出産したら10万円! 出産・子育て応援交付金について解説

日本では近年、深刻な少子化が大きな問題になっています。2023年2月に厚生労働省が発表した人口動態統計の速報値では、2022年の出生数が80万人を下回り、過去最少となったことがわかりました。

国や自治体は、少子化がこのまま進行し続けることを阻止するために、さまざまな子育て支援策を打ち出しています。そのうちの一つが「出産・子育て応援交付金」です。まだまだ新しいこの制度の内容や申請方法などに加えて、以前から独自に出産応援事業を実施していた東京都の現況について、わかりやすく解説します。

編集・監修

関川 香織

2012年よりフリーランスのライター・編集。前職の主婦の友社では妊婦雑誌、育児雑誌、育児書、育児グッズ通販誌の編集に携わり、これまでに手がけた書籍・雑誌は500冊以上。現在は「LITALICO発達ナビ」などのWEB記事制作や編集にも携わる。公私ともに、約30年にわたって日本の育児・妊娠・出産の情報発信をしている。

出産・子育て応援交付金とは?

出産・子育て応援交付金とは?

出産・子育て応援交付金の概要

出産・子育て応援交付金とは、国の事業として「伴走型相談支援」と「経済的支援」を一体的に実施する制度です。核家族家庭が増え、地域住民同士のつながりも薄くなっている状況で、妊婦さんがいる家庭や子育て家庭が安心して、出産・子育てができる環境を整えることを目指しています。

「伴走型相談支援」では、0~2歳の子どもがいる家庭に寄り添い、妊娠期から出産後にかけて定期面談やアンケート、各種情報発信を行い、対象者が必要としている支援を行っていきます。このうち相談支援は、基本的には妊娠がわかったとき・妊娠後期・産後の3回の面談が予定されています。

「経済的支援」は、出産・育児関連用品などの購入費用や、子育て支援サービスの利用費用の負担を削減するため、「出産・子育て応援ギフト」として妊娠届出時と出生届時にそれぞれ5万円ずつ、合計10万円相当の給付が行われます。

この事業は地方自治体ごとに実施されるため、内容は自治体によって特徴があります。まずは、お住まいの地域の「出産・子育て応援交付金」の内容について、ぜひ調べてみましょう。

 

出産・子育て応援交付金の対象

この事業の対象となるのは、以下の条件に当てはまる家庭です。

①2022年4月以降に生まれた「0〜2歳」までの子どもがいる家庭

②2023年3月以降に出産予定の子どもを妊娠中の家庭

上記の給付対象となる世帯には、所得制限は設けられていません。そのためこの事業は、上記の条件に該当するすべての世帯が対象となっていることが特徴です。

出産・子育て応援交付金はどのような形で受け取ることができる?

出産・子育て応援交付金はどのような形で受け取ることができる?

出産・子育て応援交付金の実施については、各自治体それぞれの判断に任されていますが、下記のような方法があります。

①出産・育児関連商品の商品券(クーポン)
②妊婦健診交通費やベビー用品などの費用助成
③産後ケア・一時預かり・家事支援サービスなどの利用料助成・利用料減免

給付金の支給方法については、厚生労働省が実施前に行った調査(複数回答)によると現金給付(電子マネー、キャッシュレスを含む)を想定していると回答した自治体が大多数で、そのほかの方法としては育児関連用品などの商品券(専用サイト・アプリなどによる電子クーポン、または紙クーポン)などが挙げられました。これは、現金給付ならスピーディーな実施が可能との判断もあったようです。

ただし、スタートしたばかりの制度で整備が追いついていないことが多く、しばらくは現金給付として、給付システムが構築され次第、別の給付方法に切り替えるという自治体も出てくるかもしれません。

国も、出産・子育て応援交付金は子育て目的に限定した利用を期待して、貯蓄やほかの用途にも使える現金給付よりもクーポンなどによる給付を推奨しています。これから出産を控えている人は、時期によっては給付方法が変わることも考えられるので、自治体の公式サイトや窓口などで、最新の情報を確認しておきましょう。

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出産・子育て応援交付金を受け取るための申請手順は?

出産・子育て応援交付金を受け取るための申請手順は?

出産・子育て応援交付金を受け取るためには申請が必要ですが、申請方法は各自治体によって異なります。

たとえば大阪市の場合、「出産応援給付金」と「子育て応援給付金」をそれぞれ5万円ずつ現金で支給しますが、それを受け取るためには、妊娠届出時(母子健康保険手帳交付時)か、出産後3ヶ月ごろまでに保健師などが家庭訪問した際に「申請書・返信用封筒」を受け取り、オンライン申請または書面での申請が必要です。加えて保健師または助産師との面談を行い、アンケートに回答することが条件になっています。

また横浜市では、原則として電子申請により受付を行い、申請内容の審査終了後、審査結果が通知され、その後に指定口座への振り込みが行われます。

このように、自治体によって申請方法や面談・アンケートの実施が条件となるなど、細かい規定が異なります。妊娠届出時や出生届出時に、窓口で案内をする自治体が多いようなので、そのときにわからないことがあれば、遠慮せずに質問して確認しましょう。

東京都の出産応援事業とは?

東京都の出産応援事業とは?

東京都出産応援事業の概要

東京都では、2021年(令和3年)4月から独自に「東京都出産応援事業」、通称「赤ちゃんファースト」を行ってきました。これは、コロナ禍で経済的・心理的に厳しい状況にある子育て家庭を応援するための事業で、子ども1人につき10万円相当の育児用品・子育て支援サービスなどが提供されていました。

「赤ちゃんファースト」は、2023年(令和5年)年4月以降も内容を変更して継続され、東京都は独自に5万円分を支給します。そこで、東京都在住の支給対象者は、国の事業である「出産・子育て応援交付金」で妊娠時に支給される「出産応援ギフト」5万円分と、出産時に支給される「子育て応援ギフト」5万円分を合わせて、合計15万円相当が受け取れることになります。 

 

対象となるのは?

妊娠時

以下の3つの条件に当てはまり、申請時点で日本国内に住所がある人です。

①区市町村の事業開始日以降に妊娠届を提出した妊婦
②令和4年4月1日以降、区市町村の事業開始日より前に生まれた子どもの母
③令和4年4月1日以降、区市町村の事業開始日より前に妊娠届を提出した妊婦(②の該当者は除く)

 出産後

以下の2つの条件に当てはまる子どもを養育していて、申請時点で日本国内に住所がある人です。

①区市町村の事業開始日以降に生まれ、日本国内に住所がある子ども
②令和4年4月1日以降、区市町村の事業開始日より前に生まれ、日本国内に住所がある子ども
※区市町村の事業開始日については、お住まいの自治体のホームページで確認しましょう。

 

支援のパターン

東京都で行われる子育て支援は、おもに「赤ちゃんファースト」の専用ウェブサイトから提供されるほか、区市町村によっては現金振込や独自のクーポンなどによる支援を行うなど、いくつかのパターンがあります。お住まいの自治体ではどのように支援が行われているか、公式ホームページで必ず確認しておきましょう。経済的支援の例には、以下のようなパターンがあります。

※参考:東京都福祉保健局「東京都出産・子育て応援事業 ~赤ちゃんファーストを継続します~」

 

都の専用ウェブサイトを利用する場合の申込方法

1.出生時にお住まいの区市町村を通じて、対象家庭へ専用IDを記載したカードが配布される(申請不要)

2.カードに記載の二次元コードからセンヨウウェブサイトへアクセスし、アンケートを含む利用登録を行う

3.支給金額分のポイントが付与されるウェブサイトにて、希望の育児用品・子育て支援サービスなどを選択して申し込む 

 

申込期限

商品の申込期限:ログイン登録(ポイント付与)から6ヶ月
初回登録の最終期限:令和7年9月30日まで

 

もらえる商品の例

もらえるのは子育てに必要なグッズやサービスですが、非常に多岐にわたります。ここに示すのは一例です。

●家事・育児などのサービス:育児支援サービス、ベビーシッター、家事支援など

●ベビー服・雑貨:スタイ、肌着、ロンパース、アウター、靴下、ファッション雑貨など

●食品:離乳食、離乳食用野菜、粉ミルクなど

●ベビー消耗品:おしりふき、おむつなど

●生活支援用品:お掃除ロボット、クリーナー、加湿器、除湿器、空気清浄機、布団乾燥機、キッチン雑貨、食器乾燥機、離乳食家電、キッチン家電、デジタルカメラ、デジタルビデオ、ビデオモニター、生活雑貨、スチーマーなど

●おもちゃ:知育玩具、乗用玩具、ブロック、絵本など

●ベビー用品:ベビーカー、チャイルドシート、抱っこひも、バウンサー、ベビーチェア、ベビーベッド、寝具、ガード、哺乳瓶、搾乳機、調乳、鼻吸い器、ベビー食器、バスチェア、ファッション雑貨など

●多胎児用品:多胎児用ベビーカー、抱っこひも、スタイ、肌着、玩具、ベビー食器、ファッション雑貨など

●衛生用品:マスク、アルコールなど

●金券:こども商品券など 

なお、2023年(令和5年)3月31日までに出産した人については、以下の東京都保健福祉局の公式ホームページに申請方法などが記載されています。

この支援は、慣れない育児で困ったときの頼りどころとなるため、育児グッズや商品券だけでなく、ベビーシッターや家事支援サービスを受けるためにも使えるという点がポイントです。どこで使えるのかなどの不明点は、お住まいの自治体に問い合わせましょう。

まとめ

まとめ

妊娠中から出産後は、地域のつながりがないと、困ったときにどこに相談していいかわからないことがあります。そのようなとき、申請すれば相談することができ、世帯収入にかかわらず10万円を受け取ることができる「出産・子育て応援交付金」の制度が味方となります。

ただ、これはまだ新しい制度であるため、時期や自治体によって申請方法が変わったり、受け取れる方法が現金からクーポンになったりと、変更があるかもしれません。わからないことはお住まいの自治体窓口に確認しながら、ぜひ有効活用してみましょう。

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参考

厚生労働省「人口動態統計速令和4年(2022)12月分)を公表します

厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」P4

厚生労働省「妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)」

厚生労働省「出産・子育て応援交付金の実施・運用の方法

こども家庭庁(厚生労働省)「妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)

厚生労働省「出産・子育て応援交付金の概要について」

東京都福祉保健局「東京都出産・子育て応援事業 ~赤ちゃんファーストを継続します~

渋谷区ポータル「東京都出産応援事業「赤ちゃんファースト」

渋谷区ポータル「出産・子育て応援事業(国の出産・子育て応援給付金)」

厚生労働省「出産・子育て応援給付金 自治体職員向けQ&A(第4版)8-5参照」

大阪市「出産・子育て応援交付金事業

横浜市「出産・子育て応援事業(国の出産・子育て応援給付金)

東京都福祉保健局「東京都出産応援事業 ~コロナに負けない!~

中央区「東京都出産・子育て応援事業(令和5年度以降に出産した方向け)

江戸川区「出産・子育て応援給付金事業(国事業)」

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