2023.01.26
「1歳半健診」とは、1歳半から2歳までの子どもを対象にしています。
1年半より前の乳幼児健診では、身長・体重や栄養面など、主に健康状態を見てきました。
一方、1歳半健診では、身体の状態に加え「精神発達」も同時に確認します。
お住まいの保健センターなどで受けることができますが、「どうやって受けられるの?」「事前に準備する物はあるの?」など、気になる点が多いのではないでしょうか。
この記事では、1歳半健診の内容を詳しく解説することに加え、健診を受ける方法や準備する物についても説明します。
1歳半健診とは、1歳半から2歳になる前の子どもを対象にした、乳幼児健診の一つです。
母子保健法によって「1歳半健診」と「3歳児健診」は、市区町村で実施が義務付けられており、ほとんどの自治体が無料で行っています。
法律で定められている乳幼児健診のほかに、自治体によっては「1ヶ月・3〜4ヶ月・9〜10ヶ月」など、月齢や年齢に合わせてさまざまな健診を実施しています。
一般的に1歳半になると、乳児から幼児へと身体的安定が進む時期であるため、手先を器用に動かしたり上手に歩けるようになったりします。
また、精神面では「話す・聞く・理解する」などの発達場面が見られ、感情を表現することも多くなります。
このように身体機能だけでなく、精神的発達についても確認できるのが1歳半健診の特徴です。
1歳半健診で確認する項目は、下記のようになります。
・身体発育状況
・栄養状態
・脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
・皮膚の疾病の有無
・歯及び口腔の疾病及び異常の有無
・四肢運動障害の有無
・精神発達の状況
・言語障害の有無
・予防接種の実施状況
・育児上問題となる事項
・その他の疾病及び異常の有無
歩行や話すことを通じて、病気や発達遅滞の発見、歯科指導など幅広く確認します。
精神的発達においては、知的発達と社会性・行動の発達の視点を持って健診を行います。
さらに1歳半健診では、一般の「検診」のように特定の病気を見つけるだけではなく、社会面も考慮した総合的な観点から、身体の状態をまんべんなく診るというのが基本的なスタンスです。
このスタンスによって、育てにくさによる悩みや保護者が孤立しているケースも発見でき、必要に応じて専門家による支援につなげることができます。
1歳半健診では、身体測定や医師による診察を行うことで、子どもの成長や発達状況を確認します。
また、1歳半健診は、子育てに関する出会いの場でもあります。
自治体によって違いはありますが、医師、歯科医師、保健師、栄養士、臨床心理士などが関わっているため、子育ての悩みや子どもの成長過程について相談できます。
主な健診内容は下記の通りです。
・問診
・歯科健診
・身体測定
・診察
・結果の説明と相談
それぞれ解説していきます。
問診については、あらかじめ市区町村から送られてきた問診票を記入しておきましょう。
記入済みの問診票に沿って、主に保健師が子どもの様子を確認します。保護者が抱えている不安や相談にも応じてもらえます。
問診票をもとに子どもの状態を確認する方法として、下記のような手段を活用します。
・積み木
・指さし
・言葉
これらは、子どもの発達状況を確認するものであり、誰かと競ったり「できないから成長が遅れている」と悩む必要はありません。
また、普段はできていることも、子どもの状態次第では、健診当日にできない場合もあります。そのときは「普段はできている」と伝えておくと良いでしょう。
指先の微細運動(手先の器用さ)を診ます。積み木を2〜3個積んだり、積み木同士を打ち当てて音を出せるか確認したりします。
また「お母さんにあげてください」など、言葉の意味を理解し、やりとりができるかどうかも評価のポイントです。
絵や言葉の意味を理解しているかを診ます。犬や車の絵を見せながら、声掛けした絵を指でさせるか確認します。
また、絵を見せたときに「わんわん」や「ニャーニャー」など、絵に関連した話し言葉を出せるかも大切なポイントです。
コミュニケーションがとれるか診ます。名前を呼ばれて反応することに加え、「ポイしてきて」や「バイバイ」に対して、意味を理解した行動を示せるかを確認します。
一般的な歯科健診のように、歯科医師または歯科衛生士が診ます。乳歯の本数、生え方、口腔内の衛生状態を確認しながら、必要に応じてアドバイスをもらいます。
主に身長、体重、頭位、胸囲を「パーセンタイル値(標準成長曲線)」を用いて、同じ年齢の平均値と比較しながら測定します。
医師による診察は、胸の音や皮膚の状態、脚が変形していないかなどを診ます。診察がしやすいよう、子どもはおむつ1枚の状態になっているので、寒さ対策でブランケットなど準備しておくと良いでしょう。
すべての健診項目が済んだら、母子健康手帳の返却と健診結果の確認を行います。結果によっては、生活習慣の助言や医療機関などへの紹介を受けます。
このときに、育児の悩みやしつけの問題など、子育てに関する相談をすることで、保健師による自宅訪問や臨床心理士などを紹介してもらえることがあります。
1歳半になると、脳が発達しさまざまな感情が出現します。保護者としては育児に悩む時期でもあるので、一人で抱え込まず相談することが大切です。
はじめての育休復帰と今からできる準備
・専門家監修
・参加無料
・オンライン開催
1歳半健診を受けるには、健診案内の通知が手元にあることが必要です。ほとんどの市区町村で、子どもが1歳半を迎える頃に自宅に届きます。
自治体によって異なりますが、一般的に健診案内には下記の書類が入っています。
・健診の要項
・診査受診券(はがきなどの案内)
・問診票
・実施場所の案内
問診票は事前に記入しておくようにしましょう。自治体によっては予約が必要なので、詳細の確認はお住まいの市区町村にご確認ください。
自治体によっては「集団健診」か「個別健診」かに分かれます。
集団健診は、保健センターなどに集合して受けるもので、あらかじめ日時が指定されています。同じ月齢の子どもたちや保護者との「交流の場」にもなります。
個別健診は、指定された医療機関で受けるものです。場所や時間をある程度自由に選ぶことができます。
1歳半健診では、ほとんどの自治体が「集団健診」を採用しています。しかし自治体によって開催方法が異なるため、わからない場合は、健診を実施する市区町村へ問い合わせするようにしてください。
1歳半健診に持っていく物は、事前に送られてくる健診案内に沿って準備するようにしてください。
・母子手帳
・保険証
・診査受診券(はがきなどの案内)
・問診票(事前に記入)
・筆記用具
・飲み物(水筒)
・着替え
・ブランケットやおくるみ
・絵本やおもちゃ
・オムツ
・おしりふき
・オムツを捨てるためのビニール袋
・診察券(個別健診の場合)
上記のリストに沿って、すべてをそろえる必要はありません。子どもの普段の過ごし方や行動に応じて選ぶようにしましょう。
また、1歳半健診では「保護者からの相談」にも対応しているため、日頃から子育てで感じていることや成長および発達の状態など、メモなどでまとめておくと伝えやすくなります。
1歳半健診は主に集団で行うため、人数が多い場合は2〜3時間ほどかかると言われています。
子どもの機嫌が悪くなったり泣き叫んだりして「健診どころじゃなかった…」という方もいます。
長時間の健診でも安心して過ごせるよう、日頃から使っているおもちゃやお気に入りの絵本、好きなお菓子や飲み物などを準備しておくと、余裕を持って参加できるでしょう。
1歳半健診で「再診査」と言われることがあります。
再診査となった場合は、案内に沿って診査を受けるようにしましょう。
さらに「子どもの発達で気になるところがある」と感じている場合、「M-CHAT(Modifield Checklist for Autism in Toddlers)」という、スクリーニング検査もあります。
M-CHATは、自閉症スペクトラム症に早く気づくことを目的に、23項目の質問紙から構成されています。
スクリーニングに該当した場合、医療機関や児童発達支援センターなどで相談することが可能です。
再診査とは、1歳半健診でうまく測定できなかった項目や問診・診察で気になった点を、再度個別で確認します。
1歳半の子どもは、まだまだ心身共に未成熟なため、自閉症スペクトラム症やそのほかの発達障害を確定させるには早いと言われています。
よって、再診査となっても不安になり過ぎず、保健師や臨床心理士などの専門家へ相談しアドバイスをもらいましょう。
1歳半健診の内容について説明しました。
1歳半健診は、母子保健法に定められた健診です。市区町村から健診案内が届いたら、問診票の記入や持参物などを確認するようにしましょう。
健診当日は、2~3時間かかることが予想されます。子どもが好きな絵本やおもちゃなどを持っていくことで、安心して健診を受けることができます。
1歳半健診は、子どもの成長や発達を診るだけではなく、保護者の相談にものってもらえるので、子育てで悩んでいることや普段の様子などをメモしておくと焦らず相談できるでしょう。
これから1歳半健診を受ける方は、子どもの様子や子育てを振り返る機会になります。不安がある場合は一人で抱え込まず、気軽に相談するようにしてください。