【開催レポート】親自身の気持ちのおさめ方、通常学級での進級など、当日のQ&Aの様子を公開!〈1/10お悩み解決Q&Aライブ〉

新春特別企画「発達障害のある子と家族のQ&Aライブ」を1月10日に開催!

当日は約300名の参加者が視聴している中で、発達障害のある子やご家庭のさまざまなお悩みにLITALICOライフの鈴木先生、小助川先生が一つ一つその場で答えました。

この記事では、当日の様子を少しだけご紹介します。

講師プロフィール

鈴木健(すずき・たけし)

発達障害のある子ども向けの学習教室にて、マネージャーとして教室運営や保護者さまサポートに従事。クリエイティブ系専門スクールにて9年間にわたりキャリア支援を担当。現在は約1,000家庭の子育ての悩みや将来への準備について個別相談を実施。

小助川陽子(こすけがわ・ようこ)

子どもの「好き」や「興味」を貫くことを大切に、発達障害のあるお子さま向けの教室の教室長として直接支援や保護者さまへの相談支援に従事。自身も母として、子どもの個性を伸ばす子育てを大切にし、娘は私立中高一貫校から通信制へ進学、息子はロボット世界大会に出場、中学よりシンガポールへ留学。

【質問1】悪態や暴言の多い我が子との接し方、親の気持ちのおさめ方を教えてください(東京都・ズミイさま)

気持ちのコントロールがしづらい特性がある我が子。自宅で特に私に対して悪態しかつきません。私自身、付き合う気持ちにもならないことが多くなってきました。悪態や暴言を吐きまくるわが子に対する良い接し方をおしえてください。私の気持ちのおさめ方も教えてください。

鈴木:何よりもまずは、お母さん、本当に大変だと思います。暴言が出る中で、自分はダメな親だ、と思ってしまっているかもしれません。でも、そんなことないです。人間として当たり前のこと。それをまず前提としてお伝えさせてください。

問題行動の理由を考えることが大切

鈴木:お子さまが悪態をついてしまう、とのご相談でしたが、解決のためにはまずお子さまが「そうした問題行動をしている理由は何なのか?」と掘り下げて考えてみることが重要だと、私たちは考えています。

小助川:なぜ、の部分ですね。

鈴木:はい。その「なぜ」を考える枠組みとして「氷山モデル」というものがあります。陽子先生、「氷山モデル」について説明してもらってもいいですか?

小助川:はい。「氷山モデル」は、お子さまの行動について、見えている部分はほんの一部であり、その背後にはたくさんの見えないことが存在するという考え方です。

鈴木:このモデルを今回のご相談に当てはめてみると、まず、「悪態をつく」というのはお子さまの行動の見えているほんの一部である、と考えてみます。そして、その背後にはどんな理由があるのかを考えてみるのです。ズミイさんのお子さまの年齢にもよりますが、たとえば悪態をつくことで注目を集められた、自分のいうことを聞いてもらえた、など、悪態にまつわる成功した体験があるのかもしれません。

では、これにどう対応すればいいのか。悪態に対しては反応しない、ということが大切であると思います。そして、丁寧な呼びかけには応答する、など、問題行動ではない別の行動、つまりは代替行動を促し、代替行動のほうが成功しやすいのだ、ということをお子さまに学習していただくことが重要だと考えています。こうして代替行動を学習できれば、問題行動は少しずつ減少してゆくはずです。

小助川:良い行動はきちんとほめてあげることが大切ですね。

鈴木:ただ、お母さまだけだと大変かもしれません。LITALICOジュニアの学習塾では、そうした問題行動について一緒に理由を考え改善し、社会で生きていくための「ソーシャルスキル」をトレーニングするプログラムを用意しています。外部の力をうまく借りることも大切です。

お母さん、自分の気持ちを大切に

小助川:そしてもう一つ大切なのは、お母さんの気持ち。

鈴木:お母さん、本当に頑張っていますよね。

小助川:お母さんが一番お子さまに接している時間が長いと思うので、精神的につらくなってしまうこともあるかもしれません。リフレッシュのために、ひとりの時間を作ってみてもいいと思いますよ。

鈴木:よく「子どもが育たないのは母親が悪い」とか言われますけどね。そんなことない、頑張ってないお母さんなんていないわけがない!

小助川:日本のお母さん、義務感に駆られてあれしなきゃ、これしなきゃ、って思いがちだと思うんですけど、でもお母さんにも休む権利はあるので。

視聴者コメント:まあいいや、の精神ですね。

小助川:まさに!まいいやの精神、大切です。私も一人の母として、まあいいや、の連続です。(笑)

視聴者コメント:うちは気に入らない事があるとすぐ泣きます。泣いてもあまり対応しない方が良いと言われ、実行したら泣いてアプローチするのが減りました。

鈴木:これいいですね!泣いて、注目されるという誤学習がなくなっていった。ナイスアプローチです!

【質問2】家から出られない、意欲もないような子どもがやっていける高校はありますか?(大分県・ニワチャンさま)

中2の長男、ASDの診断あり。学習障害の診断は出ていないが、普通級では授業に全くついていけず中2から支援級に入り、不登校になりました。来年度高校受験になるが、そもそも高校に行く気があるのかわからない。家ではずっとゲームばかりしている。家から出ない、一人で学習もできない、意欲もない。これでは通信制高校も無理だと思いますが、こんな子どもでもやっていける高校はあるのでしょうか。

本人にあった環境を考えてみましょう

小助川:まずなによりも、本人にあった環境を選んであげることが大切だと思います。通信制の高校は、自分で自分にあった通学の形を選ぶことができる。キャンパスに通うのが難しければ、まずはオンラインで授業を受けてみて、通ってみたいなと思ったら登校してみるなど、どういった形であれば本人がやってみたいと思えるのか、考えてみてあげてください。

鈴木:私が以前在籍していたLITALICOジュニアでも不登校の支援をやっています。いきなり学校に通うことを目指すのではなく、小さなステップを積み重ねるやり方です。
わたしが実際に不登校のお子さまを支援した時の例ですと、まず外出をして、保護者さま以外の人と信頼関係を築くところから始めました。
例えば、ジュニア指導員である私と一緒に筋トレをしてみる、ショッピングセンターでご飯を食べる、などです。こういったことを繰り返すと、少しずつ一人でも外出できるようになっていきます。こうした小さな成功体験を積んでいく中で最終的には、お子さま本人から「学校に行きたい!」といえるようになり、実際に通信制の高校に復学しました。スモールステップで可能性を広げていくことが大事という事例の1つです。

視聴者コメント:eスポーツの教室でもいいですか。

鈴木:良いと思います。日本では、小学校や中学校に行かないことが悪である、という風潮があるけれども、全くそんなことありません。たとえばアメリカでは、ホームスクーリングが当たり前になってきているんです。学校以外にも、大人になったときに必要なコミュニケーション能力や行動力を鍛える場はあります。
例えば、eスポーツの教室や、習い事などはたのしく通える人もいると思います。そういったものを活用し、高校から自分にあった学校に通うことを目指してみてはいかがでしょうか。

社会で必要なスキルを身に着ける勉強を

視聴者コメント:そもそも、勉強をしたくない子に通信制高校に行かせるべきなんでしょうか?、高校に行かないなど、他の進路はどのようなものがありますか?

小助川:通信制高校の学習方法は、国語算数理科社会といったような一般的な科目を学ぶ以外にも多く存在します。ですが、それだけではなく、例えば集団でスポーツをする中で、他者と協働するスキルが身につくなど、社会で活きる力を養うきっかけになるかもしれません。お子さまが未来を生きていく上で必要なスキルを得られるような勉強方法をぜひ一緒に探してみてください。

鈴木:生まれ持って鬱の人なんていないんですよね。学校に通ったり、社会人としての研修をおこなう中で鬱になってしまう、というパターンが結構あるんです。大切なのは自己肯定感を担保すること、そして自分で選び取る経験をすることです。その経験が社会で生きていく上での大切な力になります。

視聴者コメント:白黒思考、思考のこだわりはどうしたら良いですか?

鈴木:こだわりの強さは、そのお子さまの強みになることもあります。こだわりが強い人の中には、社長になったり、フリーランスとして活躍している人もたくさんいます。

小助川:そうですね。LITALICOワンダーなど、自分のやりたいことをとことん追求できるような環境を用意してあげると、こだわりの強さを発揮できる仕事につながるかもしれません。

鈴木:ただ、あまりにもこだわりが強すぎるとストレスに感じてしまうことも。こういったときに、お母さんやお父さんは、まずそのストレスを発散させてあげてほしいです。そのあとにどうしたの?と話をきいてあげてみてください。お子さま本人としても、自分なりの対処法をみつけて「まあいっか」と思えるようなスキルを身に着けられれば良いと思います。

【質問3】軽度と診断されたが、本人は普通学級に留まりたがっている場合どう考えたらいいでしょうか?(愛知県・やっちゃんさま)

愛護手帳を持っていて、軽度という判定を受けています。グレーゾーンだと思います。中学生になり勉強が難しくなってやる気がなくなりゲームに執着しています。今は通常学級にいますが今後の進路をどうすべきか迷っています。勉強の面で不安はありますが、友達と離れたくないからと本人は支援級に行くのを嫌がっています。進路について相談したいです。

お子さまが「どうしたいのか」を何よりも尊重して

小助川:お子さまご本人の意思を大事にしてあげるといいと思います。自己決定って、すごく大切なんです。自分で選んだ環境だと、少しつまずくことがあったとしてもお子さまは頑張っていくことができるんですね。でも、「あなたはこっちがいいから」と親に言われた環境を選ぶと、何かうまくいかなくなったときに「だってお母さんがいったから!」と、他責になってしまうのです。

鈴木:他責がうまれるどころか、二次障害として鬱になってしまったり、家庭内暴力に発展してしまうケースもあります。
勉強は全くできないけれど友達と一緒にいたい!という自己決定が実現できると、通知表が芳しくなかったとしても、そこで挫折してしまわないことが多い。たとえば、通信制高校は学力よりも本人の意欲が評価されます。友達がいるから楽しい!と高校に通う中で自己決定力もはぐくまれると思います。高校卒業後も、障害者雇用枠で就職につながることもあります。

このように、本人の意欲、楽しい!と心に火がついている状態を尊重することが自立につながりやすいんです。

視聴者コメント:親の負担がすごくて精神的にやられてしまいそう。

鈴木:そうですよね…なかなか難しいことも多く、お父さんお母さんだけではいっぱいいっぱい、ということもあるかもしれません。
LITALICOライフでは、プロのコンサルタントと個別相談をしながらお子さまの進路を考えていくシステムを整えています。ぜひ個別相談にいらしてみてください。

LITALICOライフの勉強会に参加する

いかがだったでしょうか。ライブ配信ではこのほかにもたくさんのご質問を保護者さまから事前にいただいたお悩みにこたえつつ、チャット上でもその場で視聴者のみなさんとリアルタイムなやり取りも活発に行われていました。

LITALICOライフでは、今日登壇いただいた鈴木先生、小助川先生をはじめとするライフコンサルタントを講師とし、発達障害を持つご家庭にむけた「勉強会」を開催しています。気になる方はぜひ参加してみてください。

また、以下より鈴木先生、小助川先生が登壇予定の勉強会を探すこともできます。

※「自閉症スペクトラム」の診断名は、2013年以降「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」に統一されました。ただし、いまだ「自閉症スペクトラム」という略称や、「アスペルガー症候群」という表現も根強く浸透しているため、わかりやすさを重視して「自閉症スペクトラム」と表記しています。
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