育児休業給付金(育休手当)の受給条件や申請&計算方法を解説!

子どもを妊娠し、出産する際に取得できる産休や育休(育児休業)。最近では、パパが育休を取得する家庭も増えてきています。一方で、産休・育休の期間中は仕事をお休みすることになるため、収入が減ってしまうのが心配、という人もいるでしょう。そんなママ・パパにとって、積極的に育休が取得できるようにと設けられた制度が「育児休業給付金」いわゆる「育休手当」です。

育児休業給付金があることはよく知られていても、受給のための条件や申請の手順、計算方法がよくわからない、という場合もあるでしょう。そこで今回は、育児休業給付金を受けるために知っておきたいポイントを解説します。

そもそも育児休業給付金とは?

そもそも育児休業給付金とは?

育児休業期間をサポートする育児休業給付金

育児休業給付金とは、育休中の人に国からお金が給付される制度です。

ママだけが取得できる産休と違い、育休はママだけでなくパパも取得できます。ただ、育休中の賃金の支払いについては事業主の裁量にまかせられているため、会社の就業規則などで特別な規定がない限り、育休中は基本的に無給または減給になってしまう人がほとんどです。

そこで、ママやパパが生活の基盤を安定させて積極的に育休を取得できるよう、支援する目的で育児休業給付金の制度が設けられました。

 

育児休業給付金を受給している間の税金や社会保険料の扱いについて

育児休業給付金は非課税扱いとなるので、所得税や復興特別所得税、住民税の支払い義務はありません。また、育休中に勤務先から賃金が支払われていない場合は、雇用保険料の支払いが不要になり、申請をすれば健康保険や年金保険料も免除となります。

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育児休業給付金は、いつから受け取れる?

育児休業給付金は、いつから受け取れる?

育児休業給付金が受け取れるのは、基本的に育休を取得している期間です。ただし、2022年度の育児・介護休業法の改正によって、図のようにママとパパそれぞれの育休が取れる期間と育児休業給付金の対象期間は違ってきました。

ママの場合、育休の取得は出産後8週間の産後休業後のため、育児休業給付金も産後8週間を過ぎてから給付されます。


一方、パパは出産日から育休が取れるので、子どもの生まれた日から育児休業給付金を受け取ることができます。自分がいつ・どの期間に受け取れるのかを、事前にしっかり確認しておきましょう。

 

ママの場合の育休期間と給付金対象期間

ママの場合の育休期間と給付金対象期間

 

パパの場合の育休期間と給付金対象期間

パパの場合の育休期間と給付金対象期間

 

なお、育児休業給付金は、原則として子どもが1歳の誕生日を迎える前日までが支給対象期間です。
ただし、何らかの理由があって仕事に復帰できないなど、いくつかの条件を満たしている場合には、最長で子どもが2歳になるまで育児休業給付金の支給期間を延長することができます。
また、「パパ・ママ育休プラス」という制度を利用した場合には、パパは子どもが1歳2ヶ月まで育児休業給付金を受け取ることができます。

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2022年の育児・介護休業法改正のポイント

2022年4月から10月にかけて、育児・介護休業法はママ・パパがともに仕事と育児の両立がしやすくなるように、改正されました。そのおもなポイントは以下の3点です。

 

①産後パパ育休(出生児育児休業)の創設

・通常の育休とは別の制度で、子どもが生まれてから8週間の間に4週間まで取得することができます。

・休業を開始する2週間前までの申請が必要ですが、事前申請をしていれば2回まで分割して取得することも可能です。

・産後パパ育休の期間中には、「出生時育児休業給付金」が受け取れます。

 

②育休の分割取得

・2022年10月から、子どもが1歳になるまでの育休を2回に分割して取得することが可能になりました。

・育休を短期間に分割して取得したり、夫婦間で育休の取得時期をずらすなど、今までより柔軟な対応が可能になりました。

 

③1歳以降、育休を延長した場合の再取得

・1歳以降、保育園に入れないなどの理由で育休を延長する場合、これまでは育休の開始は1歳もしくは1歳6ヶ月の時点に限定されていました。それが、2022年10月以降は、育休の開始時点を自由に設定することができるようになりました。

・1歳以降に育休を延長する場合、以前は育休の再取得はできませんでしたが、法改正により特別な事情がある場合は、再取得できるようになりました。

・夫婦交代で育休を取得する場合(延長交代)では、1歳〜1歳6ヶ月と、1歳6ヶ月〜2歳の各期間において、夫婦それぞれ1回に限り育児休業給付金が受け取れます。

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育児休業給付金の支給条件は?

育児休業給付金の支給条件は?

育児休業給付金は、働くママ・パパなら誰でも受け取れるように思うかもしれませんが、大事なポイントがあります。それは、給付を受けるには『条件』があるということです。

育児休業給付金は、雇用保険の加入者で「1歳未満の子どもを育てるために育休を取得している人」が第一条件です。加えて、以下の4つの条件を満たした場合に受け取ることができます。 

 

支給の条件

①育休を取得する前の2年間のうち、11日以上働いた月が12ヶ月以上ある

②育休の期間中に、勤務先から賃金の8割以上を支給されていない

③育休の期間中に働く場合は、月に10日もしくは80時間以下である

④派遣社員など雇用期間が決まっている契約の場合、育休を取得した後も同じ会社で働き続ける見込みがある

これらの条件を満たしていれば、ママ・パパともに育児休業給付金をもらうことができます。まずは、職場の担当者に確認してみましょう。なお、育児休業給付金を受け取ることができないのは、次のような人です。

・雇用保険に加入していない人

・自営業の人(フリーランスを含む)

・専業主婦(夫)の人

・雇用保険に加入していても、妊娠中に退職する人

・育児休業開始時点で離職する予定の人

 

育児休業給付金の支給額計算方法

育児休業給付金は、2ヶ月ごとに決められた金額が支給されます。

支給額は給与の状況によって違ってくるほか、支給額の上限・下限も定められています。育児休業給付金はいくらもらえるのか、基本の計算方法と具体例を見てみましょう。

 

育児休業給付金の支給額計算方法 

育児休業給付金でもらえる給付金額は、以下の計算方法によって決まります。

育児休業給付金の計算方法

・育休開始から180日以内→休業開始時の賃金日額×支給日数×67%

・育休開始から181日以降→休業開始時の賃金日額×支給日数×50% 

※休業開始時の賃金日額=育休を開始する前6ヶ月間の賃金÷180日

※ここで言う賃金とは、残業手当・通勤手当・住宅手当などを含む給与額面のことで、手取り額ではありません。

 

育児休業給付金の計算具体例

育児休業給付金が1ヶ月にどれくらい支給されるのか、例をもとに計算してみましょう。

育児休業給付金の支給例①1ヶ月200,000円の賃金を得ている場合

休業開始時の賃金日額=1,200,000円(200,000円×6ヶ月)÷180日=6,667円(1の位を四捨五入)

・育休開始から180日以内の1ヶ月あたりの支給額=6,667円×30日×67%=134,000円(10円未満切り捨て)

・育休開始から181日以降の1ヶ月あたりの支給額=6,667円×30日×50%=100,000円(10円未満切り捨て)

・1年間育休を取得した場合の支給額総額=134,000円×6ヶ月+100,000円×6ヶ月=1,404,000円

 

育児休業給付金の支給例②1ヶ月300,000円の賃金を得ている場合

・休業開始時賃金日額=1,800,000円(300,000円×6ヶ月)÷180日=10,000円

・育休開始から180日以内の1ヶ月あたりの支給額=10,000円×30日×67%=201,000円

・育休開始から181日以降の1ヶ月あたりの支給額=10,000円×30日×50%=150,000円

・1年間育休を取得した場合の支給額総額=201,000円×6ヶ月+150,000円×6ヶ月=2,106,000円

※金額はあくまでも目安です。実際の給与額で計算してみましょう。

  

育児休業給付金支給額の上限と下限について

育児休業給付金の支給額と、その計算のもとになる賃金の額には限度額があり、毎年8月1日に見直されます。2023年7月31日までの上限・下限金額は以下の通りです。

【賃金額】

・上限額:月額455,700円/日額15,190円

・下限額:月額 79,710円/日額 2,657円 

【支給限度額】

・上限額:305,319円(67%の時)/227,850円(50%の時)

・下限額: 53,405円(67%の時)/39,855円(50%の時)

 支給限度額を超えている場合は、一律に上限額までしか受け取れません。逆に下限額に満たない場合は、一律に下限額まで引き上げられて支給されます。

育児休業給付金を受け取るために必要な書類・申請の流れは?

育児休業給付金を受け取るために必要な書類・申請の流れは?

育児休業給付金は、育休中のママやパパにとってとても助かる制度ですが、申請してすぐに支給されるわけではありません。支給は、基本的に2ヶ月分がまとめて行われます。ママの場合、育休は産休の8週間が明けてからスタートするので、初回給付金の入金は出産日からおよそ4ヶ月後となるでしょう。 

育児休業給付金の申請期限は、育休開始日から4ヶ月経過後の月末までとなっています。期限を過ぎると交付が認められないため、必ず事前に確認して、期間中に忘れず申請を行いましょう。育休を取得希望であることを会社に申請する際、育児休業給付金についてもあわせて申請するのが一般的です。

 

育児休業給付金の申請時に、申請者が用意する書類

①母子手帳など育児を行っている事実を確認できる書類

②マイナンバーカード、もしくはマイナンバーカードの通知書と本人確認書類(運転免許証など)の写し

③給付金受け取り用口座の通帳の写し

その他、賃金の支払いに関する書類は、事業主が準備します。

 

育児休業給付金を申請する際の流れ

①申請者が会社の管轄部署(総務、人事部など)に育休の取得を希望すると伝える

②申請者が必要な書類に記入を行い、上記の書類を添付して会社に提出する

③支給決定通知書および次回支給申請書が自宅に届き、育児休業給付金の給付が開始される

⑥育児休業給付金を受け取る期間中、2ヶ月ごとに支給申請書の提出を行う

申請手続きは、原則として雇用主である会社がハローワークに対して行いますが、申請者自身がハローワークに直接申し込む場合もあります。申請手続きについては、会社の規定を事前に確認しておきましょう。

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育児休業給付金のまとめ

育児休業給付金のまとめ

子どもの誕生は、家族にとってとてもうれしい出来事ですし、産休や育休の間は子どもとじっくり向き合える大切な時間です。その期間に、ママやパパが少しでも経済的に安心して育休を取得できるようにと設けられているのが、育児休業給付金の制度です。

2022年度は、育児・介護休業法が改正されて新しい制度も始まりましたが、まずは、基本的な制度についての情報収集と会社の規定の確認をして、いつだれがどの時期に育休をとるのが得なのかを検討したいもの。そのうえで育児休業給付金を忘れずに申請し、しっかり活用しましょう。

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