育休手当(育児休業給付金)はいつ入る?支給日を早めるための方法とは

働くママ・パパが育休を取得した場合、育休手当(育児休業給付金)を受給することができます。育休期間中はほとんどの場合、給料は無給または減給になるため、育休手当は産後のママ・パパの生活を支える大切な収入源となり得ます。

そのため、育休取得を考えている人の多くは、育休手当がいつ支給されるのか気がかりではないでしょうか。育休手当を受け取った人の中からは、「思っていたより支給日が遅くて、困ってしまった」という声も聞こえてきます。そこで今回は、育休手当の仕組みや支給日の目安、早めに受け取るためにできる工夫などを解説します。

編集・監修

関川 香織

2012年よりフリーランスのライター・編集。前職の主婦の友社では妊婦雑誌、育児雑誌、育児書、育児グッズ通販誌の編集に携わり、これまでに手がけた書籍・雑誌は500冊以上。現在は「LITALICO発達ナビ」などのWEB記事制作や編集にも携わる。公私ともに、約30年にわたって日本の育児・妊娠・出産の情報発信をしている。

育休手当とは?

育休手当とは?

育休手当とは

育休手当とは、正式には「育児休業給付金」といいます。雇用保険の被保険者(加入者本人)が、育休を取得した際に受け取れる手当です。

育休中は、会社の就業規則などで特別な規定がない限り、無給もしくは減給となることがほとんどです。そこで、育休中の生活基盤の安定と育休の積極的な取得を支援するために、国が設けているのが育休手当です。

 

育休手当の対象

育休手当を受け取れるのは、性別に関係なく、1歳未満の子どもを育てるため育休を取得する雇用保険の加入者本人です。自営業やフリーランスの場合は雇用保険ではないため、対象外です。

 

育休手当を受け取る条件

育休手当の受給には、育休の取得に加えて下記のような条件があります。

①育休開始日前2年間に、11日以上働いた月数が12ヶ月以上ある

②育休中1ヶ月ごとに、育休開始前の1ヶ月分の給与の80%以上が支払われていない

③育休中の就業日数が、1ヶ月ごとに10日(10日を超える場合は80時間)以下である

④有期雇用契約の場合は、子どもが1歳6ヶ月に達する日までに労働契約が満了することが明らかではない

育休手当は職場復帰が前提のため、育休終了後に退職する場合は対象外となります。育休途中に退職をした場合は、退職までの受給分の返却は不要ですが、退職後は受け取れません。なお、育休手当は非課税ということも知っておきましょう。

育休手当がもらえる期間

育休手当がもらえる期間

育休手当の対象期間は基本的に「育休の取得中」で、子どもが1歳になる日の前日まで支給されます。ただし、民法の規定では満年齢に達するのは誕生日の前日とされているため、実際の支給期間は1歳の誕生日の前々日までです。

 

育休の取得日数を対象に支給

支給は育休の取得日数が対象のため、自己都合で育休の期間を短縮した場合は、育休手当の支給期間も短縮されます。一方で、子どもが1歳6ヶ月(最長で2歳)まで育休が延長されると共に、育休手当の支給期間も延長される場合があります。

 

育児休業が延長になるケース

・認可保育園に申込みをしたが、待機児童などの問題で子どもが1歳になっても入園できないとき

・養育を行う予定であった配偶者が死亡したとき

・養育を行う予定であった配偶者が負傷、疾病、身体上・精神上の障害などで子どもの養育が困難になったとき

・離婚などによって、配偶者が子どもと別居になったとき

・育休中の新たな妊娠・出産により、6週間(双子など多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定または、産後8週間以内(産前産後休暇)であるとき

※上記の延長条件は、いずれも育休の取得者本人が子どもを養育しなければいけないために、仕事ができない状況を前提としています。

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育休手当支給までの手続き

育休手当支給までの手続き

育休手当の申請は、育休開始日から4ヶ月経過後の月末までが期限です。これを過ぎると育休手当の支給が認められなくなるので、必ず事前に確認して期間内に申請を行います。 

 

育休手当の申請時に、申請者が用意する書類 

・母子健康手帳など、育児をしている事実が確認できる書類

・マイナンバーカード、もしくはマイナンバーカードの通知書と本人確認書類(運転免許証など)の写し

・給付金を受け取る口座の通帳の写し

・そのほか、賃金の支払いに関する書類は事業主が準備します。  

 

育休手当の申請の流れ

①申請者(雇用保険加入者本人)が会社の管轄部署(総務、人事部など)に育休を取得する旨を伝える

②申請者が必要な書類に記入し、申請者が用意する書類を添付して会社に提出する

③申請が認められると、会社宛に支給決定通知書および次回支給申請書が届き、給付が開始される

④支給決定通知書の到着から約1週間で、指定した口座に振り込まれる

⑤育休手当の支給申請は、原則として2ヶ月ごとに行う必要がある。2回目以降は支給決定通知書と共に交付された、次回支給申請書に必要書類を添えて申請する

申請手続きは、原則として会社がハローワークに対して行います。ただ、申請者自身がハローワークに直接申し込む場合もあるので、申請手続きについては事前に会社の規定を確認しておくことが大切です。

育休手当はいつ受け取れる?

育休手当はいつ受け取れる?

育休手当は原則2ヶ月に1度ずつ、支給決定日から1週間程度で指定の口座に入金されます。支給対象期間は「育休が開始してから」なので、初回の支給は一般には「育休開始から3ヶ月後」、女性の場合は産休終了後に育休がスタートするため、「出産から4~5ヶ月後」になることが多いでしょう。

 

 育休手当初回の支給日目安

出産した女性は、出産翌日から8週間は産休期間のため、育休手当の対象外です。対象となるのは出産2ヶ月後以降で、初回は2ヶ月分がまとめて給付となることから、初回支給日は「出産から4〜5ヶ月後」が目安です。

初回2ヶ月分の申請期限は、育休の開始日から4ヶ月を経過する日の月末までです。申請のタイミングについては、会社の担当者に確認しておきましょう。

 

 育休手当2回目以降の支給日目安

育休手当は、1回の申請で育休中ずっと支給されるわけではありません。最初の申請では、育休開始から2ヶ月分の休業状況を対象に審査を行ったのちに、1回目の振込が行われます。2回目以降については、2ヶ月単位で支給申請→休業状況の審査→振込という流れで支給されます。

支給の申請後、休業状況の調査には約2週間かかり、「育児休業給付金決定通知書」が届いてから指定口座に入金されるのは、約1週間後です。支給申請から振込までは約1ヶ月が目安ですが、会社が申請を行うタイミングによっては、変動する可能性があることも頭に入れておきましょう。

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育休手当をスムーズに受け取るための工夫は?

育休手当をスムーズに受け取るための工夫は?

育休手当は、申請後すぐに支給されるわけではありません。育休中に経済的な不安なく過ごすには、育休手当を早めに受け取りたいものです。そのためにできる工夫が、いくつかあります。

 

申請に必要な書類提出や出産報告は遅れないように

まずは、育休手当の申請に必要な書類を、早めに会社に提出することが大切です。それにより、会社も必要な書類の準備がしやすくなります。

また、子どもの誕生と出産日は速やかに会社に伝えましょう。申請者がママの場合、出産日から起算して育休開始日と育休手当の申請期限が決まるからです。加えて、2回目以降の支給申請についても会社に確認しておきましょう。先輩ママ・パパの中には、「支給がないため確認すると、2回目以降の申請が必要だと知った」という人もいるようです。育休手当を活用するには、まず制度を正しく理解しておくことが大切です。

 

勤務先の担当者にこまめに連絡する

育休手当の支給を早めるためには、会社の担当者との連絡を密にすることも重要なポイントです。ハローワークの申請受付期間は、「支給対象期間の初日から起算して4ヶ月を経過する日の属する月の末日まで」となっています。つまり、育休開始が10月1日の場合には、翌年2月末日まで申請が可能です。

 申請から口座への振込が行われるには約1ヶ月かかるため、10・11月の2ヶ月分の育休手当の申請を翌年2月末に行うと、振込は翌年3月になるかもしれません。一方で、10・11月の休業状況の証明が可能になる12月に申請すると、翌年1月に振込となる場合もあります。このように、申請日によって受給には差が出ることを知っておきましょう。

 また、社内に育休取得者が複数いると、まとめて申請する会社もあるようです。その場合は、早めに書類を提出していても、支給日が想定より遅くなる可能性もあります。支給を急ぐときは、担当者にこまめに連絡を取り、早めに対応してもらうよう交渉するのも一つの方法です。

 

育休手当を1ヶ月ごとに受け取れるように申請できる

育休手当の申請は原則2ヶ月に1回ですが、希望すれば1ヶ月ごとにできます。その場合、1ヶ月分の支給金額を毎月受け取れるメリットがあります。ただし1ヶ月単位での申請は、勤務先の担当者にとって手間がかかることでもあるので、希望する場合にはあらかじめ担当者と相談しておく必要があります。

 

事情によっては育休手当の申請を自分で行うこともできる

育休手当の申請手続きは、会社が行うのが原則ですが、申請者がハローワークに直接申請することもできます。勤務先がなかなか手続きをしてくれない、または家族経営で人事総務の手続きはもともと自分でしていた、といった場合には、自分で申請することで結果的に早く給付金を受け取れるかもしれません。

 ただし申請の際は、賃金台帳や出勤簿(タイムカード)など、賃金の額や賃金の支払い状況を証明できる書類の提出が必要となるため、会社の協力が不可欠です。また、産後間もなく複雑な手続きを行うのは難しい場合もあるので、会社の協力が得られるのであれば、申請手続きはやはり会社にまかせたほうが良いでしょう。

まとめ

まとめ

育休中は、育休手当として通常の給与の約50〜70%が支給されるため、育休によって無給または減給となるママ・パパにとっては、生活の経済的なサポートになります。ただし、育休手当はすぐに受け取れるものではなく、最初に受け取れるのは、出産の4〜5ヶ月後であることを覚えておきましょう。

また、2回目以降も毎回申請が必要で、給付は申請から1ヶ月後が目安となります。育休手当の制度を理解したうえで、勤務先とも協力しながら、計画的に受け取れるよう準備しておきましょう。

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