発達障害のある人が使える奨学金。給付や控除・免除の条件とは

発達障害のある人の奨学金活用はどのようなものがあるでしょうか。

高校や大学などの進学にあたり、学生が経済的な理由で修学が困難にならないための制度の一つに「奨学金」があります。学生である子ども本人が発達障害の場合や、学生の親・きょうだいなどの家族が発達障害の場合は、活用できるものはあるのでしょうか。

この記事では、現在の日本における奨学金制度の基礎知識から、家族の誰かが発達障害の場合の給付・控除・免除の条件、障害年金の影響についても解説します。

監修

寺門 誠

[保有資格] AFP(日本FP協会認定)、相続診断士、住宅ローンアドバイザー。お子さまの進路・自立を含めたライフプランや資産運用・相続・教育費などの資金計画を作成し、1800世帯以上の夢の実現を支援。

奨学金制度とは?奨学金の種類や給付の基準

奨学金制度は、経済的な理由で学生が修学が困難にならず安心して学ぶことができるよう、専門の団体からお金を借りる・または給付を受ける制度です。

奨学金を出してくれる団体は?

奨学金を出してくれる団体は、3,500以上あります。地方自治体や民間企業、公益財団法人、学校などさまざまです。
最も多くの人に利用されている代表的な奨学金は、「日本学生支援機構」です。文部科学省管轄の独立行政法人で、日本のすべての奨学金事業予算額の約9割を占めています。

奨学金制度のある学校や、地方の公共団体・奨学金事業実施団体を探す場合も、日本学生支援機構の検索ページを利用することができます。

大学・地方公共団体等が行う奨学金制度 奨学金制度検索|日本学生支援機構

奨学金にはどんな種類がある?

奨学金には、大きく分けて3つの種類があります。「給付型」「貸付無利子型」「貸付利子型」です。

■給付型

返還が必要のない奨学金です。そのため、審査基準は最も高くなります。

■貸付無利子型

返還の必要がありますが、利子はありません。利子型より返す額が少なくて済みます。

■貸付利子型

返還の必要があり、利子もつきます。利子は0.05%前後から1%以上と幅があります。利子が高ければ高いほど返還額が増えるため、借りる際には注意が必要です。

これらに加えそれぞれの型に「第一種」「第二種」などの種別があり、金額や利率・返還期間が異なります。それぞれに基準や審査があるため、必ず利用できるわけではありません。

給付や貸付にあたっての選考基準は?

奨学金によりますが、大きく分けて「学力規準」「家計基準」の2つがあります。基本的には、両方を満たす必要があります。
ここでは、最も利用されている日本学生支援機構の基準をご紹介します。

■学力規準

学校にもよりますが、基本的には学業が優秀であること、学修意欲が高いことが求められます。学修意欲の高さは、多くは面談やレポート提出により確認されます。

■家計基準

家計基準は「収入基準」と「資産基準」の2つがあり、どちらにも該当する必要があります。

・収入基準
世帯人数や家族構成によっても異なります。
例えば「父(収入あり)、母(専業主婦、収入なし)、子2人」の4人家族であれば、父の年収が約378万円以下の場合、収入基準に該当します。
両親とも共働き・子2人家庭の場合は、年収が片方の親が320万円以下、もう片方の親が155万円以下が該当します。

・資産基準
世帯資産の合計額が2000万円未満の場合、該当します。
親が一人の場合などは、1250万円未満です。
資産とは現金や貯金・有価証券を指し、土地などは含みません。

申請時期については、大学の奨学金であれば、早いものは高校3年生の4~5月には学校で説明会が開かれます。早めに動くことが大切です。

子ども・きょうだい・親など家族に発達障害があるときの奨学金の特別控除・特例

奨学金によって内容は異なりますが、ここでは日本で最も利用されている日本学生支援機構の控除や特例を主に紹介します。
日本学生支援機構には障害のある人・またその家族への配慮があり、その中に発達障害が含まれることがあります。ここでは、申込み時の配慮について一例を紹介します。

家族の誰かに障害がある場合の特別控除・特例

■特別控除

世帯に障害のある人がいる場合、一人につき99万円の控除があります。例えば、世帯年収の申込み基準が「378万円」の場合、378万円に99万円を加えた477万円まで基準対象になります。

■家計特例

世帯に障害のある人がいる場合、収入基準額が緩和されます。緩和される程度は、学校や障害・家計の状況に応じて決まります。

奨学金を申込む学生本人(子ども)に障害がある場合の特例

■学力特例

学力規準には、全科目の評定平均値が5段階評価で「3.5以上」であること、などの基準がありますが、その基準が緩和されます。緩和される程度はそのときどきによります。

証明のために必要なもの

原則として障害者手帳のコピー・もしくは医師等の証明書のコピーなどが必要です。

障害のある大学生への奨学金制度がある団体

■公益財団法人ヤマト福祉財団

発達障害限定ではありませんが、障害者手帳を持っている大学生を対象にした奨学金制度があります。
公式HPはこちら

親に障害のある学生への奨学金制度がある団体

■一般財団法人あしなが育英会

遺児や親が障害のある家庭の子どもの学業を対象にした奨学金制度があります。
公式HPはこちら

具体的な申込み・手続き方法は、在学する学校に直接問い合わせます。

これらはあくまでも一例であり、実際の申込みについては学校や地域によって変わることがあります。まずは在学している学校、地域の団体に相談することが大切です。

発達障害のある人が奨学金を返還するときの減額・免除

奨学金返還時の配慮は、親やきょうだいといった家族は関係なく、奨学金を受けた学生本人(子ども)の状態によって配慮があります。
こちらも申込み時と同様、日本で最も利用されている日本学生支援機構の配慮をご紹介します。

奨学金返還者が就労困難な場合の減額や免除

■返還期限猶予

返還期限を猶予することができます。就労困難の診断書の用意と、収入が傷病審査の基準以下かどうか審査があります。

■減額返還

月々の返還額を減らし、その分返還期間を延長します。就労困難の診断書の用意と、収入が傷病審査の基準以下かどうか審査があります。

■返還免除

返還者が何らかの障害により、労働に高度な困難さを抱える場合、返還の全額または一部を免除することがあります。

証明のために必要なもの

担当医による就労困難の記載がある診断書の原本を提出する必要があります。返還免除を求める場合は、診断書にくわえ「奨学金返還免除願」を提出します。

具体的な方法は、それぞれの奨学金団体に問い合わせます。

障害年金をもらっている場合、所得や控除はどう変わる?

親が障害年金をもらっている場合

■障害年金は非課税所得のため収入に合算しない

奨学金の申込み時、世帯収入が一定額以下であることが求められる収入基準があります。障害年金は非課税所得のため、収入基準では収入に含まずにすみます。
「家族の誰かに障害がある場合の配慮」で前述した「特別控除」「家計特例」は、障害者手帳の有無・もしくは医師等の証明書があれば配慮があります。

奨学金対象の子どもが障害年金をもらっている場合

■申込み時

障害者手帳や医師等の証明書があれば、前述した「特別控除」「家計特例」「学力特例」の配慮があります。
また、障害年金は非課税所得のため、世帯年収には含みません。

■返還時

担当医より就労困難の診断書があれば、返還の期限猶予・減額・免除の配慮が受けられることがあります。
「返還期限猶予」「減額返還」には診断書に加え、収入基準の審査がありますが、障害年金は非課税所得のため収入には含みません。

収入や所得の計算は前年の収入の影響などもあり、複雑です。奨学金窓口の担当者と確認しながら進めることが大切です。

まとめ

奨学金の対象である子ども本人だけではなく、親やきょうだいといった家族に発達障害のある人がいる場合、日本学生支援機構の奨学金制度には特別控除や免除といった配慮があります。

また学生本人に障害がある場合・親に障害がある場合、それぞれを対象とした奨学金制度を設けている団体もあります。障害年金をもらっている場合は、非課税所得のため収入には含まれず、収入基準が緩和されます。

いずれも申込みや願い出には審査があり、発達障害の場合は障害者手帳や医師の証明書・診断書などが必要です。審査の基準や提出物は、団体・学校・地域により異なることがあります。専門窓口の担当者と確認しながら進めることが大切です。

奨学金には返さなくていいものもありますが、基本的には返還がともないます。きちんと返還できるよう、先を見据えて適切な額を借りることが重要です。

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