発達障害のある子どもの中学受験。学校選びや家庭教師はどうする?

発達障害のある子どもの進路選択において、中高一貫の私立中学受験を考える場合があります。けれども、発達障害のある子どもの中学受験に対する情報は少なく、「学校選びはいつ頃から、どのように始めたらよいのか?」「受験勉強のための家庭教師や塾選びはどうしたらよいのか?」と悩んでいるご家庭も少なくありません。

そこで、今回は中学受験を考えた場合の準備や事前に知っておきたいこと、親ができるサポート・気をつけたいこと、また中高一貫の私立中学校の特徴などまとめてご紹介します。

監修

高橋 孝輔

神奈川県内の中学受験塾にて5年間勤務。理科講師、教室長を務める。私立中学100校以上の学校情報に精通。自閉症児ボランティアや療育センターでの指導補助の実績や、障害福祉分野の知識、相談経験も豊富。

発達障害のある子どもの中学受験。事前に知っておきたいことは?

中学受験という選択肢を考えた場合、いつ頃から準備を始めたらよいのでしょうか。また、発達障害の子どもが中学受験をする際に知っておきたいことはどんなことでしょうか?ここでは私立中学受験についてご説明します。

中学受験、いつ頃・どんな準備をすればいいの?

まずは早めに中学校の情報を集めましょう。いろいろな学校があり、特色ある授業や部活動を行っているので子どもが興味を持ち、「この学校に行きたい!」と思うようであれば中学受験を考えてみるのも一つの選択肢と言えるでしょう。

■中学受験イベントや学校説明会に参加する

コロナ禍で直接現地に赴くイベントや説明会は減少傾向にありますが、代わりにオンラインを利用した中学受験イベントや学校説明会、文化祭・体育祭動画の視聴などで中学校を知る機会は増えています。

オンラインになったことで手軽に中学校の情報を得られるので、いろいろな学校を比較検討してみると良いでしょう。学校説明会や見学会などは事前に予約・登録が必要な場合もあるので注意してください。

学校見学の際には、通学にかかる時間駅からの距離学校の設備(教室の広さや照明・図書館・体育館や食堂)など子どもが通うことを想定して確認しましょう。

■私立中高一貫校の特色・教育方針や規模、部活動などをWebで情報収集する

私立中学は特色のある教育方針・理念を元に運営されています。その多くは中高一貫教育を掲げ独自のカリキュラムに沿って授業を進めています。各学校のHPで教育方針や学校生活の様子・特色ある授業・部活動などについて情報収集しましょう。

■同じタイプの子どもがいるご家庭、あるいは親の会の体験談などを参考にする

発達障害のある子どもが実際に中学受験をして私立中学に通っている、というご家庭が身近にあれば話を聞いてみるのもおすすめです。

身近にいない・あるいはなかなか聞きづらいという場合は地域にある親の会などで情報収集することができます。なお親の会とは、病気や障害のある子どもをもつ親たちを主な構成員として組織された団体のことです。

中学受験、子どもにとってプラスになることは?

また子どもにとっては、中学受験をすることでどのようなプラスの影響や変化が考えられるでしょうか。

・特色ある授業が受けられ、得意な部分を伸ばすことができる
・多くが中高一貫校なので高校受験の必要がなくなる(内申点の心配が減る)
・6年間かけてじっくり高校卒業後の進路を考えられる
・これまでの環境と離れていちからスタートできる
・周囲との学力レベルがある程度同じのなので自分にあったレベルで学習ができる
(科目によってレベル別・少人数で授業を行っている学校もある)
・受験を通して一つのことをやり遂げたという自信につながることもある
など

中学受験をする前に考えておきたいことって?

中学受験を検討する場合、事前に考えておきたいポイントをまとめました。各ご家庭や子どもにとって、以下のようなことも踏まえてどんな状況になるのか考えてみるのも重要です。

・通学に時間がかかる
・小学生で受験勉強をするため子どもの負担が大きくなる
・新しい環境に馴染めない可能性もある
・自宅近くに友だちがつくりにくい(休日友だちと遊ぶのに遠くに出かける必要がある)
・授業料だけでなく通学費や受験勉強のための費用など教育費の負担がかなり増える
など

これらの点を踏まえて、ご家庭だけで考えるのではなく、発達支援の専門家や学校・スクールカウンセリングの先生、あるいは実際に中学受験を経験したご家庭など周囲の人に相談することも大切です。

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学校選びのポイントは?中高一貫の私立中学校の特徴って?

中学受験をする場合、学校選びはどんな基準で考えたら良いのでしょうか。ここでは、学校を選ぶ際のポイントと中高一貫の私立中学校の特徴についてご紹介します。中には発達障害への合理的配慮や、柔軟な対応をするなど理解のある中学校もあります。

学校選びのポイントは?

中学校の学校選びでは、子どもに合った環境を選ぶこと子どもの意見や考えも必ず聞くことが大切です。

■子どもの特性を伸ばせる環境を選ぶ

まず普段の様子や子どもの意見も参考にして、子どもの得意なことや好きなこと・子どもが興味を持っていること・中学校でやってみたい部活動などまとめてみましょう。そのうえで子どもが好きなこと・得意なことを伸ばせる環境を選ぶことが大切です。

■学校の雰囲気・授業の様子など子どもに合った環境を選ぶ

できるだけ子どもと一緒に学校見学をして普段の学校の様子・雰囲気を知り、その学校が子どもの特性に合う環境かどうか、一緒にチェックしてみてください。

・学習環境

教室の広さや明るさ・学校全体の規模など実際に目で見て確かめてみることをおすすめします。授業によっては教室移動も必要になるため、体育館やグランドの位置なども把握しておきましょう。

・先生や在校生の様子

授業中ザワザワしすぎていないか、生徒数に対して先生の人数は足りているか?など授業中の様子や在校生の休み時間の過ごし方・部活動の雰囲気などにも目を向けることが大切です。

実際に子どもが通ってその中で楽しく過ごしている様子をイメージすることができるかどうか、また子ども自身がその学校を気にいっているかどうかも学校選びの基準として重要となります。

その他、制服の有無・通学にかかる時間や受験のスケジュール・受験科目なども参考にしましょう。中には子どもが得意な科目のみで受験できる学校、あるいは自己推薦入試を行っている学校などもあります。

中高一貫の私立中学校の特徴

・学校独自のカリキュラムがある
・タブレットや電子黒板などを利用したICT教育を取り入れている学校が多い
 (先生と個別でやり取りできたり、宿題もプリントやノートを使わずに提出できる学校もある)
・配慮については各学校ごとに異なり、できる範囲での対応となるが学習面でのフォローは受けやすい
・部活動の種類が文科系・スポーツ系とも多彩で、ユニークな部活動を行っている学校もある。文化系の部活動は中高揃って活動する場合もある。
・共学だけでなく男子校、女子校もある
など

発達障害の専門カリキュラムがある私立中学校

数は多くはありませんが、私立中学の中には発達障害のある子どもを積極的に受け入れている学校もあります。

特色としては、
・一人ひとりに個別支援計画が作成される
・時間割の中にソーシャルスキルトレーニングの時間がある
・特性に合わせて授業の中でワークシートを活用する
などがあります。

以上は一例であり、各学校によって対応はさまざまです。

発達障害のある子どもの受験勉強は家庭教師?それとも塾?

中学受験をするには受験勉強が必要です。家庭教師が良いのか?それとも塾か?それぞれの場合を考えてみましょう。

家庭教師の場合

本人のペースで学習でき、新しい環境に慣れるのが苦手な子どもにも安心です。家庭教師の特徴としては次のようなことが挙げられます。

・1対1で教えてもらえて、オーダーメイドの学習が可能
・合理的配慮を頼みやすい
・先生を選べることも多い
・塾への移動時間(送り迎え)が不要
・勉強の仕方や取り組み方などアドバイスをもらえる
など

塾に通う場合

中学受験の対策や出題傾向などを研究しており、受験に関する情報提供をしてくれます。集団塾と個別塾ではどんな違いがあるのでしょう。

■集団塾の特徴

・合格に必要なペースが分かりやすい
・周りも頑張るので良い影響を受けやすい
など

■個別指導塾の特徴

・その子のペースに合わせて進められる
・時間割やカリキュラムもオーダーメイドしやすい
など

中学受験の勉強はいつ頃始めればいいの?

一般的には4年生になる頃から受験勉強を始めるケースが多いのですが、だからといって「4年生だから受験勉強しなさい!」では子どものモチベーションがあがりません。親が強制して始めるのではなく、学校説明会などに行き、子どもが私立中学校に興味を持ったり、中学受験してみたいと思ったタイミングで始めるのがよいでしょう。

周囲の友だちが塾に通っているから自分も行ってみようかな、と子どもが思うこともあります。受験勉強を始めるよいきっかけにはなりますが、友だちが行っているからという理由で同じ塾を選ぶのではなく、その子どもに合う学習スタイルを考えて選びましょう。

発達障害のある子どもの中学受験で、親が気をつけたいこと

発達障害のある子どもの中学受験で特に親が気をつけたいことやサポートできることはどのようなことでしょうか。

中学受験で親が気をつけたいこと

発達障害のある子どもはマイペースで、なかなか勉強に取りかかれない・集中できないことがあるかもしれません。けれども親が気にするあまり、うるさく言って関係が悪化する場合もあります。勉強については第三者に任せるのがベストです。
また、偏差値や学校の知名度を気にして学校選びをした場合、入学できてもその後の授業についていけなくなり、子どもが自信を失ってしまうケースもあるので慎重に考えましょう。

具体的には、以下に留意することが必要です。

・親はあまり勉強の中身に対して口出ししない
・子どもに無理させすぎない
・偏差値など一定の条件だけで学校選びをしない
など

中学受験で親がサポートできること

中学受験を終えた子どもたちの感想として、「親が食事の支度やお弁当など準備してくれてありがたかった」「親がいつも健康に気遣ってくれた」「頑張ったときは褒めてくれた」などがあります。

親としてサポートできることとしては具体的に以下のような例が挙げられます。

・学校や塾の情報収集
・子どもの体調管理やスケジュール管理
・模擬試験や受験などの手続き
・頑張っているところを褒める
など

親が信頼して見守っていてくれることは、これから成長していく子どもたちにとって大きな励ましとなり、自信につながります。

まとめ

発達障害のある子どもの特性を生かし、長所を伸ばすという点で中高一貫の私立中学への進学は一つの選択肢となります。環境をうまく整えることで子どもはより過ごしやすくなり、本来持っている力を伸ばせる機会も増えるでしょう。

また、中学受験を通して「目標に向かって頑張ることができた」、「自信や達成感が得られた」など自己肯定感が高くなれば、苦手だったことにもチャレンジしてみようという前向きな気持ちになれることもあります。

個性と環境とがマッチすることで、発達障害のある子どもの生きづらさが解消されることにつながり、伸び伸びとその子らしく成長することができるのではないでしょうか。

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