高校生の発達障害の特徴は?勉強・進路・相談先や親の接し方について

発達障害における特徴の表れ方は年齢によって変わってきますが、高校生になった場合に生じる困りごとや特性・行動にはどんなものがあるのでしょうか。思春期を迎えるこの時期は周囲と自分との違いをこれまで以上に意識するようになります。また勉強での遅れがある場合は、自己肯定感が下がり、不登校など学校に行きたくないと思うこともあるかもしれません。

ここでは、発達障害のある高校生の子どもの進路・勉強・友だちなどに関する困りごとと、それらに対する親の接し方、病院への受診方法についてご紹介します。

監修

井上 雅彦

鳥取大学医学系研究科臨床心理学講座教授。応用行動分析学が専門。30年以上自閉症のある子どもや家族の相談、療育・家族支援プログラムの開発に携わる。株式会社LITALICO社外取締役。

高校生の発達障害の特徴って?

発達障害とは生まれつき脳機能の発達がアンバランスであることにより、周囲の人・環境とのミスマッチが生じ、生きづらさや困難を感じる障害です。中高生になると、自分と他人とを意識する思春期に入り、これまでと違った困難さを感じることがあります。

高校生の発達障害の子どもに見られる特徴にはどんなものがあるのでしょうか。それぞれの特性ごとの特徴と困りごと、対応方法・接し方についてご紹介します

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)

■特徴と困りごとの例

3歳ころから特徴があらわれ、人とのコミュニケーションや関わり方が苦手こだわりが強いなどの傾向がみられます。中高生ごろになると複雑な言語表現の理解が進み、仲間とのコミュニケーションもできるようになってきますが、言葉から相手の意図を察するのが苦手なため、必ずしも会話の内容を十分理解しているとは限りません。そのため、強い不安や被害者意識を持つこともあります。

■対応方法・接し方

一方的にしゃべる・相手の会話をさえぎって話すなどのコミュニケーションを取っている場合は周囲の大人から、自分ばかりでなく相手の話をきちんと聞くように伝えましょう。
また、「友だちが興味を持っている話題で話しかける」、「話を聞くときは相槌を打ちながら聞く」など、アドバイスすることで友だちとの会話もうまくいくようになります。

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)

■特徴例と困りごと

宿題を忘れる・大事なプリントを失くす・授業中勝手に発言をするなど、不注意や衝動的な言動が特徴として見られます。そのため、先生や保護者・友だちから頻繁に注意されたり笑われたりして劣等感や自己否定的な感情が高まりやすくなります。
自分なりに努力していても上手くいかず悩んでいる子も少なくありません。

■対応方法・接し方

一緒に勉強部屋を片づけて、教科ごとにBOXやトレイを用意し整理整頓の仕方を伝えることが大切です。プリントも教科ごとに色違いのファイルなどに入れて見やすくしてまとめましょう。
また、部屋に携帯やゲーム機など気が散ってしまいそうなものがあると集中できません。なるべく置かない工夫が必要です。

限局性学習症/限局性学習障害(LD)

■特徴例と困りごと

中学生以降になると勉強が急に難しくなり科目によっては得意不得意の差が激しくなってきます。計算はできるけれど文章題になると理解できない、公式は覚えられるけど活用できないとか、英単語や英文法がなかなか覚えられないなどが挙げられます。
どんなに勉強しても思ったように点が取れず、周囲からは「もっと勉強しなさい」などと言われ、やる気や自信をなくしてしまう場合もあります。

■対応方法・接し方

特性に合わせた勉強方法を工夫する必要があります。本人のペースで学習でき、また苦手なところをサポートしてくれるような家庭教師や個別指導塾を利用してみるのも良いでしょう。
あるいは、タブレットなどを利用すると自分の見やすいフォントに調節できたり、問題をいちいち書くための時間が短縮されたりしてやりづらさが解消される場合もあります。

関連記事

発達障害のある子どもに親ができることは?年代別の特徴や症状ごとの接し方

高校生に起こりやすい困りごとや親の接し方について

この時期の子どもは友だちとのコミュニケーションが上手くいかなかったり、学習の遅れにより自信を失くしたりして自己肯定感が低下しやすく、いわゆる二次障害を発症することもあります。
どんな困りごとを抱える場合が多いのか、またそれに対する親の接し方についてもお伝えします。

友だちとの関わり方に関する悩み

思春期以降は家族よりも友人関係が重要になってくる時期です。しかし、発達障害の特性のある子はグループでの集団行動が苦手だったり、コミュニケーションが難しく会話の内容についていけなかったり、あるいは誤解が生じたりして孤立してしまう場合があります。
また友人関係を大切にしようとするあまり、友だちの意見に合わせたり、誘いに応じたりして自分に無理をしてしまう子も少なくありません。

■親の接し方例

友人関係をあれこれ聞き出すのではなく「困ったときにはいつでも相談にのるからね」という態度を示しておくのが良いでしょう。また、相手からの誘いをなかなか断れず困っている様子があれば、やんわりと断れるような断り方の具体例を示して少しずつ本人が対処できるように伝えることが必要です。

自己肯定感の低下

発達障害のある子どもは高校生になると自分の特性に気づき、周囲の友だちとの違いやできないことに対する劣等感から自分のことをなかなか肯定的に捉えられないことがあります。小さいころから注意を受け続けていると「自分はダメな人間だ」と自己否定しがちになり、不登校やうつ状態などの二次障害を引き起こすこともあります。

■親の接し方例

子どもの意見を聞く、認める姿勢が大切です。何か間違えてしまった場合も、まずは子どもの言い分をしっかり聞きます。失敗した場合も「ちゃんとやりなさい」などの否定するような言葉かけをするのではなく、「お父さんお母さんはこう考えるけど、あなたはどう考える?」と考えていることを聞く、できるところを褒める、「次はうまくいくよ。家族みんなで応援しているよ」という態度で子どもが安心できるような接し方を心がけてみてください。

子どもが不登校になった場合

学校の環境に馴染めない・友人関係がうまく築けない、あるいは勉強についていけなくなったりとさまざまな理由で学校に通うのがつらくなってしまう場合も少なくありません。

■親の接し方例

無理やり登校を促すとかえって逆効果になる場合もあるため、まずは学校に限らず子どもにとって安心していられる場所を確保することが大切です。
また家族だけで問題を抱え込もうとせずに第三者に相談し、適切なサポートを受けることも必要となります。

■不登校になった場合に活用できる機関

・保健室・スクールカウンセラー

登校しても教室に入れない子どもが保健室登校し、自習などをすることができます。ただし多くの高校では出席扱いになりません。学校ごとに出席扱い・単位認定ルールなど確認する、学校・親・子どもで出席状態を共有するなど事前の確認も大事です。
スクールカウンセリングを通じてカウンセラーに相談、助言を受けることもできます。

フリースクール

学校になかなか馴染めない場合の新たな居場所として、選択肢の一つとなっています。自分の好きなことや興味のある事柄を学ぶことができ、自由で独創的な教育を行うスクールが多くあります。

・「24時間子供SOSダイヤル」

いじめやそのほかの困りごとに悩む子どもや保護者からの相談に対して、夜間・休日を含めて24時間いつでも電話相談ができるシステムです。

その他にも夜間・通信制の高校などの選択肢があります。

思春期といわれる中高生以降は、子ども自身の精神的な成長もあり、親子の関わり方もだんだん変化していきます。また高校生になると自我も芽ばえ、これまでのように親が直接関わる機会が少なくなってきます。
「大人が考える正解」を押しつけるのではなく、あくまで選択肢を見せたり判断基準を伝えたりして最終決定は本人に任せる、という形の支援が必要になってきます。

勉強しない場合の要因と対応方法とは

発達障害の子はその特性によって得意なこと・苦手なことがはっきり分かれてくる場合があります。苦手なことはどんなに一生懸命やってもうまく行かず、また友人と比べてできない自分に劣等感も感じやすいため、どんどんやる気をなくしてしまうケースも見られます。

それぞれの特徴を踏まえて子どもが勉強しない要因は何かを理解し、適切な対応を取れるようにしましょう。

科目ごとの得意・不得意がはっきりしている

発達障害の子どもは好き・嫌いがはっきりしていることが多く、好きなことには集中して取り組めても嫌いなことにはなかなか手がつけられないという子も少なくありません。特性によっては計算など答えが明確なものはスラスラできる一方、記憶するのが苦手というようにできる科目・できない科目とバラつきがでることもあります。
まずは得意科目や勉強以外のことで頑張って自信をつけられるように声をかけてみましょう。自信がついてくると苦手な科目も頑張ってみようという気持ちになってきます。

計画的に物事を進めるのが苦手

高校生になると科目ごとに宿題が出たり、定期試験の範囲も広く、試験期間も長くなります。発達障害の子どもは計画を立てる・先の見通しを立てるというのが苦手なため何から手をつけていいのか分からなくなってしまいます。
本人がいつでも目で見て確かめられるように計画表をつくったり、カレンダーに書き込んだりして予定を立てられるようにアドバイスするのも一つです。

集中力がなかなか続かない

高校生になると授業時間が長くなり、科目数もグっと増えるので発達障害のある子どもは学校生活でこれまで以上に疲労感を感じやすくなります。
家で宿題など課題に取り組む場合は勉強に集中できるよう落ち着いた環境を整えましょう。例として、休憩時間も上手に取り入れてスモールステップで進めるなども一つの手段です。切り替えが上手くできない場合はタイマーなどをうまく利用してみましょう。
また、図書館・喫茶店など場所を変えてみると上手くいくこともあります。

発達障害がある子どもの高校やその先の進路って?

発達障害のある子どもにとって、義務教育以降の選択肢は実にさまざまです。

どのような進路の選択肢があるのか、それらの特徴と高校卒業後の進路もまとめてみましたので、その子の特性に合わせて進路を選ぶとともに将来の就職や自立のことも考えて進めていきましょう。

発達障害のある子どもにあった高校の進路を探す

全日制

・普通高校、工業高校、商業高校、農業高校などがある
・卒業後の進路の選択肢の幅が広い
・授業の科目、時間が増え進み方が速い

高等専門学校

・主に工学・技術系の専門的な教育を行う
・卒業までに5年かかるが、即戦力が身につき就職率も高い
・大学への編入も可能

定時制

・午前の部・午後の部・夜間の部があり自分の好きな時間帯に通うことができる
・年齢制限がなく、さまざまな年代の人が通える
・一般的に卒業必須単位は全日制より少ないが、卒業まで4年かかる(3年で卒業可能な学校もある)

通信制

・自宅学習をメインとして、登校日数や頻度を自分で選択することが可能
・卒業までの期限がなく、自分のペースで学習できる
・自宅学習がメインのため自分で計画的に進めなくてはならない

サポート校

・通信制高校を卒業するための学習サポートを行っており、通信制高校と併用する必要がある
・通う頻度は自分で選ぶことができ、自由度が高い
・通信制とサポート校両方の学費が必要となるため費用がかかる

高等専修学校

・仕事に役立つ専門的な知識や技術、実務を学ぶことができる
・高校卒業資格を取得するには「技能連携制度」を利用したり、「大学入学資格付与指定校」を選ぶ必要がある

特別支援学校高等部/高等特別支援学校

・教員が専門的知識を持っており、個別支援が受けやすい
・卒業後の就労を目指した職業教育も充実しており、職業体験や企業での実習、自立に向けた生活スキルも学べる
・特別支援学校高等部を卒業した場合、カリキュラムによって通常の高卒資格とみなされない場合もある(ただし教育課程によっては大学入学資格を得ることはできる)

高校以降、進学するには受験が必須となりますが事前に申請しておくことで受験時に障害に対して配慮してもらえる場合があります。早めに情報収集をして備えておきましょう。

高校卒業後の進路はどんな選択肢があるの?

高校卒業後は進学、就職だけではなく働く準備をするという選択肢もあります。本人の意見も尊重しつつ、現実的な進路選択をするためにどういう進路が考えられるのかを子どもがイメージしやすいようにアドバイスしてあげましょう。

進学

・大学
・専門学校

就職

・一般就労(一般雇用、障害者雇用)
・福祉的就労

働く準備

・就労移行支援
・生活訓練
・職業能力開発校
・若者サポートステーション

それぞれの詳細や発達特性への配慮については下記の記事をご覧ください。

関連記事

発達障害の子どもの進路・進学。高校や専門学校など進路選択のポイントは?

高校時代から準備しておくこと

高校卒業後にすぐに就職する場合も、あるいは大学などに進学後に就職する場合も、将来の自立に向けての準備は早いうちに始めておくことが大切です。昼夜逆転している場合は生活リズムを整える・人間関係をスムーズにするためあいさつの習慣を身につける・大まかなスケジュール表をつくって時間管理をできるようにするなど、今すぐ実施できそうなことから始めてみましょう。

子どもの自立のために親ができることを勉強会で聞く

親なきあとのお金と自立

・保護者向け勉強会
・参加無料
・オンライン開催

高校生になって「発達障害かも」と思ったときの病院の受診方法やそのほかの相談機関について

ここでは「高校生の子どもが発達障害かもしれない」と思ったときの病院の探し方や受診するまでの準備・とそのほかの相談先をまとめてご紹介します。
医療機関を探すことから始める方法もありますが、まずは相談機関に相談することも一つです。相談機関への相談によって問題だと思っていたことが解決することもあれば、適切な医療機関の紹介を受けられることもあります。

相談機関

医療機関以外に発達障害に関する相談を受けつけている機関もあります。いきなり病院にかかるのが不安だという場合にはまず、相談機関に相談するのも一つです。

発達障害者支援センター

保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら、発達障害児(者)への支援を総合的に行う専門機関です。
公式HPはこちら

精神保健センター

心の問題や病気で困っている本人や家族及び関係者の方からの相談を受け、心の健康・精神科医療についてのサポートをしてくれる場所です。
公式HPはこちら

保健所・保健センター

こころの健康、保健、医療、思春期問題、ひきこもり相談など幅広い相談を受けつけています。
公式HPはこちら

大学の研究室に併設された総合相談センター

大学病院の付属施設や研究室において、専門的に学んでいるスタッフ(学生など)が悩みや困りごとのある方の相談を受けつけています。心理療法やカウンセリング、あるいは教育相談などを受けることが可能です。

発達外来など、病院受診方法

■医療機関を探す

どこの病院にかかればよいのか分からない、という場合は以下のサイトより発達障害を専門的に診てもらえる病院を探すことができます。また、かかりつけの病院などで紹介状を書いてもらって受診することもできます。初診予約には時間を要することがありますので早めに連絡しておくことをおすすめします。

・発達障害診療医師名簿|一般社団法人 日本小児神経学会
公式HPはこちら

・子どもの心の診療 機関マップ|国立成育医療研究センター
公式HPはこちら

なお、各々の病院にて初診受付方法など異なるかと思いますので、問い合わせた際にご確認ください。

受診するまでに準備しておくこと

病院の初診日が決まったらその前までに母子手帳・乳幼児健診などの記録・日常の子どもの言動などで気になっていることをまとめて用意しておきましょう。通知表・小学校や中学校で書いた作文・幼少時の様子を記録したビデオまたは服用中の薬などもあれば持参すると診察の際に役立ちます。

まとめ

思春期に入る中高生以降、発達障害の子どもは自分とほかの友だちとの違いを敏感に感じるようになります。大切なことはまず本人が自分自身を認められること、そしてできないこと・困っていることは必要に応じて誰かに助けを求められることです。

やがて、成長とともに自分がどんな環境であれば過ごしやすいのか、逆にどんな環境が苦手なのかも理解し、パニックになったときも自分で少しずつ対処できるようになるでしょう。本人の自立したいという気持ちを尊重しつつ、周囲の大人はその気持ちを潰さないように心がけて、サポート自体をやめるのではなく、これまでとは違う声かけ・サポートの仕方を工夫し、温かく見守りましょう。


子どもの自立のために親ができることを勉強会で聞く

親なきあとのお金と自立

・保護者向け勉強会
・参加無料
・オンライン開催

この記事に関連するキーワード

この記事をシェアする