幼稚園と保育園の違いは?わが家に合う方を選ぶ際のヒントも!

共働き家庭が子どもの預け先を決めるとき、保育園と幼稚園のどちらが子どもや家族にとって良いのか、どちらが入園しやすいのか、と悩むパパ・ママも多いのではないでしょうか。以前は保育園が最も有力な選択肢でしたが、近年は、長時間の預かり保育つきの幼稚園や「認定こども園」という選択肢もあります。そこで今回は、幼稚園と保育園の違いや特徴、入園するにはどちらが合うのかを考えるポイントについて解説します。

幼稚園と保育園の違いを一覧で比較

幼稚園と保育園の違いを一覧で比較

子どもを預かる施設でも、幼稚園と保育園では以下のようにさまざまな点で違いがあります。

 

保育園と幼稚園の違い一覧表

幼稚園と保育園の大きな違いは、役割や管轄です。幼稚園は学校教育法に基づいた文部科学省管轄の教育機関ですが、保育園は児童福祉法に基づいた厚生労働省管轄の児童福祉施設です。

対象年齢はどちらも就学前までは同じですが、入園は幼稚園が満3歳から、保育園は0歳からです。預かってくれる標準時間は、幼稚園が1日4時間で、認可保育園は1日8時間までですが、幼稚園では預かり保育、保育園では延長保育を、それぞれ実施している園もあります。一方、認可外保育園は規定がないため、預かる時間は園ごとに決められています。

幼稚園の種類は、自治体が運営する「国公立幼稚園」と、学校法人や社会福祉法人などが運営する「私立幼稚園」があります。私立幼稚園は、それぞれ独自の教育方針やカリキュラムを持つ園が多く、保育時間の終了後は希望者に「習い事」を行う園もあります。

 保育園も、大きく「認可保育園」と「認可外保育園」の2つに分けられます。国の基準を満たしているのが認可保育園で、国の基準には満たないものの、自治体が定めた要綱に基づき営されているのが認可外保育園です。また、東京都など広い土地の確保が難しい大都市圏では、国の基準とは別に独自の基準を満たした「認証保育園」もあります。

 

費用の違いについて

費用は、国公立幼稚園の場合は各自治体によって定められ、私立幼稚園は園ごとに違いますが、どちらも在園児は一律が基本です。なお、2019年実施の「幼児教育無償化」により、子ども・子育て支援制度の対象となる幼稚園は利用料(月謝)が無償となり、対象外の園でも一部が免除されるようになりました。ただし幼稚園では、給食費や制服代、送迎バスの利用料、園によっては学習カリキュラムにかかる料金や教材費などが別途かかることがあります。

幼稚園で年間にかかる費用は、公立で165,126円、私立で308,909円でした(令和3年の文部科学省調査による)。幼稚園選びの際は金額だけでなく、園の設備や教育内容も踏まえて、適切な金額かどうかを判断する必要があるでしょう。

 認可保育園の場合、利用料は自治体ごとに定められ、保護者の収入によって金額が変わります。認可外保育園は園ごとに決められていますが、国からの補助金を受けていないので、認可保育園よりも高くなる傾向があります。

なお、保育園も幼児教育無償化の対象なので、認可保育園は子どもの年齢などによっては無償となりますし、認可外保育園も利用料の一部が免除されます。ただし、延長保育の利用料は無償化の対象外です。

 

幼児教育無償化の内容については、以下の表で確認しましょう。

(※1)地域型保育(小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育)も対象。企業主導型保育事業は標準的な利用料が対象
(※2)子どもが2人以上の世帯で第1子の場合。(第2子は半額、第3子は無償)
(※3)一時預かり保育、ベビーシッター、ファミリーサポートセンターなども含む
(※4)無償化の対象となるには、「保育の必要性の認定」を受ける必要があり、その際には就労などの要件を満たす必要がある

幼稚園、保育園それぞれの入園までのスケジュール

幼稚園、保育園それぞれの入園までのスケジュール

幼稚園、保育園は、それぞれ以下のような流れで入園が決まります。

 

幼稚園入園までの流れ

1.幼稚園の情報収集
・入園する約1年前の4月ごろから準備を開始

2.幼稚園の見学
・日程が決まっているのか個別対応なのか園に確認し、できれば5~6月ごろに見学

3.入園説明会への参加
・7月〜10月後半に入園説明会を行う幼稚園が多い

4.入園願書を受け取る
・願書は、幼稚園や自治体の窓口で受け取る、インターネットからダウンロードするなど、さまざま

5.願書提出、面接・抽選・選考
・願書の受け付けは、9〜11月上旬ごろ
・入園者の決め方は園による。面接や実技試験がある場合、多くは10〜12月に実施され、合格発表はその後半月以内が多い

6.入園決定
・入園の決定は、12月上旬までが多い
・1〜2月に入園前説明会や健康診断がある

 

認可保育園入園までの流れ

1.自治体の保育課への事前相談や情報収集
・入園する約1年前の4月ごろから準備を開始

2.保育園見学
・見学日程が決まっているのか個別対応なのか、園に確認を

3.入園に必要な書類を受け取る
・自治体の窓口で入園に必要な書類を受け取る

4.入園の申し込み手続きを実施
・一般的な申込期限は、10〜11月ごろ

5.内定通知が来たら、入園決定
・翌年1〜2月に結果が通知される
・内定しなかった場合は、ほかの認可保育園の二次募集に申し込むなどの対応が必要

 

保育園入園の際に重要な「点数」って?

認可保育園への入園は、家庭状況をポイント化した「点数(正式には指数)」によって選考が行われます。点数は、「基準指数」「調整指数」「優先順位」の3つの区分がありますが、指数の規定は自治体により多少違うので、地域の自治体の規定を確認しておきましょう。

・基準点数
就労や就学、就職活動など、子どもを預ける必要がある状況や健康状態など、保護者の基本情報をポイント化したものです。

・調整指数
家庭の状況により加点・減点をして、調整をする点数のことです。

・優先順位
同一指数の希望者が複数いる場合に、入園者を決めるための順位づけの定義です。公表している自治体と非公表の自治体があります。

保育園と幼稚園の違い、保育園入園までの詳しいスケジュールについては、関連記事「保活開始はいつから?」や「保育園は何歳から入れる?」もご覧ください。

認定こども園とは?特徴や区分認定について

認定こども園とは?特徴や区分認定について

2006年にスタートした認定こども園制度により、子どもを預ける施設として選択肢に加わったのが「認定こども園」です。

認定こども園とは、幼稚園と保育園の両方の特徴を持ち、教育と保育を一体的に行う施設です。対象となるのは0歳からの未就学児で、保護者が働いていなくても利用することができます。

 

 認定こども園4つの種類

認定こども園は地域の状況や保護者のニーズに応じて選択できるよう、以下の4 タイプに分かれています。

・幼保連携型
幼稚園と保育園、両方の機能をあわせ持つので、教育機関であり児童福祉施設でもあります。設置の主体は国、自治体、学校法人、社会福祉法人で、土曜日も含めて1日11時間開園することが原則です。

・幼稚園型
幼稚園に保育園の機能が追加された教育機関で、「幼稚園教育要領」に基づいた教育を行います。設置の主体は国、自治体、学校法人で、開園時間は地域の実情に応じて設定されます。

・保育所型
既存の認可保育園に幼稚園の機能がプラスされた児童福祉施設で、「保育所保育指針」に基づいた保育を行います。土曜日も含めて1日11時間の開園が原則です。

・地方裁量型
幼稚園や認可保育園がない地域で、認定こども園として必要な機能を持った教育、保育施設(認可外保育施設)です。各自治体の条例に基づき運営され、開園時間は地域の実情に応じて設定されます。

 令和4年4月1日現在の認定こども園の数は、以下の通りです。

内閣府「認定こども園に関する現況(速報値)令和4年10月4日」を加工して作成

 

認定こども園への入園に必要な認定区分(1号・2号・3号)とは?

2015年にスタートした子ども・子育て支援新制度のもとでは、認定こども園と認可保育園を利用するには、住んでいる自治体から認定を受ける必要があります。認定は、子どもの年齢や「保育を必要とする事由」(就労、妊娠・出産、保護者の病気や障害、親族の介護、求職活動、就学など)により、1号・2号・3号の3つの区分に分けられます。

 認定区分は、年齢や条件によって以下のようになります。

※保育を必要とする事由は、就労、疾病、障害、妊娠、出産などが該当します。

 

利用手続きの流れは以下のとおりです。

〈1号認定の場合〉

園に直接申込→園から入園内定→園を通じて認定申請→園を通じて認定証公布→園と契約

〈2号・3号認定の場合〉

市区町村に「保育の必要性」の認定申請→市区町村から認定証公布→申し込み→市区町村が利用調整→利用先の決定後、園と契約

 認定こども園については、関連記事もご覧ください。

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幼稚園と保育園どちらが良い?考え方のポイント

幼稚園と保育園どちらが良い?考え方のポイント

幼稚園、保育園、加えて認定こども園とそれぞれの違いを知ったうえで、子どもや家族にとってどれを選ぶのが良いか迷うパパ・ママも多いでしょう。決める際には、できれば複数の選択肢を比較して、最適な施設を選びたいものです。考え方のポイントとして、以下を参考にしてみてください。

 

・わが子とわが家にとってのメリット・デメリットを考える

まずは、保護者の状況と子育てのバランスを考えて、保育園か幼稚園(3歳から入園)どちらがいいのかを考えてみることが第一です。

・実際に見学に行ってみる

在園児の保護者の多くは、実際に見学をして決めているようです。費用などの条件面だけでなく、見学に行くと園の設備や先生・園児の雰囲気などがよくわかります。見学時は、子どもがその園に合っているか、楽しく過ごせそうかという観点で確認しましょう。

・実際に通っている人に話を聞いてみる

候補の園に子どもが通っている知り合いがいるなら、園の様子を聞いてみるのもよい方法です。事前に園から得られる情報のほか、在園児の保護者から見た園の雰囲気や実際に通わせている感想などを聞くと、園を決める際に非常に参考になります。インターネットで口コミを見る方法もありますが、できるだけ実際に子どもを通わせている人から生の声を聞くと良いでしょう。

・通い続けられるか(通園や料金面などの条件)

園を選ぶ際には、通いやすい場所なのか、また利用料以外にかかるお金も含めた費用も納得して通い続けられるか、なども大切です。たとえば幼稚園の場合、送迎バス代や教材費などの追加料金が必要になる場合があります。保育園の場合は、就労状況が変わると預けられる時間が変わることもあるでしょう。子どもが通っている間に、さまざまな状況が変化することもありえるので、その際に通い続けることができるのか、転園も選択肢に入れるなら、子どもは環境に変化に対応できそうか、など先々のことも考えておくことが大切です。

なお、2歳までは保育園、3歳から幼稚園かこども園へ移るという選択肢もあります。その園が合うか合わないかは子どもの成長と共に変化もしますし、保護者の就労状況も変わっていくこともあります。いずれにしても、保育園の場合は毎年更新時に書類の提出が必要です。

まとめ

まとめ

幼稚園・保育園は管轄や目的が違うのをはじめ、それぞれ異なる特徴があります。ただ、就学前の子どもが多くの時間を過ごすことになるのは、幼稚園や保育園も同じです。だからこそ、子どもたちにはのびのびと生活し、楽しい経験をたくさん積んでほしいものです。そのためには、子どもや家族それぞれにとってどのような施設が合っているのかをよく考え、ベストな園選びをしてほしいと思います。

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