子どもも不登校になる可能性はあり、誰にとっても身近な問題といえるでしょう。

不登校とひきこもりの違い

不登校と似ている言葉に「ひきこもり」があります。

厚生労働省の定義によると、「ひきこもり」とは、「さまざまな要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヶ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状態」を指します。

「不登校」と「ひきこもり」の違いとしては、以下のような内容があげられます。

不登校とひきこもりの違い

こうしてみると、「ひきこもり」の場合は年齢制限がなく期間も長く、また社会参加を一切行わないという状況です。一方の「不登校」はあくまで「学校に行けない」状況であって、周囲の人すべてに心を開いていないというわけではないことがわかります。

不登校の予兆

不登校の予兆

子どもの不登校には「ある日突然学校に行きたがらなくなった」という場合もありますが、多くの場合、何らかの予兆が見られます。

ここでは不登校の予兆として、体の症状・精神症状に分けて、具体例を紹介します。

 

体の症状

・発熱
・頭痛
・腹痛
・吐き気
・食欲不振
・全身の倦怠感
・めまい など

 

精神症状

・不眠、過眠
・イライラ
・無気力
・集中力低下
・憂うつ感
・日曜の夜になると調子が悪くなったり泣き出したりする など

 

「不登校」の経過の例

厚生労働省のWebサイトは「不登校」や「引きこもり」の経過について以下のように説明しています。

(1)体の症状が出て元気がなくなったり、学校に行きにくくなったりする
(2)学校に行けないことへの葛藤や周りからのプレッシャーにより、精神症状が見られ、落ち込んだりイライラしたりする
(3)学校に行けない期間が長くなり、情緒的には落ち着いてくるものの、無気力で過ごす時間が増える

このような症状が見られた場合も、必ず不登校になるとは限りませんが、早めに予兆に気付くとともに、原因を探ったり対策を考えたりする必要があるでしょう。

不登校の原因

不登校の原因

不登校の原因は、児童・生徒によってそれぞれ異なります。

文部科学省の調査では、学校にかかわる状況・家庭にかかわる状況・本人にかかわる状況の大きく3つに分けられています。

 

学校に関わる状況

家庭に関わる状況

本人に関わる状況

令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(文部科学省)を加工して作成

小学校・中学校の不登校の原因で最も多いのは、「無気力、不安」で、約半数が原因としてあげています。ただし「無気力、不安」を感じる原因が他にある場合もあれば、原因が一つに絞れない場合も多くあります。

不登校の対応について

不登校の対応について

子どもが不登校になったときにできる対応について、5つの場合に分けて解説します。

 

不登校の原因や理由は同じようなことであっても、一人ひとりの個性やできることには違いがあります。ここには対応のポイントも示していますが、対応のしかたは子どもによって異なります。まずは子どもの様子を観察したり、直接本人の話や気持ちを聞いたりして、どのような状況なのかに沿った対応を考えることが必要です。

 

人間関係による場合

特徴

いじめや転校など、人間関係上の明確な問題により不登校になる場合です。例えばクラスメイトや先生との関係、部活動での上下関係などがあげられます。

本人は「学校へ行こう」と思っているものの、一人で問題を解決することができず、不登校になる場合が多いです。強いストレスによって、頭痛や腹痛など、体の症状を訴えやすい場合でもあります。

 

対応のポイント

事情を把握するために、子どもとゆっくり話す機会を作ることが必要です。

ただし、家族に心配をかけたくない、いじめられていることを認めたくないといった理由から、本人が不登校の理由を話したがらない場合も多くあります。その場合は無理に聞き出そうとせず、まずは「あなた(子ども)の味方である」ことを伝えて、本人が話すまで待つようにしましょう。

また、子ども本人が一人で問題を解決することは難しいため、学校と協力しながら要因そのものを解消する働きかけが重要です。担任の先生だけではなく、部活動の顧問、スクールカウンセラー、時には教育委員会などと連携しながら、問題の解決を図る場合もあります。

 

無気力による場合

特徴

日々のあらゆる物事に対して無気力になり、結果として不登校になる場合です。

学校に登校したくない原因が明確にあるというよりも、何事にも無気力になり、学校に行くことにあまり意義や義務を感じられない状態です。生活リズムが乱れることで、学校に行くことができないという場合もあります。

強く催促することで学校に登校するときもありますが、長続きせず、状況が悪化してしまうこともあります。家では比較的元気で、ゲームやインターネットなど、自分の好きなことをして過ごす場合もあります。

 

対応のポイント

子ども本人も、無気力感の原因を明確に説明できないことが多いため、無理に原因を聞き出そうとすることは避けた方が良いでしょう。まずは、本人の興味や関心があることを話題にして、共感を示し、信頼関係に基づくコミュニケーションを行うことが必要です。

担任の先生やスクールカウンセラーなどに相談をすることや、本人の希望がある場合は、無理のない範囲で習い事や校外活動に参加する機会をつくることで、無気力感が和らぐ場合もあります。

何かを強制したり、無理矢理外に連れ出したりしてしまうと、余計に心を閉ざし、無気力感が強くなる場合もあるので、根気強く本人の気持ちに寄り添う姿勢が求められます。

 

不安による場合

特徴

情緒的に混乱しており、漠然とした不安から学校に通うことが難しくなる場合です。

不安の原因はそれぞれですが、特に小学校低学年の場合は、母親から離れると強い不安を感じ、不登校になる場合があります。小学校高学年以降の場合は、家族や先生の期待に応えようと頑張りすぎてしまい、疲れやストレスが蓄積して、不登校につながる場合も少なくありません。

他にも学校生活で失敗体験を繰り返したり、周りと自分を比較することがプレッシャーにつながったり、また親や先生の期待に答えようと頑張ろうとすることから

など、不安を感じる原因は人それぞれです。

不安による不登校の場合、本人は「登校したい」と思っているものの、疲れやストレスによって朝になると頭痛や腹痛など体の症状が出てしまい、学校へ行くことができないということがよく見られます。不登校であることに対しての罪悪感が強く、家に閉じこもりがちになってしまう場合もあります。

 

対応のポイント

もともと真面目で几帳面、神経質で完璧主義の傾向といった特徴のある子どもが多く、不登校になると強い罪悪感を抱える傾向があります。まずはこれまでの本人の頑張りを認め、本人が挫折を受け止められるようサポートする必要があるでしょう。

状況を打開するために励ましたり、無理に登校を促したりすると、体の症状や精神症状が悪化する可能性もあるので注意しましょう。一方で、期待をかけないようにしても「見捨てられたのでは」「不登校の自分はだめなんだ」と不安が強くなる可能性もあるため、家族だけで対応するのは難しいこともあります。

必要に応じてカウンセラーに相談したり、体の症状や精神症状が見られる場合は心療内科などの医療機関を受診したりするなど、専門機関のアドバイスを参考にするようにしましょう。

 

遊び・非行による場合

特徴

問題行動を起こすグループに所属していたり、学校に行く意義を見出せなかったりする場合です。行動範囲が広がる中学生以降の不登校の原因として増えています。

遊びや非行に走る原因は人それぞれ異なるため、一概には決めつけられませんが、一部の子どもは親からの愛情が感じられず、外の仲間や社会につながりを求める傾向が見られます。

遊び・非行によって家に帰らなかったり、夜遅くまで出歩いていることが多くなったりすると、食べる・寝る・起きるといった基本的な生活リズムが乱れ、毎朝の登校が難しくなります。遅刻・早退・無断欠席が徐々に増えていき、不登校状態になりやすいのが特徴です。

 

対応のポイント

遊び・非行場合の場合、犯罪に巻き込まれる可能性があるため、放置はできません。時間が解決するのを待とうと思っても、状況が改善することは期待できないと言って良いでしょう。

家族としては本人や周りの仲間たちの人格を否定することなく、何が問題なのかを一緒に考え解決したいという気持ちを伝えましょう。一方で家庭での対応が難しい場合は、まず学校へ相談し、見守る目を増やしつつフォローできる体制を築く必要があります。

また、このままでは大きな問題に発展してしまうという危険性を感じる場合は、支援機関に相談することも重要です。児童相談所、教育センターなどが支援機関としてあげられ、非行や心理の専門家が対応してくれる相談ダイヤルもあります。

非行や不登校を恥ずかしいことと捉えずに、積極的に外に相談する勇気も必要です。

 

発達障害・学習障害を伴う場合

特徴

子どもに発達障害や学習障害(※)がある場合、理解することに時間がかかったり、極端に不得意な分野があったりして、学習の遅れや学習への抵抗感が見られることがあります。また、コミュニケーションの面でも凸凹があるため、クラスメイトとうまくコミュニケーションが取れず、人間関係の面で課題を抱えることもあります。

例えば、学習の遅れにより、同じことを先生に何度も注意されたりクラスメイトにからかわれたりするなどの、学習の遅れをきっかけとした苦手意識が積み重なってしまいます。また、コミュニケーションの問題により、クラスで孤立する・クラスメイトと喧嘩になるなどのネガティブな事象が発生しやすくなります。

また、学校にいる間は、なんとか周りに合わせようと頑張るあまり、体力的に疲れてしまい、帰宅してからは何もできずに寝てしまう、朝起きても疲れがとれないといったことが蓄積していく場合もあります。

このような背景により、学校に行きたくない気持ちが大きくなり、不登校につながりやすくなるといったことが起こります。また、発達障害の特性として、不登校期間中、自分自身が感じている不安や葛藤、怒りをうまく処理できず、パニックを起こすこともあります。

 

※「学習障害(LD)」は現在、「限局性学習症(SLD)」という診断名となっていますが、最新版DSM-5以前の診断名である「学習障害(LD)」と呼ばれることが多くあるため、この記事では「学習障害」と表記します。

 

対応のポイント

まずは不登校の原因である、発達障害や学習障害の特性を知ることが必要です。一人ひとり特性による困りごとは異なるため、診断名に捉われることなく、子どもの特性を活かし、足りないところは補いながら、将来的に自立していくことを目指します。

発達障害の特性について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

発達障害でコミュニケーションに課題がある場合、本人の気持ちを認め、うまく周囲に伝えるためにはどうすれば良いか、という対応方法を学ぶことが有効です。また学習障害の場合、本人が理解しやすい方法で勉強するため、個別指導の塾やフリースクールなども検討するという選択肢もあります。

学校とも相談するとともに、本人の発達障害や学習障害の特性を理解し、支援してくれる相談先を見つけることが重要です。

不登校の勉強のサポート

不登校の勉強のサポート

学校に通わないことによる「学習の遅れ」や「人間関係の減少」「生活リズムの乱れ」により、継続的に勉強することが難しくなります。

そのため、なかなか勉強をするモチベーションが持てないということが起こりやすいといわれています。

一方で、学校に行きたくないことと、勉強したくないことは必ずしもイコールではありません。「勉強したい」という気持ちはあっても、学校に行かないことで学習が遅れ、遅れが取り戻せないと感じることでだんだんモチベーションが下がっていく、というパターンもあるでしょう。

学校以外にも勉強をサポートしてくれる場所はたくさんあります。その子に合った学びに出合えるよう、学校以外の選択肢を検討してみるのも良いでしょう。

 

最近では、不登校の子どもを対象にした塾が多くあります。学校や塾によっては、塾で学習することが「授業出席」と見なされ、成績に反映される場合もあるため、学校に確認してみると良いでしょう。

塾によっては、専門家と連携してメンタルケアを行ってくれたり、不登校からの復学を支援してくれたりするところもあります。また、塾は受験や進学のための成績アップのノウハウを兼ね備えたプロであるため、子どもの意欲次第ですが受験や進学にも有利に働く可能性があります。

他にも塾で学習する中で自信を取り戻したり、先生や他の生徒と関わる中で変化を感じたりと、不登校である現状を打破するきっかけが掴めるかもしれません。

 

フリースクール

フリースクールとは、不登校の子どもが一定期間学校の代わりとして過ごす居場所のことです。不登校以外にも、発達障害や身体障害、知的障害(※)など、何らかの事情を抱えた子どもが在籍しているのが特徴です。

文部科学省の定義によると、フリースクールは一般に、不登校の子どもに対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動をおこなっている民間の施設を指します。規模や活動内容は多種多様であり、民間の自主性・主体性の下に設置・運営されています。

言葉の通り、決まったカリキュラムや形式はなく、個人経営やNPO法人・ボランティア団体による運営など、フリースクールが目指す形はそれぞれ異なります。小学校・中学校と連携して、フリースクールへの通学が学校の出席扱いになる場合もあります。通っている学校やフリースクールによって規定が異なるため、気になる場合は確認してみましょう。

他にも近年はICTを活用した、オンラインフリースクールも登場しています。家を出ることのハードルが高い場合などは、オンラインでの居場所づくりも検討してみると良いでしょう。

※「知的障害」は現在、『ICD-11』では「知的発達症」、『DSM-5』では「知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)」とも呼ばれたりしますが、知的障害者福祉法などの福祉的立場においては「知的障害」と使用していることが多いため、この記事では「知的障害」という表記を用います。

 

家庭教師

自宅から外出することが難しい場合は、家庭教師による勉強のサポートを検討してみましょう。塾と同じように、不登校の子どもをサポートすることに特化したコースを用意している運営会社もあります。

家庭教師によっては、勉強のサポートだけでなく、専門のカウンセラーや資格を持った先生が悩み相談を受け付けている場合もあります。1対1で関わるうえで、子どもと先生の相性は非常に重要になるため、何か問題が起きたときには他の先生を派遣してもらえるのか、といったサポート体制も確認しておきましょう。

 

家族が教える

専門機関を利用することなく、まずは家族がサポートしながら自主学習・家庭学習を進めるという方法もあります。特に他人と関わることが苦手、外に出ることが難しいという不登校の子どもの場合におすすめです。

学校で使う教科書や問題集、市販のテキストなどを使って、家族と一緒に学習を進めます。また、最近ではYouTubeのチャンネルなどでも、子ども向けの学習動画があるため、活用すると良いでしょう。

デメリットとしては、モチベーションを保つことが難しいことや、家族がすぐに質問に答えられるとは限らないことなどがあげられます。家族と子どもが直接コミュニケーションを取ることで、つい子どもを責めてしまったり、子どもが心を閉ざしてしまったりというリスクも考えられます。

すべてを家族がサポートしようと思うと難しいため、抱え込みすぎないことが大切です。

不登校に関する支援・相談先

不登校に関する支援・相談先

子どもが不登校になると、家族としては「何が悪かったのか」「どうすれば学校に通ってくれるようになるのか」と不安に感じたり悩んだりします。家族自身が「学校に行かせなければ」と強くプレッシャーを感じると、必要以上に子どもに厳しく接してしまい、逆に状況が悪化することもあります。

大切なのは、子どもの気持ちに寄り添い、現状を受け止めながら、状況を改善するための行動を起こすことです。一方で、家族だけで問題を解決することは困難な場合もあります。学校と相談するとともに、適切な支援・相談先に相談を持ち込み、アドバイスをもらうようにしましょう。

不登校の子どもや家族のための支援機関をご紹介します。

 

教育支援センター

教育支援センターとは、主に小・中学校を長期で休んでいる子どものために、学籍のある学校とは別の場所に教育委員会などが用意した公的機関です。

指導にあたるのは、教員免許を保持する職員が多く、他には臨床心理士や社会福祉士などの資格を保有する職員がいる場合もあります。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの心理・福祉の専門家が配置、または派遣されている施設もあります。用意されているプログラムはさまざまです。

多くの施設では学習支援以外に、子どもや家族との個別のカウンセリングを取り入れています。ここでは不登校になった原因以外にも、子どもの性格や行動、家での過ごし方といった幅広い相談に応じています。

施設によっては、家族会やグループカウンセリングを行っている施設もあり、同じ境遇の子どもを持つ家族同士で交流することで、気持ちが楽になるという意見もあるようです。

 

適応指導教室

適応指導教室とは、不登校の子どもの集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善などの相談・適応指導を行う機関で、教育支援センターと同じく教育委員会などが用意した公的機関です。

もともとは「適応指導教室」という名称が用いられていましたが、平成15年より、標準的な呼称が「教育支援センター」となりました。一部では「適応指導教室」という名称が残っている場合があります。

適応指導教室は、地域の教育支援センターに相談し利用することができます。

 

教育相談所(教育相談室)

教育相談所(教育相談室)も教育支援センターと同じく、市区町村の教育委員会が設置する機関です。

不登校をはじめ、さまざまな教育にまつわる悩みごとについて、心理士や教職経験者、ソーシャルワーカーなどのスタッフに相談したり、カウンセリングを受けることができます。相談できるのは、18歳までの子ども本人のほか、家族、学校の先生など、子どもの教育・養育に関わるすべての人が対象です。相談者の状態などにより教育相談所に訪問することが難しい場合には、メールや電話でも相談をすることができます。

 

児童家庭支援センター

児童家庭支援センターは、区市町村における子どもと家庭における総合相談窓口で、18歳未満の子どもや子育て家庭に関するあらゆる相談に応じるほか、ショートステイなどの子ども家庭在宅サービス、子育てサークルや地域ボランティアの育成などを行っています。

児童家庭支援センターは、児童相談所よりも身近な相談窓口として、児童福祉施設に併設する形で設置されています。特に児童虐待の防止や里親への支援など、児童相談所につなげるもしくは児童相談所の役割を補う役目を期待されて1997年よりスタートしました。

現在では、より幅広い子どもと子育ての支援を目的として、障害のある子どもとその家族に対する相談や適切な施設への橋渡しなども行っており、不登校に関する相談も受け付けています。

 

児童相談所

児童相談所は、子どもに関するあらゆる問題解決のために、児童福祉法に基づいて設置された専門的な相談機関です。18歳未満の子どもに関することであれば、本人・家族・学校の先生・地域の住民など、どのような立場からでも相談することができます。ソーシャルワーカー(児童福祉司)、児童心理司、医師などのスタッフが在籍しており、すべての都道府県と政令指定都市に設置されています。

児童相談所では、不登校も含めて、子どもに関するあらゆる問題の相談窓口として相談に応じ、周辺機関との連携によって必要な援助を行っていきます。

 

精神保健福祉センター

精神保健福祉センターとは、精神保健福祉法に基づき各都道府県や政令指定都市に設置されている支援機関です。心の病気に関する困りごとの相談に対するアドバイス、医療機関や支援期間についての情報提供、精神科デイケアなどのプログラムを行っています。

各センターの規模によって、配置されているスタッフの人数や資格は異なりますが、医師や精神保健福祉士、臨床心理士などの専門家が在籍しています。子ども本人だけでなく、家族や周囲の人からの相談に対応している場合もあります。

 

保健センター

保健センターは行政機関であり、保健所と並んで地域住民の保健対策を行う場所です。保健センターでは特に住民の健康づくりの場であり、対人保健サービスが業務の中心となっています。妊婦健診や両親学級、母子健康手帳の交付や乳幼児健康診査を行い、発達障害も保健センターが業務として担っています。

不登校の問題に関しては、精神面の福祉分野からのアプローチを得意とし、不登校に関する相談を電話・窓口で受け付け、相談内容により関係機関・医療機関などへつなげてくれます。

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不登校から復帰するときに大切にしたいこと

不登校から復帰するときに大切にしたいこと

特に不登校の状態になったばかりのタイミングでは、本人や家族が「早く学校に行かなくてはならない」「不登校の状態でいることは悪いことだ」と焦りや不安を感じるかもしれません。

しかし無理に登校すると、精神的な負担は増し、再び学校に行けない状態が続く原因となる可能性が考えられます。

ここでは不登校から復帰するときに大切にしたいポイントを2つご紹介します。

 

心をしっかり休ませてから登校する

不登校と聞くとネガティブなイメージを持つかもしれませんが、考え方を変えれば「心の充電期間」であり、その子どもにとっては必要な時間です。不登校であるという状況に対して、本人や家族が自分を責めたり、不登校になる前に何とかできなかったのかと後悔する必要はまったくありません。

不登校になる子どもの多くは、何らかの理由によって心身共に疲弊している状態であるため、不登校になったばかりの初期のころは、特に登校できない自分を責めて精神的にも不安定になりやすいです。

まずは焦らずにゆっくりと休養することが必要です。心身ともにエネルギーが回復してきたら、家族で話し合いながら、徐々に登校への準備を進めましょう。

また、「子どもに寄り添い、見守ること」と「放置をすること」は異なります。家族も、子どもが不登校であることに対して戸惑いや焦りを感じるかもしれませんが、子どもの気持ちを受け止めたうえで、学校や支援機関と連携したり、自宅学習できる環境を整えたりと、登校に向けてできることを準備しましょう。

 

いきなり毎日登校を目指すのではなく、徐々に慣れる

登校を再開しても、いきなり毎日登校できるようになるわけではありません。今まで自宅にいた生活から学校生活に復帰するのは、子どもにとって非常に大きな変化で、家族が想像する以上のエネルギーを消費します。

不登校の悩みが改善され、毎日登校できる状態になるまでの期間を「不登校の克服期間」と呼び、約3ヶ月〜1年ほどかかると言われています。しかしあくまでも目安であり、必ず1年以内に不登校が克服できるとは限りません。

本人の希望を尊重しながら、安定的に登校できるようになるまでは、焦らず一歩一歩進めていくことが大切です。

不登校について まとめ

不登校について まとめ

不登校とは、さまざまな要因により長期間学校に行けない状態が続いていることを表す言葉です。定義としては年間の欠席日数が30日以上になった場合に「不登校」と呼ばれます。

不登校になる原因は子ども一人ひとり異なります。いじめや学力不振など、原因が明らかな場合もあれば、子ども自身なぜ学校に行けないのか、行きたくないのかをうまく説明できず、なんとなく学校に行けない状態が続いている場合もあります。

家族としては不安になったり、なんとか学校に行かせようと焦ったりするかもしれませんが、家族の気持ちを一方的に押し付けるようなコミュニケーションでは状況が改善することはないでしょう。

まずは子どもに寄り添い、子どもが自分の気持ちを話しても良いと思える信頼関係を築くことが大切です。家族も自分自身を責めることなく、学校や支援機関に相談しながら、徐々に状況を改善できるように焦らず動いていきましょう。

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