【対談企画・後編】いつまで母親が手伝えばいいの?親子・家族関係が変わる方法

今回は対談記事の後編です。

前回は、子どもの発達支援のプロ・LITALICOジュニアの花渕さんと、家族のライフプランニングのプロ・LITALICOライフの望月さんに、中学受験すべきか悩んでいるご家庭のケースについて話してもらいました。

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どちらも、お子さまと保護者さま、それぞれの価値観や想いをしっかりと引き出していくことで、本質的な課題にアプローチできる、というお話でした。今回は、別のご家庭のケースとともに、前回話に出た親子関係・家族関係の変化についても聞いてみたいと思います。よろしくお願いいたします。

ケース2:自分で予定どおりに行動ができず、つい母親が手伝ってしまう


(兵庫県 みつお)

中学3年に私学の進学クラスでの授業についていけなくなり、ADHDかもと疑い診断もおりました。

高校生でも明日の予定の準備と実行はできても2週間前から、いや、1週間前でもテストの課題が取りかかることがてきない。並行して物事を進められない(数学を終えて、化学、物理、英語、現国、古文とこの順で一つずつしかできない)今は課題表を母の私もコピーを取り、提出日に間に合うように色々助けています。

大学に合格できても、自分でできることが、明日までのことならば、また混乱を招き、留年や最悪中退となるかもしれないと、不安になっています。


【発達支援】ゲームや好きなことなら、スケジュールも守れるようになる

ーーー:高校生のお子さまですが、課題や提出物のスケジュールについて、母親のサポートが必要な状態のようです。こういったご家庭については、LITALICOジュニアではどのようにアプローチしますか?

花渕:お母さま大変でしょうね。こういったご相談も非常に多いです。前編のケースと同様ですが、お子さまが自分で考えて行動できるようになることが大切です。LITALICOジュニアでは、まずお子さまが主体的に「できるようになりたい!」と思えるような目標設定をしていきます。

ーーー:自分でスケジュールをたてて実行していくのは、とても難しいことだと思います。どのようにやる気を芽生えさせるのでしょうか?

花渕:特に思春期のお子さまなら、好きなものからアプローチします。最近あった例だと、勉強は全然やらないし、夜更かししてしまうADHDの中学生の男の子がいました。彼は「フォートナイト」というゲームが大好きなので、フォートナイトの何が好きなのか、どんなふうに上手くなりたいか聞いていきました。好きなゲームの話なので、たくさん話してくれます。

「戦術がうまくいかなくて負けるとイライラしてしまう」と言うので、「どんなときに負けてしまうのか?」と聞くと、「親から小言を言われながらプレイするときと、睡眠不足のとき」と答えてくれました。
ゲームをのびのびプレイするために、「家の手伝いをしたら小言を言われない」ルールと、寝る時間・起きる時間を決めて守ることを始めました。

海外のゲーム動画を観たいから英語の勉強に意欲的になった子もいます。

ーーー:お子さまのやりたいこととリンクしている感じがします!

花渕:お子さまたちも、辛いんですよね。親に注意されたり、勉強にやる気が起きなかったり。ほとんどの子が「変わりたい」って気持ちを持っていると思います。

【ライフプランニング】夫婦の価値観の違いもすり合わせることができる

ーーー:LITALICOライフではどうでしょうか。

望月:高校受験がないからと中高一貫校に入っても、進学クラスでついていくのにいっぱいいっぱいになって疲れてしまうお子さまのご相談はよくいただきます。家族で頑張って入学した学校ですから、簡単に転校するわけにもいかないし、でも本人はどんどん疲弊していくし、不登校になってしまうかもしれない…など。

ーーー:親としては心配ですよね。

望月:どうしていくかはご家庭によってさまざまですが、「子どもにとって良い環境はどんなところか?」「現実的に用意できる環境は何があるか?」「選べるとしたら選ぶか?」「親として一番つらいのは何か?」など質問しながら考えを整理してもらいます。
夫婦でいらっしゃった場合は、意見が合わないことも結構あります。

ーーー:家族の問題って、そこが難しいですよね。自分一人の問題ではないというか…。

望月:家でしっかり話す機会も、なかなかないですしね。ライフプラン相談の場では、お互いの意見を聞き合うことで見えてくることもありますよ。父と母で役割分担を決めて、子どもにどう接していくか作戦会議することもあります。

ーーー:第三者がいると、感情的になりすぎず冷静に会話しやすいのもあるかもしれないですね。

望月:親とはいえお母さんにもお父さんにも自分の人生がありますよね。お子さまのことだけでなく、自分のやりがいなども大事にしてほしいです。

「頑張って仕事して塾代を稼いでいるのに、子どもが塾に行ってくれない」なんてよく聞きますが、働きがいがなくなってしまいますよね。「何のために働いているのか」「本当に塾でいいのか」など、今だけでなく未来も見つめ直す機会になると思います。

本音で話し合うから、親子・家族関係が変わっていく

ーーー:子どもが大きくなっていくと、親子での話し合い自体も簡単ではなくなるかもしれません。

花渕:だからこそ第三者としてLITALICOジュニアやライフを活用してもらうと良いかもしれませんね。

LITALICOジュニアでは、一番はじめに保護者さまとお子さまそれぞれから話を聞きますが、子どもの考えていることを100%理解できる親はいません。第三者だからこそ、親には気恥ずかしくて言えない本音を話してくれることもあります。

望月:「中学・高校からは子ども本人の意思を尊重する」…とは言いますが、実際は小学生くらいから徐々に始めていくことかもしれないですね。だんだん習いごとや塾に行きたがらなくなったり、親に反抗的な態度をとることもある。

花渕:そうですよね。小学生のお子さまは失敗することも多いので、見ているほうとしてはつい世話をしたくなるけど、中学生から突然本人の自由に任せると戸惑ってしまう。自分で決めて行動するスキルは、小学生くらいから少しずつ練習していくと良いと思います。

LITALICOジュニアでは保護者さま向けに家庭での関わり方についてもお伝えするので、親子関係が劇的に改善することもよくあります。価格が高いとおっしゃる方もいらっしゃいますが、人生が変わる価値があると思っています。

望月:人生で使えるお金は限られているので、どのタイミングで何を使うかが大切ですね。LITALICOライフの個別相談では、お子さまの特性やご家庭の状況をお伺いしながら、その先の進路や準備の方法について一緒に整理をしていきます。進路ひとつでも、夫婦で認識が違うことはありますから、「何を大切にしていくのか」を一緒に話しながら、次の行動を決めていきます。「家族の新しい一歩を踏み出せた」と言われることもあります。

さいごに

望月:毎日いろんなことがあって大変だと思いますが、何のために頑張っているのかがわかると、前向きになれることもあると思います。「進路や教育費のことをちゃんと考えられていない」と気兼ねされる方もいますが、構えすぎず、前向きになれる場所と思って相談をしに来てほしいです。

花渕:少しでも「子どもの様子が気になるな」と思ったらぜひ相談してください。親から見て「辛そうだな」と思う頃には、お子さまは失敗体験を積み重ねてしまっています。保護者の方々も我慢しすぎの方がたくさんいます。せっかくこの記事を見つけてくださったのですから、一緒に解決していきたいです。

ーーー:本日はありがとうございました。

 

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