【パパの育休経験談(後編)】育休中の収入減少にどう備える?我が家の家計改善方法を大公開!

育休中の「育児休業給付金(以下、育休手当)」は休業開始時の賃金よりも低くなります。そのため、夫婦で育休をとるとその分世帯収入は減ることに。1年にわたり男性育休を取得したコンサルタントの室田さんは、この収入減少にどう備えたのでしょうか?具体的な家計改善方法や、夫婦での話し合いのコツを聞きました。

室田 裕也(むろた・ゆうや)
LITALICOライフコンサルタント。2児の父で、第1子・第2子ともに男性育休を取得。自身の保活や育児の経験をもとにしたプレママ・パパのライフプランニングサポートが強み。タックス、リスクマネジメント、不動産、相続に関する幅広い専門知識を生かし、進路相談・家計診断のプロとして、年間500世帯以上の個別相談を行う。

育休中の収入減少。対策のコツは◍◍削減

――育休中は給与が減少すると聞きます。どの程度減るのでしょうか?

育休手当は、休業開始時の賃金日額の67%。育休を開始して180日経過後はさらに減り、50%となります。

収入は減る一方で、子どもができると、これまでかかっていなかった保育料やベビー用品等の費用もかかります。また今後の教育費に備えた積立も必要になりますよね。妊娠がわかった段階から資金計画に関する話し合いは、必ず必要だと思います。

※室田さんが講師を務める育休制度や育休手当に関する勉強会はこちら

――室田さん夫婦はどのように話し合いをしましたか?

妊娠が分かってから、まず夫婦で理想のライフプランについて話し合いました。どんな教育を受けさせてあげたいのか、どんな場所で暮らしたいのか、そして自分たちの理想の働き方や老後の暮らし方についてのすり合わせですね。そして、その上でライフプランを実現する資金計画について話し合いました。

 

――これからお子様にお金がかかる段階で、夫婦で育休を取得し、収入が減少することに不安はなかったのでしょうか?

あまりなかったですね。というのも、育休をとると決まってから今後必要な生活費や教育費、住宅費を全て計算したからです。同時に育休中に減少する給与額を計算すると、その差額から毎月どの程度赤字になるのかも分かりました。

あとはその赤字を埋めるための方法を考えればいいな、と。妊娠が分かってから育休に入るまでに1年弱あったので、その間はかなり計画的に貯蓄をしましたね。

――貯蓄のコツはありますか?

まずは、固定費の削減が重要だと思います。その一環として、保険の見直しを行いました。

親になると自分たちに万が一のことがあったり、働けなくなったときでもしっかり教育費や生活費を準備できるような保険が必要になります。とはいえ、必要以上に保障をもつ必要はないので、改めて見直しをして一部の保険を解約しました。子どもが生まれると必要な保障の種類や額は変わることが多いので、妊娠・出産の前後に保険の見直しをするのはおすすめです。

あとは、携帯を格安SIMに変えました。大手キャリアだと1か月あたり8,000円程度かかりますが、格安SIMに変えると平均3000円前後というデータもあります。月々で見ると少しの差に見えますが、長い目で見ると数百万円単位の差がでるんですよね。

保育料は地域によって違う!安い地域への引っ越しを決断

――そのほか育休中の収入減少に対してとった対策はありますか?

一番大きな対策だと、引っ越しでしょうか。もともとは賃貸に住んでいたのですが、育休中に実家をリフォームして同居をはじめました。

子どもができる前は妻の会社から家賃補助がでていたのですが、出産後は住宅購入補助に切り替わる制度だったんですね。住宅補助があるからこそそれまで住んでいた賃貸の家賃が払えていたので、補助がなくなるとつらいな、と。それで引っ越しを決断しました。

 

――なるほど。家賃は固定費のなかでも特に額が大きいですもんね。

そうですね。また、家賃だけでなく保育料の地域差も引っ越しのきっかけとなりました。実は保育料って自治体ごとに違うんですよ。私が以前住んでいた自治体は特に保育料が高い地域で。一方、引っ越し先の自治体は保育料がそもそも安いうえに、自治体独自の補助金もある地域だったんです。

引っ越しをすると、なんと保育料が1/4になることが分かって。これも引っ越しの決め手となりましたね。

保育園のタイプや保育料について説明する勉強会はこちら

――子どもが生まれてからの引っ越しやリフォームは大変ではなかったですか?

そうですね。たしかに見積をとって比較したり、家族でたくさんの話し合いをしたりする必要もあったのですが、その時間を捻出できたのは夫婦で長期間育休をとっていたからこそだと思います。夫婦で長期育休をとったことで、将来について考える時間がしっかり確保できたのはよかったなと思っています。

夫に育休とってもらいたい。伝え方はどうする?

――夫婦で話し合うことが大切というお話でしたが、個別相談では「夫に育休をとってもらいたいけど、なかなか話し合いが進まない」という声も聞きます。話し合いのコツはありますか?

「育休をとってほしい」といきなり説得しようとするのではなく、スモールステップを踏むことが大切なのかなと思っています。

というのも、男性はやはり体への変化がない分「子どもができた」という認識が育つのがゆっくりな方もいらっしゃると思うんです。実際、育休を2回とった私も妻と比べると自覚するスピード感が遅かったと感じます。

だから育休の話を始める前に、まずは「親になった」という実感を一緒に育てていくことが大切なのかな、と。

 

――親になる、という実感ですか?

はい。例えば妊婦検診に一緒にいくのもひとつです。そうすると、先生や看護師さんから直接話を聞いたり、資料をもらったりする。そのなかで「産後ってこんな生活になるんだな」というイメージが徐々にわいてくると思うんです。

産後のママは睡眠時間がたりず、体力的にも精神的にも大変な状況であること。パパがその時期にしっかりサポートしなければ夫婦仲が悪化する傾向にあること(産後クライシス)。そういった情報を聞いていると、パパも少しずつ「産後しっかりサポートをしたいな」という気持ちが芽生えてくると思うんです。そこが「育休」について話し合うスタートなのかな、と。

――産後のイメージを共通理解として少しずつもてると、自然と育休についての話し合いがしやすくなる、ということですね。

そうですね。イメージを育てるには、実際に育休をとった夫婦の話を聞いたり、育児セミナーに一緒に参加したりするのもおすすめです。産後のライフプランを専門家と一緒に考えながらイメージするのもいいかもしれません。

そうやって一緒に考えたり、情報収集をする時間をとることが、育休取得を夫婦で話し合うきっかけになるのではないでしょうか。

室田さんが講師を務めるセミナーも開催中!育休制度の概要やとり方のポイントなどを解説

LITALICOライフでは「夫婦で考える育休制度ー手当・期間・ライフプランー』を開催中です。

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