2023.02.20
子どもが生まれると気になるのが子育てとキャリアの両立。様々な働き方の選択肢のなかで迷う方も少なくありません。「時短、フルタイム、そして転職とその都度働き方を変えてきました」そう話すコンサルタントの小川さんに自身の子育てとキャリアについて聞きました。
回答者
小川 みき
LITALICOライフのコンサルタントであり、二児の母。自身も仕事と子育ての両立を模索してきた経験から、妊娠・子育て世代への支援の必要性を実感。人材教育業界で培った心理学の考え方を基に、ご家族らしさのある将来設計をサポートする。
――まずは小川さんの家族構成や、これまでの働き方について簡単に伺ってもいいでしょうか?
4歳と6歳の子どもがいます。私の場合、上の子と下の子で復職の仕方が少し異なるんですよね。
上の子の時はフルタイムで復帰し、幼稚園に入園。その2年後に下の子が生まれたのですが、その際は時短で復職し保育園を選びました。
そして、第二子の復職の約1年後に、現在の会社に転職をしました。
――時短、フルタイム、転職と様々な選択をしてきたんですね。第一子復職時にフルタイムを選んだのはなぜだったのでしょうか。
当時、前職では時短制度を利用している同僚が周りにいなかったので、時短で働くイメージが湧かなくて。
ちょうど私の母が仕事を辞めたタイミングで「子育てを手伝うよ」と言ってくれていたこともあり、フルタイムを選択しました。
――下のお子さんのときに時短を選択されたのは?
下の子の時の復職前に健康診断に行ったら、そのタイミングでがんがみつかったんです。
治療を行うことになったので、育休終了後から約1年ほど休職することになりました。
体の負担や2児の子育てとの両立を考えると、フルタイムはなかなか難しそうだな、と。
また、子どもが小学校にあがると一緒に過ごす時間が減りますし、なるべく一緒に過ごしたいという気持ちもあって。
それで第二子の復職時は時短を選択したんです。
――時短を選択してみて、どうでしたか?
時短のほうが私たちの家族にあってると感じました。
「こういう暮らしをしたい」「子どもとこんな風に過ごしたい」という希望をうまく生活に取り入れられるようになり、
育児と仕事のバランスが取れたことによってストレスも少なくなりました。
子どもが小さい時って、例えばお宮参りやお食い初め、初節句など行事がたくさんあるんですよね。
夫の両親にとって上の子が初孫だったこともあって、行事に参加したり、
成長を見守ったりすることをとても楽しみにしてくれていたこともあって。
家庭によって価値観は異なると思いますが、私たち夫婦としては両親の希望に応えたいという思いもあったんです。
そういう意味でも時短にすることで家族の価値観にあった子育てがしやすくなった感覚がありました。
――時短にすると収入減少への不安を感じる方も少なくありません。そういった不安はありましたか?
もちろんありました。「たぶん大丈夫だろう」という曖昧な感覚では選びづらかったので、
選択する前に時短にした場合でも収支バランスが成り立つのかを夫婦で徹底的に考え、話し合いました。
計算してみると、その後の教育費等を考慮しても、下の子が小学校に上がるまでは私が時短にしても大丈夫だということが分かって。
収支バランスを長期的な視点から数値で可視化したこと、そして「時短を選ぶとしても小学校入学まで」と
はっきり期間を決めたことで、選択しやすくなったのだと思います。
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――たしかに具体的に可視化すると安心できそうですね。あとは、時短にした場合にキャリアへの影響が不安という方もいらっしゃいます。
LITALICOライフの個別相談でも多いご相談ですよね。
私の場合も、前職では当時時短の社員が就ける役職に制限がありました。
そのため、時短を続ける場合は今以上のキャリアアップは難しそうだな、と。仕事の内容はとてもやりがいを感じていたものの、
仕事の目標が少し定まりづらい感覚はありましたね。
――そうだったんですね。そうすると時短を選択する際に迷いもあったのでしょうか。
それでも迷いはあまりありませんでした。夫婦の方針と経済面における可視化をしたうえで、
時短のほうが自分たちの価値観やライフスタイルにあっているという感覚が強かったので。
小学校にあがるまでに子どもとの時間をたくさんとることの方が夫婦としての優先度が高かったんですよね。
でも、正直なところ子どもが小学校にあがってからのことを長期的に考えると、
子育てしながらでもキャリアアップがもう少し考えやすい環境で働けたらいいなとも感じていました。
――そういった希望もあって転職を検討しはじめたのでしょうか。
それも理由のひとつではありました。でも、それ以上に仕事と子育てを両立していくうえで、
可能であればもう少し多様な働き方を選べる環境を検討してみたい、
どんな会社があるのか知りたかったというのが転職の大きなきっかけです。
というのも、当時前職は始業時間が10時、終業時間は18時30分というように勤務時間が固定で決まっていたんです。
始業時間を早めることも制度上難しくて。あとは、在宅勤務が選べない職種でもあったので、毎日通勤が必須だったんですね。
下の子が2歳になったタイミングで、今の自分の価値観やライフプランから考えるともう少し柔軟な働き方ができる環境も
検討したいなと思って。まずは転職サイトに登録し、いくつかの会社の説明会に行ってみました。
――人生のフェーズに応じてあう仕事環境は違いますもんね。個別相談では「子育てとの両立のために転職を検討したい!でも、自分にはなかなか強みといえるものがなくて勇気がでない」という声も聞きます。小川さんにはそういった不安はありましたか?
すごくありました!私の場合、もっている資格は大学のときにとった教職免許、
社会人になって必要に応じて取得したビジネス資格だったので、
具体的にそれらを今後のキャリアにおいてどう活かしたらよいか分からなくて。
これまでのキャリアとしても専門職というよりは幅広くいろんな業務をやってきたタイプだったんですね。
経理、人事、法務、総務などのバックオフィス系、秘書、カスタマーサポート、営業など一通り様々な職種を経験したものの
「私にはこの専門性がある」と言える分野がないように思えて。
転職するにしても何を武器にしたらいいのだろうと漠然とした不安がありました。
――それでも転職活動に踏み切れたのは?
今すぐでなくてもこれから先、どんな働き方をしたいのか、どんな暮らしがしたいのかを考えて整理したら、
そこに向けて少しアクションしてみようと思って。転職サイトに登録するだけなら何のリスクもないな、と。
そうしたら「あなたにあう求人はこれですよ」と出てきたり、エージェントの方からレコメンドがあったり、
経歴を見て複数の会社からスカウトの連絡がきたりしたんです。
――おお!それは嬉しいですね。
嬉しかったですね。あとは、個別にエージェントの方と話すなかで「小川さんは『強みがない』とおっしゃいますが、
これだけたくさんの職種を経験されているのは強みですよ。
どの部署でもどの会社でもやっていけるというのは武器になります」とも言っていただいて。
第三者の客観的な目線で自分のこれまでの経歴を見直したり、アピール方法を教えてもらえたりしたことが安心と自信につながりました。
本格的に転職活動を始めるかどうかは別として、キャリアに悩んでいる方は一度転職サイトに登録するなど
アクションを起こしてみると少し視野が広がるのでおすすめです。
――お子さんがまだ小さい時期での転職でしたが、そういった面で大変だったことはありましたか?
そこまでありませんでした。というのも、私の場合は保育園が決まって復職してから転職活動をはじめたので
「保育園に入れるかな」「育児との両立できるかな」という不安はなかったことが大きいです。
転職の期限を短期的に捉えていなかったのも理由かもしれません。
「上の子が小学校にあがるまでに転職できればいいな」くらいに考えていたのでゆっくり考えて行動できたように思います。
また「お子さんが小さい方も働いている」「子育てに関するサポート制度や理解がある」という部分も
会社を選ぶ際のポイントにしていたので、逆に子育てと両立しづらそうな会社は選択肢に入ってこなかったというか。
子育て世帯に理解を得にくい会社だと結局入ってから大変なこともあると思うので、
理解のある会社を「こちらから選ぶ」くらいの感覚がよかったのかもしれないですね。
■後編では、小川さんが2人目のお子さんを考えたタイミングや、仕事と2児の子育てを両立していくうえで夫婦で工夫したことなどを聞きました。【5月上旬】に公開予定です!
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