今からできることは?発達障害のある子の将来の働き方

今回は「発達障害のある子の将来の働き方と、今からできること」についてです。

テーマに関するアンケ―トでも、「どんな職場があるのか気になる」「自分らしく働ける仕事は?」など、仕事・就労に関するご意見をいただきました。
大阪府 ぽにゃさま、東京都 よっちゃんさま、東京都 ころころさま、埼玉県 MONTYさま、その他 わさびさま、ありがとうございました。

まだお子さまが小さいご家庭にとっては少し先の話ですが、今している工夫や、受けている支援・配慮に繋がることがあります。

発達障害のある人が、仕事・就職で実際に困ったこと


発達障害のある人が仕事をするとき、人間関係や時間管理において、不注意さや衝動性、融通のきかなさといった特性が、業務上の支障につながることがあります。
実際に職場経験のある人たちは、どのようなことに困ったのでしょうか。

 

・自分の得意分野で先輩から指示が入り、納得できなかった。つい「自分のほうが得意なのに、なぜあなたの指示を聞かなくてはいけないのですか」と発言してしまい、場が凍った。

・シフト制で働いていたところ、出社日がわからなくなり、出社できなかった。

・与えられた仕事が終わったので、スマホでゲームをしていたら注意されてしまった。

・「仕事=パソコン作業」というこだわりがあり、パソコン意外の業務ができなかった。

・車が好きだったため配送ドライバーの職に就くが、「道が覚えられない」「配送先を間違える」「配送を時間内に終えることができない」など、うまくいかなかった。

 

社会人になると新たに覚えることが多く、人間関係や空気を察すること、臨機応変な対応に、より高い水準が求められます。苦手意識のある人にとっては、働きづらさを感じることがあるようです。

 

社会人としてのスキルトレーニングをできる場所は?

前述のように仕事をするうえで困りごとがあった方や、仕事を始める前に不安がある方が頼れる先はいくつかあります。その一つに「就労移行支援」があります。
「就労移行支援」事業所とは、社会人として働くうえでのスキルトレーニングができる場所です。

ビジネスマナー、パソコンスキルから、ストレス管理・時間管理といったソーシャルスキル・トレーニングを行うこともできます。

実際に就労移行支援を利用することで、「失敗したあとの心の落ち着かせ方」「嫌な仕事を任されたときの対応の仕方」などを学び、自信がついた人もいます。

就職先選びの支援もあるため、「自分のしたいこと・できること・苦手なこと」を整理する機会にもなります。

 

障害や特性へ配慮のある会社は?

障害のある人に向けて働きやすい環境を整えている会社や制度はいくつかありますが、その一つが「特例子会社」です。

先日取材させていただいた「株式会社デジタルハーツプラス」さまも特例子会社です。
デジタルハーツプラスさまでは、不登校だった人やADHD・ASDの人が自分に合った仕事をし、ヒーローとして活躍・評価されています。

▼デジタルハーツプラスさまの取材記事はこちら

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特例子会社ってどんなところ?ゲーム好きなお子さまもワクワクするお仕事とは?

他にも、一般企業の一般雇用・障害者雇用や、就労継続支援A型・B型事業所など、障害のある人が自分らしく働くことのできる選択肢はあります。

制度や給与の詳細、より具体的な事例を詳しく知りたい方は、LITALICOライフの保護者さま向け無料勉強会『自立への準備「障害者雇用と住まいの選択肢」』でもお話ししています。

大切なのは、自分の得意・苦手や、生かし方・補い方を理解することです。

 

将来に向けて、今からできることは?

発達障害のある人が職場で特定の配慮・理解を必要と感じた場合、職場と話し合い、お互いにとって過ごしやすい環境を調整することができます。これを「合理的配慮」といいます。
合理的配慮を活用するためには、どのような配慮があれば自分をより生かすことができるのか、知っておく必要があります。

それは、子どものうちから準備できることです。

実際の例として、「周囲に物があると気が散ってしまう」特性の人が、会社と話し合って業務スペースをパーテーションで仕切った事例があります。パーテーションを設置することで、周りのデスクの置いてあるものや、人の動きが視界に入らなくなり、作業に集中することができます。

子どもで「周囲に物があると気が散ってしまう」特性がある人は、勉強のときにマンガやゲーム機器があると気が散ってしまうかもしれません。誘惑物を隠すのも方法の一つです。

このように「気になる物が見えなければ、作業に集中できる」ことがわかっていると、学校や職場から配慮を求めやすくなります。

 

実際に行われている職場での合理的配慮は、以下のようなものもあります。

・周りがうるさいと集中できないので耳栓を使う
・人込みが苦手なので通勤ラッシュを避けた10時に出社する
・見通しがたたないと不安なので、一日のスケジュールを時間単位で用意し、ホワイトボードに貼る
・曖昧な指示が苦手なので、順番・優先順位を明確にする、写真や図の入った手順書を用意する

これらの中には、家庭や学校でできる工夫もあるかもしれません。自身の特性を知り、どういった配慮やツールがあると自分らしく作業できるのか、早いうちから理解しておくことで毎日が暮らしやすくなるかもしれません。

 

重要なのは、発達障害の特性は長所にもなりうるということです。以下は、実際に発達障害の大人たちが、職場から言われた言葉です。

「こだわりが強いことで、他の社員が見落としてしまうようなことも的確にこなしてくれる!」

「嫌味なく押しの強いところは、見習いたい!」

「他の社員が躊躇するような新しい取り組みも、明るく率先してやってみたいと言ってくれる!」

「お願いしたことは中途半端にせず、きっちり最後まで責任を持ってくれる信頼感がある!」

 

勉強会では、より具体的な事例や詳細な制度から、「うちの子の場合」を考えることができる

学校と異なり、仕事は何十年と続きます。自分らしくあるために、子どものうちから何を育んでいくのかが大切です。

LITALICOライフでは、『親なきあとのお金と自立』という保護者さま向けの無料勉強会を開催しています。
勉強会では職場や働き方のより詳細な具体例や制度、自立に向けた給与や生活費、手帳が必要かどうか、今のうちから何をすればいいのか?などを、専門知識を持つ講師がお話します。

勉強会のあとアンケートで希望を出すと後日、個別相談をすることができます。良ければ参加してみてください。

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