【開催レポート】支援級と通常級の選び方、勉強のサポート方法など、当日のQ&Aの様子を公開!〈2/5お悩み解決Q&Aライブ【新学期準備編】

 

特別企画第二回「発達障害のある子と家族のQ&Aライブ【新学期準備編】」第二回を、2月5日に開催!

当日は200名以上の参加者が視聴している中で、発達障害のある子やご家庭のさまざまなお悩みにLITALICOライフの鈴木先生、稲垣先生が一つ一つその場で答えました。

この記事では、当日の様子を少しだけご紹介します。

講師プロフィール

鈴木健(すずき・たけし)

発達障害のある子ども向けの学習教室にて、マネージャーとして教室運営や保護者さまサポートに従事。クリエイティブ系専門スクールにて9年間にわたりキャリア支援を担当。現在は約1,000家庭の子育ての悩みや将来への準備について個別相談を実施。

稲垣由華(いながき・ゆか)

早稲田大学卒業後、大手予備校にて不登校や学習障害のお子さまの進路選びをサポート。その後、FP事務所で資産運用の助言等を行う。これまでの経験を活かし、現在は発達に特性があるお子さまの進路選択や親なきあとの資金計画の相談を承る。公立支援学級での支援員としても活動中。

 

【質問1】脱ゆとり教育、通常級にいることが苦ではなさそうだけれど、現実的には厳しそう?(福岡県・かけるさま)

「脱ゆとり教育が始まってから、小学校の授業内容は難しくなっていると聞きました。通常級の授業にいることが苦痛じゃないタイプで知的ボーダーくらいなら、通常級でいいのかな?と思っているのですが、現実には厳しそうですか?」

通常級の勉強の難易度は…

稲垣:まず私が支援級で支援にあたっている現場のリアルな感覚としては、軽度の知的障害をもつお子さまについて、一クラスにひとり、ふたり程度は在籍しているかなと思います。知的ボーダーとのことですので、IQが70~79くらいかなと思うのですが、IQが65くらいまでのお子さまであれば、ギリギリ通常級でやっていけるかなと思います。

ただ、小学校3年生くらいから、勉強がぐっと難しくなるんですね。そのため、1、2年生までは通常級で、3年生以降は支援級に転級する、ということも選択肢としてありかもしれません。そういった想定で、担任の先生や支援級の先生と早い段階から連携しておくということが大事かなと思います。

また、家で出来ることとして、予習をしておくということは非常に重要だと思います。タブレット学習を用意している通信講座や個別指導の塾などを利用し、学校の授業を安心して受けられるような準備ができると、よいのではないかと思います。

鈴木:なるほど。実際に通常級から支援級に移られるケースって結構あったりするんですか。

稲垣:ありますよ。たくさんではないですが、一学年に一人、二人程度の割合でいらっしゃると思います。

通常級から支援級に移るのはあまり難しくないですが、支援級から通常級に移るのは少しハードルが高くなるので、そこは慎重に検討していただいた方がいいのではないかと思います。

視聴者コメント:知的障害がない場合の自閉症スペクトラムの場合は、普通級というのが基本なのでしょうか? 

稲垣:支援級といっても、いろいろなクラスがあり、知的な課題がある方のみならず情緒的な課題がある方は支援級に行かれることが多いです。ただ、課題があるからすなわち支援級、というわけではなく課題の程度に応じて考えていただきたいです。自閉症スペクトラムの診断を受け、生活のなかでの困り感が強い場合は支援級、そうでもない場合は通常級で十分やっていけると思います。

具体例を挙げると、私が今通常級でサポートしているお子さまの中には、自閉症スペクトラムの診断を受けている方もいます。

鈴木:文部科学省も、全体のうち6.5パーセントのお子さまは何らかの個別サポートが必要だ、という前提で準備をすすめていますからね。

 

通常級は「集団」のアプローチ、支援級は「個別」のアプローチ

視聴者コメント:来春(小4)から普通級から支援級に転籍予定ですが、子どもが支援級の在籍を受け入れやすくなるような言葉がけはありますか?

稲垣:捉え方として、通常級が優れているクラスで支援級が劣っているクラス、というわけではないんですよね。よく「本当は支援級に入れたいのだけれど周りの目が気になって入れられない」というお声を聞くのですが、通常級はあくまでも集団でのアプローチ、支援級は個別でのアプローチ、という風に、教育スタイルが違うだけなんですね。個別で一対一で見てもらうほうが、安心して過ごせるよね、という風にお伝えしたらいいのではないか、と思うのですがいかがでしょうか。

鈴木:いいですね。ちなみに、お子さまがなんて言っているのか、も気になるところですね。

視聴者コメント:小学3年生から、難しくなるそうですが、知的障害支援級の学習内容もそうですか?支援級から支援学校になりますか?

稲垣:具体例をお伝えすると、私が以前サポートしていたお子さまの中に、ダウン症のお子さまがいました。その男の子は、知的でいうと重度に近い中度で、ひらがなは自分の名前がなんとかかける程度、漢字に関しては水の出ている絵カードと「水」という漢字をマッチングさせることはできるけれど、読んだり書いたりすることはできない。

ただ、この男の子が勉強につまずくか、というとそういうわけでもないんです。支援級は一人一人にあわせて指導のスピードを変えるので、追いつけなくなる、ということはないんですね。

視聴者コメント:実際小学四年生まで支援級でお世話になっていましたが、正直支援級のほうが進みがはやく学習レベルが高かったです。

稲垣:お子さまがお出来になった方だと思うのですが、通常級でも速いスピードで勉強を進めてらっしゃる方もなかにはいらっしゃいます。

鈴木:お子さまを中心に考えた時に、通常級も支援級もあくまで手段。通常級に行くことがついつい目的になってしまいがちですが、お子さまを中心に考え、本人がどうしたいかを大切にしながら判断していただければと思います。

【質問2】鉛筆を持ちたがらないわが子、勉強のサポートはどうすれば?(兵庫県・keiさま)

「今年の4月から新一年生の男の子です。通常学級に通う予定ですが勉強面で不安があります。鉛筆を持つのが苦手で字もまっすぐ書けず大きさもアンバランスです。ひらがなも読むのがやっと。計算も苦手です。一年生のうちは様子を見るために通常級にしましたが、支援級にしたほうがよかったのかもと思い始めています。鉛筆を持ちたがらない子の家出の勉強のフォローの仕方やよい教材があれば教えていただきたいです。」

鈴木:親としては、ついつい弱みや課題をみて心配になってしまいますよね。こういう時、どういう考え方をすればいいのでしょう。

お子さまの自己肯定感がなにより大切

稲垣:私が忘れられないある事例を皆さまにお話ししたいと思います。自閉症スペクトラムの診断をうけ、軽度の知的障害があり、通常級に在籍しているお子さまの事例です。ある時、学校について、子どもたちが評価するためにアンケート回答する、という授業がありました。その時私はサポートに入っていて、お子さまが一つずつ質問にこたえられるよう見ていたのですが、ある質問でそのお子さまの手がぱたりと止まったんです。その質問は「あなたは、自分のことがすきですか?」これを五段階評価で回答するものでした。

私はこの時、質問の意図がわからないのかな?と思い、「OOくん、自分のこと好きでしょ?そうしたら、4とか5に丸をつけたらいいんじゃない。」と声を掛けました。

ただ、そのお子さまは次のように答えたのです。「先生僕ね、悪い子だからいつも叱られるの。だから僕自分のこと好きじゃない。」

そのお子さまは様々な場面で何度も叱られる中で、自己肯定感を失っていってしまったんですね。私はこの言葉を聞いたときとてもショックで、特別支援教育ってなんだろうと考えたのです。その根本には、生きる力としての自己肯定感を高めるということがとても重要だと思ったんですね。

その自己肯定感を高めるヒントとして、できないことや弱みって、やはりどうしても目につきがちで、ちくちく言ってしまうと思うのです。しかし、できないと思うことも別の角度から光を当てると強みだったりするんです。

稲垣:例えば、見通しが持てないことに不安を感じているお母さまがいらっしゃる。でも、見通しが持てないということは、一方でルールやマニュアルに忠実だったりする。カリキュラムがしっかりしている学校に通わせてあげれば、そうした強みを発揮できるかもしれない。

お子さまの特性をしっかり見つめ、まずはおうちの中で、それが強みとなる環境を与え大事にはぐくむことが、自己肯定感の向上につながっていくのではないでしょうか。

視聴者コメント:自己肯定感をあげられる時期は、未就学児の間が一番高まると言うことでしょうか?

鈴木:自己肯定感はずっと、生きている間変わり続けます。LITALICOライフが大切にしている言葉の中に「人はちがう。それでいい。そこからはじまる。」という言葉があります。皆さんのお子さまは皆さんのお子さま。究極的に、どんなに勉強ができなくても「自分は自分でいいんだ」というような思いがあれば自立はできるんです。こんなことやりたい、あんなことやりたい、という気持ちがあれば、幸せな人生を送れるんです。けれど、学校で失敗体験を積んで自己肯定感が下がって自立できなくなってしまう、というパターンが結構あるんですね。

発達特性は変えられないからこそ、その発達特性をどうやったら強みに変えられるのか、考えてみていただきたいなと思います。

【質問3】得意なことを伸ばす学校の探し方は(埼玉県・ねこまるさま)

「絵や得意なことを伸ばせる中学校を探しているのですが、今のところ見つかったのが高校以上からがほとんどのようで、探し方のコツなどがあれば教えていただきたいです。」

稲垣:中学校二年生、三年生で自分のやりたいことがはっきりとしている場合であれば、高等専修学校など、中卒で入れる専門学校も一つの選択肢としてありなのかなと思います。他にも中学校への入学を検討する際に、部活動で選ぶお子さまも増えているんです。鉄道が好きだから、鉄道研究会で世界一になった部活のある学校を選びました、など。

鈴木:そもそも中学校って結構選択肢が少ないんですよ。なので、在籍は公立の中学校にしておいて、フリースクールで勉強ができる場所を探す、というやり方もあります。中学校のほうで高校に上がるためのトレーニングをしながら、フリースクールのほうでデジタルツールを使いこなす方法を楽しく学ぶ、など。中にはオンラインスクールとして開講している場合もあるので、地方からこうしたスクールに参加いただいてもいいかなと思います。

視聴者コメント:学校に通いながらフリースクールに通うとなると、学費はどちらも発生しますか。

鈴木:そうですね。経済的なことも鑑みて検討していただければと思います。

LITALICOライフの勉強会に参加する

いかがだったでしょうか。ライブ配信ではこのほかにもたくさんのご質問を保護者さまから事前にいただいたお悩みにこたえつつ、チャット上でもその場で視聴者のみなさんとリアルタイムなやり取りも活発に行われていました。

LITALICOライフでは、今日登壇いただいた鈴木先生、稲垣先生をはじめとするライフコンサルタントを講師とし、発達障害を持つご家庭にむけた「勉強会」を開催しています。気になる方はぜひ参加してみてください。

また、以下より鈴木先生、稲垣先生が登壇予定の勉強会を探すこともできます。

※「自閉症スペクトラム」の診断名は、2013年以降「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」に統一されました。ただし、いまだ「自閉症スペクトラム」という略称や、「アスペルガー症候群」という表現も根強く浸透しているため、わかりやすさを重視して「自閉症スペクトラム」と表記しています。
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